日経新聞を購読していると、土曜日に「NIKKEIプラス1」と言う別刷が届きます。何気に投資のヒントになる内容が多かったりするのですが、今回はコラムにてヤフオクの自動延長について触れられていました。
コラムの趣旨を要約すると、
・ヤフオクの自動延長は落札できたと思っても、ラスト5分で入札が入り延長されてしまう。
・延々と続くことも有りがっかりする。(要するに高騰して落札できないの意味でしょう。)
・そもそも、この自動延長は落札額を引き上げる為のシステムではないのか?
・ヤフーは落札額が高いほど手数料が大きい。収益のために自動延長しているのでは?
・ヤフーは儲け過ぎなので、システムを見直すべきではないか?
と言った所です。
まぁ、現在のヤフオクを見る限り、自動延長システムが落札額を引き上げていることは間違いないと思います。ヤフーも収益のためにこのシステムを採用している可能性も否定できません。
只、私の様な、出品者としても落札者としてもオークションに参加してきた者から見ると、記事の主張はあまりに落札者側に寄った意見と言わざるを得ません。オークションは出品者と落札者が居て初めて成立するものであり、何れもオークションハウスからみれば顧客です。落札者ばかりに肩入れしても問題です。
コラムニストは自動延長によって落札額が騰がると主張しているが、これは純粋に落札者側の問題であって出品者の責任でなければ、オークションハウスの問題でもありません。落札者から見て、競りと言う物は本質的に欲しいと思う価格の上限で勝負するものであり、それより安く落とせればラッキーなだけです。もし、競り値が上限額を超えてしまえば清く諦めるしかありません。これが大原則であって、競り値が高騰すると言う主張は落札者側の甘えです。実際、出品者としてヤフオクを見ていると、ベテランのビッターほど、一定ラインを超えると、ピタリと入札を止めてきます。
オークションハウス側が落札者の射幸心を煽っていると言う主張はあるかもしれませんが、これは落札者側が大人になるより、しかたないことと私は考えます。
投資的な視点でみても、落札者側は「入札しなければ良い」と言う最強のカードを握っています。逆に出品者は(特に業者ならば)、ある程度品物を回転させる必要があり、落札をしてもらう必要があります。本質的には落札者側が絶対有利であって、あとは需給の問題に過ぎません。
もし仮に自動延長を廃止したとしても、オークションそのものが効率的市場であるならば、落札額が下がることはないと思います。
実際、米国最大のネットオークションのEBayでは自動延長はありません。その代わりに何が発生したかといえばストライピングと呼ばれる手法が横行しています。ストライピングとはオークション終了寸前で自分の欲しいと思う最高値を入力する方法です。できるだけギリギリのタイミングで入札するためには専用のソフトウェアを使用して自動入札をかける必要があります。(私が入札する場合は5秒前位でビットしてます。)
結局、ベテランと初心者の差はここでも埋まりません。特にコンピュータの知識が必要な分だけ、ヤフオクよりも問題かもしれません。
結局、オークションも株式市場も同じです。定められたルールの中で、買い手はより安く買いたいし、売り手はより高く売りたい。ただそれだけに過ぎません。大切なことは、しっかりとした基準を持って、揺らがない値付けをすることに尽きます。自動延長はヤフーオークションと言うオークションハウスのルールであって、それを遵守することがオークションに参加する上での条件です。
妙に買い手側だげを保護せよと言うのは、全体があまりに見えていない主張だと考えます。