« 2007年08月 | メイン | 2007年10月 »

2007年09月 アーカイブ

2007年09月02日

長い下髭の1週間

相変わらず本業の方が忙しく、相場に対峙し切れない日々が続いています。まぁ、ジタバタする余裕もないのが、結果として好結果に繋がっているとも言えたりします。

先週に書いたエントリーでは日経平均の戻りの目処を16500円または16750円と記したのですが、結果的に週明け早々の月曜日に16500円を付け、そこが一旦の天井となりました。只、予想に反したのは、下値を探る動きも限定的だったこと。毎度おなじみの水曜日の下げで15830円まで下髭の伸ばして反転。更に、金曜日には大幅反発して、最終的には16569円と、16500円台を回復。

この原因を振り返ると、水曜日の下落はFOMCの議事録開示を受けてNYが暴落したことが引き金。そもそも公開されたFOMCの議事録は今回のクレジットクランチが顕在化する前の物ですから、利下げに言及が無いのも当然といえば当然でした。また、景気後退懸念が浮上と言うヘッドラインが出てましたが、内容的には従来判断を変えずに景気の底堅さを確認する内容。なので、如何見ても火曜深夜のNYの暴落はちょっと行き過ぎ。

するとその翌日、今度はバーナンキ議長から有力議員への書簡の内容が明らかになり、景気後退への懸念から利下げも辞さないと言うFRBの姿勢が明らかになり、NYは一転反発。更に週末には政府のサブプライムローン問題への対策案の提示と、先の書簡の内容を追認するバーナンキ書記長の演説もあり、株価は更に反発。完全に、米国の動きに振り回される状況が続いています。

とにもかくにも、日経平均は週足レベルでは長大な下髭を付けた陽線を作りました。これで、今暫くは上値を探る展開が予想されてきます。逆に言えば、2番底はまだ付けに行っていないことになります。こうなると、何処までの戻りを見てから2番底を試しに行くのか、改めてそれがポイントになってきます。

チャート的に見れば次の戻りの目処は先週も記した様に、上方を窓を埋める16750円でしょう。只、このラインは現在の勢いから見て、突破してくるように思います。すると次に控えるのは心理的抵抗線の17000円。これが、かなりの山になるような気がします。

何ら根拠の無い勘でしかありませんが、日経平均はあと2週間ほどかけて17000円を試し、そこから2番底を探りに行くのではないかと考えています。取り合えず、週足が陰線を引いたら注意のサインと見て、すこしポジションを落とそうかと考えています。逆に言えば、今週は再び傍観に徹することになると思います。


最後に、先週行ったトレードの記録。先週のエントリーではエマージング・ソブリンを対象とする投信を買いたいと記したのですが、NYが急落もあって、そのタイミングが計れませんでした。結果、TEIを打診買いしたのみで、十分な仕込みをすることが出来ていません。
逆に、火曜日夜のNYの行き過ぎた暴落を見て、水曜日の東京市場が連れ安したタイミングで、好配当企業と1Q好決算企業の2つのバスケット運用の買い増しを実行。週末の反発を経て、1Q好決算企業バスケット運用の方は、久しぶりにプラス転換してくれてます。

2007年09月03日

好配当株バスケット・フォローアップ②

前回のフォローアップの続き。


(注:ローソク足は当バスケットを指数化したもの、緑色の線がNK225、水色の線がTOPIXの動きを示します。チャートの作成にはOmegaチャートを利用しています。)

「WisdomTree Japan High - Yielding Equity Fund (DNL)」にトラッキングすることを目的に組成したバスケット運用のその後の状況です。これまでの所、日経225及びTOPIXに概ね連動したリターンを示しています。

逆に言えば、前回のフォローアップを行った8月初旬(今回の下落相場の初期)にはNK225とTOPIXをアウトパフォームしていたのですが、その後の急落局面ではその差を埋めてしまっています。前回の考察では、「好配当銘柄の下げ相場への耐性が見られるかもしれない」と記したのですが、現状では日経平均、TOPIXの両指標との顕著な差異は見られません。

2007年09月08日

NY急落中

いやぁ、来ちゃいましたね、暴落の第2波。予想よりも1週間早く下値を探る展開に入りました。..って言うか、下値を探るところか、底が抜けないかが心配だったり。orz

今日の急落の原因は、先立って発表された雇用統計。まぁ、好調な雇用なんて誰も予想してなかったとは思うんだけど、とにかく内容が悪すぎ。多少の悪化する程度ならば、利下げが確実に成ることで、マーケットにはプラスに働く可能性もあったんだけど、雇用者数が減少に転じたのは正にネガティブサプライズ。新規雇用者数の伸び率が低下する程度と思っていたら、一気に減少にまで転じるとは..。

こうなれば、米国の景気の減速懸念は現実化したと言えますし、政策金利の切り下げももはや確定したと言えるでしょう。問題は「利下げするかしないか」ではなくて、「何パーセント利下げするか」に移ったと思います。-0.5%は当然で、-0.75%位かまして、初めてマーケットにインパクトを与えるレベルではないかと。


一方で、今週の東京市場も冴えない展開。先週末のNYが上昇して終えたことで、週明け月曜日は上昇が期待されたのですが、これが全くの期待はずれ。当日のNYがレーバーデーで休場だったこともあってか、大きな値動き無く終了。これが結局は上値の重さを意識させる結果になった気がします。

先週末の次点では、「日経平均17000円を試した後に2番底を探る展開」を予想していたのですが、どうやら16500円レベルが天井で、2番底探しに突入する模様です。
為替のほうも、円の全面高が急激に進んでおり、113.50円を割り込んだ水準。対ユーロでも円は急騰しています。週明けの東京市場の急落は避けられない情勢です。

そこで、週明けの作戦ですが、もはや逃げ遅れたのは確実っぽいので、回転売買を狙う余地は無さそう。なので、寄付きからの成売などは考えません。あわよくば、ミューチュアルを始めとするジャスダックの低PBR系バリュー銘柄の下落幅が小幅に収まっている様であれば、これらの現金化を考えようと思います。

一方で、2番底の水準を何処と見るかですが、取り合えず下値は切り下げないと考えて、15500円に置きたいと思います。真に恐ろしいのは15262円を切り下げたケースで、こうなると14500円まで覚悟する必要があるかも..。

とは言え、ビビってばかりもいられないので、月曜日の終値が日経平均15500円を付けるようならば、残る僅かなキャッシュで買い向かおうと思います。そこで「何を仕込むか?」ですが、考えている候補の1つが、日経平均に連動するブルファンド。どうせなら、2.5倍のレバが掛かった物を仕込みたいと考えてます。

そして、もう1つの候補として考えているのが、香港市場に連動するブルファンド。(確か野村から出ていた筈。)只、こいつを仕込むには日本株以上に底値の見極めが必要。出来れば、上昇に転じたのを見てから仕込みたいのですが、約定が1日遅れになる所が悩ましい..。

証券減税の解除が金持ち優遇?

常々腹立たしく思っているのが「証券税制の特別減税の延長/恒久化は金持ち優遇政策だ」などとのたまう、ポピュリズム民主党と、何も考えてないアホなマスコミの論調。

そんな所に、次のような記事を発見。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070907-00000686-reu-bus_all

「投資信託を購入する所得階層で一番伸び率が高いのは年収400―500万円。高所得層というより中所得層だ。普通の方々が関心を持ってこうした運用を選んでいる」と指摘したうえで「この流れを応援したい。証券税制は決して金持ち優遇ではないとPRしていきたい」

..の部分は、全く持ってその通り。良くぞ言ってくれました。ついでに、「インカムゲインへの課税は2課税」と言う問題も指摘してくれればパーフェクト。

正直、自民党支持者では無いんだけど、この渡辺金融大臣はちょっと応援てあげようかと思ったり。


実際に私の場合、すでに減税が解除されることを前提として、国内の投資資産の一部を売買をしないですむ長期保有を前提としたバランスファンドへシフトさせ始めていたのですが、もし減税を恒久化してくれるなら、方針を見直す必要が出てきます。

2007年09月09日

彼岸底に期待

週末のNYは結局反発の気配を見せることもなく、最終的に2%弱の下落。一方、為替のほうも113.5円を下回る円高に推移。

こうなると、週明けの東京市場にとっては最大級の逆風なわけですが、僅かに幸いだったのは間に週末が入ったこと。今回の急落の原因になった雇用統計の悪化を受けて、市場のコンセンサスは政策金利の利下げ確定にシフトしました。18日にも利下げがあると考えれば、流石に一方的な暴落にはなり難いと考えられ、一定の下支えになると思われます。
また、9月に中間配当を実施する高配当企業に関しても、資金の逃避先として物色される可能性があり、底固い値動きとなる期待もあり。

週明けを占う意味で、CMEの日経平均先物の終値は15805円。これに鞘寄せして始まれば-2%近い下落ですが、これ以上の下落が進行する可能性はちょっと低い感じがします。その意味で、月曜日が大幅GDして始まれば寄底の可能性が高そう。むしろ、中途半端に高く始まった方が危険な感じがしないでもない。
先のエントリーで、日経平均の2番底を15500円ラインとしましたが、すぐにこのレベルを試すことは無い気がして来ました。逆に言えば、15500円を試すならば、そこを絶好の買い場と見て、予定通りブルファンドを仕込んでみたい。

昨年も9月20日付近を底に日経平均は反発しました。今年も18日のFOMCで利下げが発表される見込みであることや、ヘッジファンドの解約が一段落付くことから、この辺りが底になる様な気がしないでもない。..って言うか、2年連続の彼岸底を是非期待したいところ。

2007年09月12日

ランダムウォーク

インデックス投資のバイブルと言えば、バートンマルキール博士が著した「ウォール街のランダムウォーク」ですが、その中の1節に次ぎの様な趣旨の記述があります。

曰く、50ドル持ってスタートし、コインを投げて表が出たら50セントプラス、逆に裏が出たら50セントマイナスする。これをチャートに描くとあら不思議。それっぽい株式チャートが一丁完成。トレンドラインを描いたり、時にはヘッド&ショルダーを形成したりもする。熟練のチャーチストもコロッと騙された。..と言うお話。

要するに、「株価の動きなんて全くのランダムウォークであって、チャートはその偶然の産物に過ぎない。従って過去のチャートから未来の株価を予測することなんて不可能」と言うワケ。


実は以前、この話を検証したことがあったのですが、ちょっと思うところがあって、この話を改めて試してみることにしました。

..で、今回行ったシミュレーションは次のようなもの。(コイン投げの例は実際の株価変動に対して極端すぎるので、より現実の騰落率に近いランダムな変動ルールを採用します。)

 ・期間は1年間に相当する240日とする。
 ・株価は1日につき、-1%~1%の間で変動する。
  具体的には、1日の騰落率はsin(x)/100とする。(xはランダム)

以下、本シミュレーションを10回続けた結果の全チャートを示します。また、よりそれっぽく見せるために、25日と13週の移動平均を合わせて描画しました。(注:恣意的なチャートの選別はしていません。あくまでも10回続けたシミュレーションの結果です。)

今回、改めてやってみて、その結果には改めて驚嘆させられます。何れのチャートも如何にもそれっぽくて、如何にでも後講釈が付けられる代物です。

例えば、一番右上のチャート。「下降トレンドから2番底を付けた後反転。トレンドラインに沿って上昇中。」みたいな解説が可能でしょう。

他にも、上から2段目右のチャート。「5%付近の上値抵抗線をブレイクした後、株価は水準訂正して大幅に上昇。」なんて言う解説が如何にも付きそう。

また移動平均をみてもまた興味深く、移動平均線付近で株価が反発するケースが多々見られます。これは、株価が移動平均で反発しているのではなく、株価の反発に合わせて移動平均が変化していることを意味していると考えられます。

「株価が移動平均線を上抜いたので買い」とか、「ゴールデンクロスの現示で買い」とか、それっぽい値動きがこれらのチャート上にも多数見られますが、やはり根拠の無い投資法と言うことでFAでしょうか..。

只、私自身は依然として「チャートは100%無意味である」とは考えていません。今回のシミュレーションが示したのは「ランダムな事象の積み重ねが株株価の如き軌跡を描く」と言う事実であって、「株価の描く軌跡が全くのランダムである」と言う証明ではありません。そして何より、チャートを信じる人が多数存在すると言う事実がある以上、株価の変動はチャートの変化と独立な事象では在り得ないと考えます。

2007年09月16日

二番底は試したの?

ちょっと悩ましい展開になって来ました。

先週の東京市場は月曜日にNYの下げを受け、予想の通りGDのスタート。そこから15656円まで下がったところで、少し戻して終了。更に、月曜日はNYが休場だったこともあって、この地合を引き継いで火曜日は15619円まで下落。しかしそこから急反発してプラスの引け。結局先週は、そのままジリジリと値を上げて行き、金曜日にはSQも明けて買いの安心感が出たことと、週明けのアメリカの利下げを見込んで大きく値を騰げ、最終的に16127円で終了。なんのことは無い、1週間かけて、月曜日の下げ分を全て戻してしまいました。

この間は安倍さんの職場放棄があったりして、政治的には大混乱状況でしたし、発表された経済指標も悪かった。でもでも、マーケット的には何処吹く風。全てはアメリカの利下げ期待が相場を下支えて格好。なにせ、先週のNYダウは約2.5%の上げ。13000ドルの底の硬さを見せ付けています。

NYダウのチャートを見ていると、このまま13500ドルを越えてしまえば、かなり底入れ感が強くなります。一方、東京市場のほうは底入れ感を出すには16600円を越えてくる必要が有り、やはり東京市場のほうが戻りの遅い印象です。

問題は先週で2番底の確認が終わったのかと言う点。NYダウを見ていると2番底を付けた感もあるのですが、東京市場はなんか中途半端な感じが否めません。私の間隔では、15500円を割り込んで2番底と考えていましたから、現在の戻り状況には疑心暗鬼と言うか、強気になり切ることが出来ていません。

ポイントはやはり18日で、「マーケットの期待通りアメリカの利下げが発表されるとして、そこで材料出尽くしとなってしまい、もう一度下値を探るのではないか?」これが最も危惧されるストーリーでしょうか。

只、9月を底にした反発を示唆する材料はアメリカの利下げ以外にもそれなりにあって、「ヘッジファンドの解約が一段落すること」、「郵便局の民営化にあたっての保有株式の一旦処分が終了すること」は、やはりプラス材料となってきます。特に民営化された郵便局は改めて株式のポジションを取り直す筈なので、今度は逆に買い圧力となって相場を押し上げる可能性も秘めています。

..なので、出来れば先週はもっとすっきり下げて欲しかった。そうすれば、今週の買いも入り易くなったと思うのですが、今暫くは手探りの状況が続きそう。お彼岸まではあと1週間。自分的には引き続き15500円台を待ってから動きたいと思います。(その時は日本株のブルファンドを仕込みます。)出来れば、騰落レシオが70を割ってくれると仕掛け易いのですが、さてどうなることやら..。

好配当株バスケット・フォローアップ③

再び、前回のフォローアップの続き。


(注:ローソク足は当バスケットを指数化したもの、緑色の線がNK225、水色の線がTOPIX。チャートの作成にはOmegaチャートを利用。)

直近2週間の値動きも、概ね指数に連動したものになっています。特にNK225の方に近い値動。高々、15銘柄の加重平均にも関わらず、ここまで指数に連動すると言うのも、興味深いといえば興味深い。一般に、「分散投資も20銘柄もしてしまえば指数に連動した動きになってしまう」と言われていますが、これを身をもって検証している状況です。

1Q好決算銘柄バスケット・フォローアップ

こちらは1Qに好決算を発表した銘柄で構成するバスケット運用のフォローアップ。運用を開始した8月初を基点にして、チャートを描きました。


(注:ローソク足は当バスケットを指数化したもの、緑色の線がNK225、水色の線がTOPIX。チャートの作成にはOmegaチャートを利用。)

こちらのバスケットはNK225, TOPIXの両指数よりも力強い戻り基調を示しています。特に四季報発売日に大きく値を上げているのは、上方修正が四季報に反映された影響と見ることが出来そう。


2007年09月17日

バランスファンド再考

政治のゴタゴタも福田さんの総裁選出馬で闘わずして趨勢はすでに決した模様。こうなると、ゴミ投資家として気になるのは証券税制の行方。福田さんはどちらかと言うと財政再建論者だと思うので、証券税制の税率軽減の延長or恒久化の期待はかなり薄くなりそうです。(渡辺金融大臣の留任も無いでしょうし..。)

そこで、税率軽減が無くなることを考えると、今後は可能な限り利益確定をしない長期投資が望ましいことになります。そして、この場合の選択肢として浮上するのがバランスファンドです。ポートフォリォのバランス調整をファンド側で行ってくれれば、自力でアセットアロケーションを調整する必要が無く、無用な利益確定とそれに伴う税金の支払いが回避できます。

ならば、どのようなバランスファンドが望ましいかと考えれば、次の様な項目がポイントになって来ます。

 ・グローバルな資産分布をトラッキングすること
 ・信託報酬が安いこと
 ・毎月分配の様な、税法上長期投資にマイナスとなる分配を行わないこと

..でもって、これらの条件から現状で著名ファンドをピックアップしてみると、概ね次のファンド等が候補として浮上してきます。

 (1) セゾン・バンガード・グローバル・バランスファンド
 (2) マネックス・資産設計ファンド<育成型>
 (3) ブラックロック・グローバル・フレキシブル・バランスファンド
 (4) 野村・マイストーリー・株50

まぁ、他にも色々あるにはあるんですが、これらと大きく異なる商品は然して無いかと思います。(補足:マネックスやマイストーリーの様に、同じシリーズで複数のアセットアロケーションパターンが有る場合は、株式の比率が50%に近いものを選んでます。)


まず、コスト面について考えると、セゾン・バンガードが信託報酬の安さで、頭一つ抜け出ています。只、このファンドの中身はバンガードのETFを用いたFOFなので、「直接海外口座で同じETFを買えばその方が安上がり」って言う話にはなるのですが、本エントリーの主題は飽く迄も国内で投資する場合が前提なので、この作戦は取り合えず無しとします。

一方、この手のバランスファンドは、アセットアロケーションの組み方自体が商品のセールスポイントの1つなので、どのアセットアロケーションが優れているか断じるよりは、自分の好みに合ったファンドを選ぶことが肝要になってきます。

..とは言え何かしらパフォーマンスを比べて見たくなるところ。そこで、本エントリーは上記4つのバランスファンドについて、8月以降の急落局面でのリターンの状況を比較してみることにしました。

%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%89.gif

本チャートは8月1日をスタートにして、基準価格の推移をプロットしたものです。8月後半の急落局面では下がり方に差がみられたものの、現時点ではその差はかなり縮まって来ています。このリターンの差は正にアセット・アロケーションの違いに拠るものなワケですが、この短期間のパフォーマンスだけを見て、ポートフォリオの優劣を断じるには無理があります。

寧ろ、興味深いと思ったのは円建てに換算したS&P500(茶色の線)との比較。本来、バランスファンドは資産の分散によりボラティリティが低く抑えられることが期待されるのですが、今回の信用収縮局面では、株式(S&P500)の価格変動以上に各ファンドのリターンはバラツイています。

この原因を察するに、今回の暴落は債券市場の異常が発端であり、特にハイイールド債の暴落を伴っています。その為、本来ならば緩衝作用を齎すはずの債券部分のリターンが株式以上に悪化してしまい、トータルのボラティリティを高めたものと思われます。


何やら、取りとめの無い話になってしまいましたが、アセットアロケーションの優劣が軽々には判断することが出来ない以上、コストの安い「セゾン・バンガード」を選択しておくのが、現状のファーストチョイスだと思います。

逆に、アクティブ運用の可能性について否定しない派の人ならば、運用方法の自由度が高い「ブラックロック・グローバル・フレキシブル」は面白い選択かもしれません。(信託報酬は高めですが..。)

2007年09月20日

-0.5%でした

昨晩のFOMCにて、遂にアメリカが利下げモードへと移行しました。注目の政策金利の下げ幅は-0.5%。これって、自分の予想的にはストライクゾーンの真ん中だったのですが、意外とマーケットではサプライズ気味に受け取られた様で、恐れていた材料出尽くしの暴落を呼ぶことも無く、マーケットは一気に反発。

更に、一晩明けた今日も株式市場は続伸。朝から住宅着工件数の低下や、物価上昇率が2%超になるなど、マイナス材料が噴出しているにも関わらず、マーケットは何処吹く風ってな雰囲気。金融緩和への移行が始まったとの認識にマーケットは立ったものと思われます。

こうなると、株式の比率を引き上げたいところなんだけど、海外の方は現在キャッシュポジション無し。そこで仕方なく、ボックス圏の天井付近に位置していた銀(SLV)を売却。これで得たキャッシュでEEBを追加投資しています。投資先としてはエマージングカントリー以外は考えられない状況ですが、B・R・I・Cのどれを選ぶかで迷ったので、ここは安直に4つひっくるめてEEBを選択。


一方、東京市場の方も昨晩のNYの棒騰げを受けて大幅なGU。こうなると、買いのタイミングはちょっと掴めません。15500円でブルファンドを仕込もうと言う目論見は、残念ながら空振りっぽい雰囲気。
日経平均株価がこのまま上昇基調に転じるか否かは、16576円を終値ベースで越えられるかで判断できると思います。これを越えるようであれば、下値を待つのも諦めたいと思います。(今となっては、のんびりと日本株の下値を待つより、さっさと新興国に投資してしまったほうが賢い様に思われ。)

2007年09月23日

保有銘柄(2007/09/21・円建て)

・先月より細かな銘柄の変更は一切無し。
・8月の暴落直後に実施した、日本株→中国株へのシフトは取り合えず成功。
・ミューチュアルの株価が一時の暴落状況より復帰中。戻りを待って処分し、
 海外資産へ投資対象を移す。(日本悲観モード)
・東京カソード、ADMは完全に失速。塩漬けモード入り。
・バスケット運用は、「1Q好決算銘柄」が好調の一方で、「貸金業銘柄」は
 見事に崩壊。初志貫徹、計画通り1年間は保持方向で..。


■ファンド

 - 三菱UFJ投信:外国株式インデックス *1
 - みずほ投信:みずほウェルズファーゴ・エマージング株式 *2
 - みずほ投信:みずほJ-REIT *2
 - DIAM:中国関連株オープン
 - 東京海上:エネルギー・食料関連ファンド
 - ブラックロック:グローバル・フレキシブル・バランス・ファンド
 - セゾン投信:バンガード・グローバル・バランス・ファンド
 
  *1: 三菱UFJ銀行のATMと振込み手数料無料化のために保有
  *2: みずほ銀行のATMと振込み手数料無料化の為に保有


■個別銘柄

[長期ホールド]
 - 東芝(フラッシュメモリ・原子力)
 - JR東日本(電子マネー・駅中開発・不動産開発)
 - 任天堂(DS・Wii)
 - 雪印乳業(優先株償却)

[バリュー]
 - セガミメディクス(セイジョーと合併)
 - ADM
 - 東京カソード
 - ミューチュアル

[バスケット運用]
 - 好配当銘柄バスケット(DNLトラッキング)
   日産自動車、ホンダ、野村HD、JFEH、新日鉄、関西電力、大和証券
   九州電力、アステラス製薬、中部電力、第一三共、エーザイ
   神戸製鋼、東北電力、花王
   
 - 貸金業銘柄バスケット
   アコム、武富士、アイフル、プロミス、クレディセゾン、UFJニコス
   イオンクレジット、OMCカード、SFCG、ロプロ

 - 1Q好決算銘柄バスケット
   島精機製作所、ダイキン工業、JUKI、グローリー、芝浦メカトロにクス
   スタンレー電気、富士フィルム、生化学工業、日野自動車、アイシン精機
   
[システム運用]
 - TOPIX連動型ETF(1306)

[塩漬]
 - ジャストシステム(xfy)


■その他

 - 地金積立(G&Pプランナー)

保有銘柄(2007/09/21現在・外貨建て)

・BRICsを中心として、新興国株のポジションを拡大中。
・SLVを処分してEEBを追加購入。
・エマージングソブリン債への投資を目的にTEIを購入。
・米国は住宅セクタのショート(SRS)を継続中。


■長期保有銘柄

[Unit Trust Fund]

- Fidelity ASEAN
- Fidelity Euro Balanced Fund
- Franklin Mutual European Fund
- Templeton Eastern Europe
- INVESCO Asia Infrastructure Fund
- HSBC Managed Growth Fund
- JF Philippine
- Shloder Select BRIC's Equity


■トレーディング銘柄

[中南米]
- iShares MSCI Brazil Index (EWZ)

[中国]
- iShares FTSE/Xinhua China 25 Index (FXI)

[インド]
- iPath MSCI India Index ETN (INP)

[アジア・太平洋]
- PowerShares Dynamic Asia Pacific Opportunities Portfolio (PUA)

[アフリカ・中東]
- 現在なし

[新興国]
- Claymore/BNY BRIC ETF (EEB)
- WisdomTree Emerging Markets High Yielding Equity Fund ETF (DEM)

[北米]
- UltraShort Real Estate ProShares (SRS)

[西欧]
- PowerShares Dynamic Europe Portfolio (PEH)

[グローバル]
- PowerShares Dynamic Developed International Opportunities Portfolio (PFA)

[個別セクター]
- PowerShares Global Water Portfolio (PIO)
- Market Vectors Gold Miners (GDX)
- Market Vectors Environment Index ETF Fund (EVX)

[REIT・不動産]
- 現在なし

[コモディティ]
- PowerShares DB Agric (DBA)
- U.S. OIL FUND (USO)

[債券]
- Aberdeen Asia-Pacific Income Fund (FAX)
- Global High Income Fund (GHI)
- Templeton Global Income Fund (GIM)
- Templeton Emerging Markets Income Fund (TEI)

[為替]
- PowerShares DB G10 Currency Harvest (DBV)

ジャパン・パッシング?

先週の終わり頃からでしょうか、「ジャパン・パッシング」と言う単語を見掛ける様になりました。外国人投資家が日本市場を跨いで通り過ぎていると言う意味合いです。

先週は米国がFFレートを0.5%下げたことで、東京市場も水曜日に大幅反発をしました。しかし、その後が冴えません。勢いは続かず、日経平均は16500円の壁に跳ね返されてしまっています。先のエントリーで、「日経平均株価がこのまま上昇基調に転じるか否かは、16576円を終値ベースで越えられるかで判断できると思います」と記しましたが、残念ながらこれは実現されていません。

上図は直近3ヶ月の米国(S&P500・緑)、欧州(IEV・赤)、新興国(EEM・黄)、日本(EWJ・青)の株価の推移です。米ドル建てで比較するためにEWJを用いました。これを見ると、今回の世界同時株安の引き金を引いた、米国と欧州の株価が3ヶ月前の水準まで戻ったのに対し、日本市場は未だに-6%程度の水準に沈んでいます。その一方で、元気なのが新興国市場。元々、サブプライムローンとは無関係だったこともあり、既に今回の下げ分は吸収し、新高値を取る勢いです。これを見ていると、ジャパン・パッシングも現実のことかと感じさせられます。

しかし、単純にジャパン・パッシングだけを今の株価の戻りの遅さの原因とするのは早計な気がします。次に、直近1年間の株価の推移を示します。

これを見ると判るように、日本株の出遅れは今回のサブプライムローンショックから始まったものではなく、2月末の上海ショックの頃から既に顕在化しています。一方、外国人投資家の投資状況はというと、8月こそ大幅な売り越しを記録しましたが、それまでは一貫して買い越を続けていました。従って、ジャパン・パッシングを全ての日本株低迷の原因とするには無理があると考えられます。

むしろ、現在の低迷の主犯は郵貯民営化に向けてのポジション整理にあると見るべきでしょう。最近、ネット上で話題となったこの事実、今日は日経新聞でも遅まきながら記事として採り上げられています。今年に入ってから、郵貯は一貫してポジションの縮小を続けてきており、これが2月以降の上値を抑えて来たものと推察されます。

そこで今後の投資行動ですが、10月からは再び郵貯が日本株のポジションを拡大すると考えるならば、今が正に仕込み時と考えることも出来ます。下値の目処として、これまでは15500円を待っていましたが、ちょっとそこまでの押しは期待できないと、見通しの変更します。既に先週末の次点で日経平均の25日平均線は上向きに転じました。そこで、次の押し目の目処は25日線を割り込む16100円付近に置きたいと思います。

具体的な売買計画としては日経16100円割れを待ち、日本株向け資金枠の残存キャッシュの半分で、日本株のブルファンドを仕込むことにします。更に15800円付近まで押す様であれば、残り半分も突っ込んで行きます。


ところで、これとは別に「ミューチュアル」の処分を検討しています。恐らく自社株買いの発動だと思うのですが、株価は急速に戻しており、ここへ来て含み損は解消しています。依然として、PBRと配当利回りを見る限り、「ミューチュアル」が優良なバリュー株だと言う認識は変えていません。しかし、現在の投資家の新興市場離れは深刻で、ジャスダック平均は先週再び最安値を切り下げてしまいました。もはや浮上の切欠は見つけ難く、月足チャートからは、2009年まで新興市場の復活は無いようにも見て取れます。

日本の新興バリュー株を抱えて冬眠するよりも、今一番元気な世界の新興国市場に投資する方が、如何見ても賢明な判断に思われる訳で..。

2007年09月24日

PowerShares FTSE RAFI Emerging Markets Portfolio (PXH)

2007/09/27にPowerSharesから新たに5種のETFが上場されます。その内の4種がRAFIの考え方を用いたグローバルファンド。残る1種はベンチャーキャピタル等の、未公開株を扱うグローバル企業を投資対象にするセクター型ETFです。

この中で、私的に最も気になるのが掲題の「PowerShares FTSE RAFI Emerging Markets Portfolio (PXH)」です。

新興国株を投資対象とするETFとしては、EEM・VWO・DEMなど、微妙に味付けの違うものが組成されていますが、今回のPXHもまた違った特徴があり、PXHのウリは文字通りRAFIの考え方をベースにインデックスの組成比率を決定している点にあります。

RAFIの考え方に付いては今更触れるまでもありませんが、要は従来型の時価総額以外に、キャッシュフロー・売上高・配当利回り等のファンダメンタル要素を加えてスコア計算を行い、そのスコアに応じてインデックスの構成比率を決定しようと言うもの。

これまで、時価総額をベースにしたEEM・VWOに加えて、配当ベースのDEMが組成されて来ましたが、ここにきてRAFIを用いたPXHが登場したことで、新興国ETFにも役者が一通り出揃いました。

以下、新興国株ETF×4種について、特徴を一覧表にまとめます。

新興国ETF一覧表

それぞれのETFは構成比率の決定方法がそれぞれ違いますが、上位5国までの顔ぶれを見る限り、特に大きな違いはありません。強いて言えばDEMの構成比率が特徴的と言えば特徴的。

逆に、PXHの持つ特徴を挙げるとすれば、ネガティブな特徴ですが、信託報酬の高さが目に付きます。VWOに比べて3倍弱の信託報酬は、流石に高い。あとは、この信託報酬の高さを正当化するだけの、リターンが得られるか否かに掛かってきます。

リターンついては、実際に運用がスタートしてからの成績を評価するより無いわけですが、とりあえずインデックスのバックテストを見ると、5年運用時の年利が41.94%で、このときのシャープレシオは2.12と、なかなかの好成績。あとは実際の運用成績が出るのを待つのみです。

About 2007年09月

2007年09月にブログ「マネーゲーム&ボードゲーム」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2007年08月です。

次のアーカイブは2007年10月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。