先週の終わり頃からでしょうか、「ジャパン・パッシング」と言う単語を見掛ける様になりました。外国人投資家が日本市場を跨いで通り過ぎていると言う意味合いです。
先週は米国がFFレートを0.5%下げたことで、東京市場も水曜日に大幅反発をしました。しかし、その後が冴えません。勢いは続かず、日経平均は16500円の壁に跳ね返されてしまっています。先のエントリーで、「日経平均株価がこのまま上昇基調に転じるか否かは、16576円を終値ベースで越えられるかで判断できると思います」と記しましたが、残念ながらこれは実現されていません。
上図は直近3ヶ月の米国(S&P500・緑)、欧州(IEV・赤)、新興国(EEM・黄)、日本(EWJ・青)の株価の推移です。米ドル建てで比較するためにEWJを用いました。これを見ると、今回の世界同時株安の引き金を引いた、米国と欧州の株価が3ヶ月前の水準まで戻ったのに対し、日本市場は未だに-6%程度の水準に沈んでいます。その一方で、元気なのが新興国市場。元々、サブプライムローンとは無関係だったこともあり、既に今回の下げ分は吸収し、新高値を取る勢いです。これを見ていると、ジャパン・パッシングも現実のことかと感じさせられます。
しかし、単純にジャパン・パッシングだけを今の株価の戻りの遅さの原因とするのは早計な気がします。次に、直近1年間の株価の推移を示します。
これを見ると判るように、日本株の出遅れは今回のサブプライムローンショックから始まったものではなく、2月末の上海ショックの頃から既に顕在化しています。一方、外国人投資家の投資状況はというと、8月こそ大幅な売り越しを記録しましたが、それまでは一貫して買い越を続けていました。従って、ジャパン・パッシングを全ての日本株低迷の原因とするには無理があると考えられます。
むしろ、現在の低迷の主犯は郵貯民営化に向けてのポジション整理にあると見るべきでしょう。最近、ネット上で話題となったこの事実、今日は日経新聞でも遅まきながら記事として採り上げられています。今年に入ってから、郵貯は一貫してポジションの縮小を続けてきており、これが2月以降の上値を抑えて来たものと推察されます。
そこで今後の投資行動ですが、10月からは再び郵貯が日本株のポジションを拡大すると考えるならば、今が正に仕込み時と考えることも出来ます。下値の目処として、これまでは15500円を待っていましたが、ちょっとそこまでの押しは期待できないと、見通しの変更します。既に先週末の次点で日経平均の25日平均線は上向きに転じました。そこで、次の押し目の目処は25日線を割り込む16100円付近に置きたいと思います。
具体的な売買計画としては日経16100円割れを待ち、日本株向け資金枠の残存キャッシュの半分で、日本株のブルファンドを仕込むことにします。更に15800円付近まで押す様であれば、残り半分も突っ込んで行きます。
ところで、これとは別に「ミューチュアル」の処分を検討しています。恐らく自社株買いの発動だと思うのですが、株価は急速に戻しており、ここへ来て含み損は解消しています。依然として、PBRと配当利回りを見る限り、「ミューチュアル」が優良なバリュー株だと言う認識は変えていません。しかし、現在の投資家の新興市場離れは深刻で、ジャスダック平均は先週再び最安値を切り下げてしまいました。もはや浮上の切欠は見つけ難く、月足チャートからは、2009年まで新興市場の復活は無いようにも見て取れます。
日本の新興バリュー株を抱えて冬眠するよりも、今一番元気な世界の新興国市場に投資する方が、如何見ても賢明な判断に思われる訳で..。