今回も変り種のETF/CEFのネタ。
「Alpine Global Dynamic Dividend Fund (AGD) 」は世界の株式に投資して好配当を得ることを目的としたCEFです。世界の好配当株に投資するETFとしては、以前のエントリーで記した「WisdomTree International Dividend Top 100 Fund (DOO)」があります。今のところ、DOOはかなり良いリターンを上げているので、これに優るファンドを見つけるのは困難な情勢ですが、このAGDはある意味でかなり変り種です。
普通、好配当株ファンドと言うと、好配当を継続的に続けている企業に投資することで、インカムゲインとキャピタルゲインを狙って行きます。しかし、同じインカムゲインを狙うにしても、このAGDのアプローチは根本の考え方が違います。
さて、このAGDがどうやって高インカムゲインを狙っているかと言うと、これがセコくて失笑してしまったのですが、配当を得る回数を増やすことで高インカムを達成しようと言うもの。要するに、配当の時期が近い銘柄に投資して、とにかく配当を掠め取ろうと言うこと。日本でも某株式評論家がカレンダー投資と言う投資法を説いていますが、正にアレです。笑
より詳細な投資ロジックは書ききれませんが(手抜き)、基本的な考え方は次の通り。まず、投資対象を3カテゴリーに分けます。1つはバリュー株で好配当の銘柄、2つめはグロース株で好配当の銘柄。この2つに投資対象については、極普通の投資を行います。
ポイントは3つめのカテゴリー。このカテゴリーの銘柄ではローテーション戦略を用いて、高いインカムゲインを狙います。まず、通常ならば四半期毎に配当金を得るところを、配当月の異なる2つのグループの投資対象を用意します。そして、この2つのグループへの投資を適当な期間(恐らく3ヶ月毎)でスイッチして行きます。こうすることで、各グループから年間で3回の配当を得ることが出来、合計で年6回の配当機会を得ることになります。
要は、「上手く立ち回って、通常の配当金の1.5倍を稼ごう」と言うワケです。ETF-Connectのサイトより現在の配当利回りを調べてみると、年換算で8.14%でした。結果的にかなりの高インカムを叩き出しています。
更に、分配金込みのリターンを調べて見ると、設定来で年利換算34.11%とまずまずの好成績を残しています。尤も、現時点で1年弱の運営状況なのでバックデータとしての期間は短いですが..。出来ればもう少し長い運用データが見たい所です。(注:本ファンドは毎月分配なので、単純にYahoo Finance でチャートを表示するとトータルリターンを見誤ります。)
本ファンドはCEFなので、高プレミアムの時を避けて購入する配慮は必要ですが、流動性は意外にあるので、投資対象として面白そうなファンドではあります。グローバルファンドなのでボラリティは比較的抑えられる所に、インカムゲイン分で8%を超えるリターンがあるのは、結構魅力的だと思います。
そして更に、Alpine社では新たなCEFを2つ組成しています。1つがAODでもう1つがAWP。AODはAGPの投資戦略を更に推し進め、2ヶ月毎に投資対象をスイッチすることで、年に8回の配当機会を得ようと言う代物。現在の分配金の利率は年間で10.1%と、AGDを軽く凌いでいます。トータルのリターンがどうなるかは今後を見守る必要がありますが、監視して行きたいファンドではあります。(ぶっちゃけ、インカムゲインが10%あれば、キャピタルゲインは0%でも許します。もちろん、マイナスはダメ。)
最後のAODはこれは投資対象を不動産産業に特化したもの。不動産サイクルに応じて、金融業・建設業・不動産業の間で投資比率を変化させ、高リターンを狙います。また一方では、件の高インカム戦略を用いて、年間8回の配当を狙おうと言うもの。初回の配当もされていない状況なので、どの程度のパフォーマンスが出るか今のところ不明です。キワモノ好きの方、如何でしょう?笑