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2007年11月 アーカイブ

2007年11月05日

米ドル利下げ!でもそんなのカンケーねー♪

如何にも予想を裏切る相場状況です。先週の序盤はFOMCを睨んで、予想通りのジリ上げの展開。そこに、予想通り0.25%の米ドル利下げが決定されて、米国市場はは微妙に乱高下しつつも上昇。これでもう、完璧に予想通りの展開と思いきや、ヤラレました。またしてもサブプライムローン問題再燃です。

今回の火元はシティバンク。負債隠しが指摘され急落。これが相場全体の重石になり、利下げ効果を1日で吹き飛ばしてしまいました。どうやらシティはメリルに続いて社長が引責辞任となる模様。まぁ、責任を取って辞めると言っても、百億円単位の退職金を貰って辞めるわけですから、引責というより、放り出すって言ったほうが正解でしょう。

そんなこんなで市場の動きは全く読めません。日本株は、チャート的には↑を目指す気配ですが、果たしてどうなることやら..。好決算を出しても、コンセンサスに届かないだけで売り崩されてしまいます。好決算だろうが上方修正だろうが、「そんなのカンケーねー♪」がここでも展開しています。

..と言う訳で、今週の動きもサッパリ読めませんが、一応予想は↑としています。只、週末に政局が大きく動いていることもあり、いろんな意味で予断を許さない状況です。もはや日本株への投資は、長期で持っても良いと思える銘柄だけを、只管ホールドしておくのが一番な気がします。下手に動いても良いことは無さそう..。

グローバルな流れを見ても、先進国から新興国or商品への資金の流れが鮮明になって来ています。もはや、カントリーバイアスに縛られて、日本株に投資している場合では無い気がします。


さて、先週のトレードを振り返りますと、まず日本株は月曜日に「1Q好配当銘柄バスケット」を買い益してます。これで、日本株に関しては実質的にフルインベストメント状態。

一方、海外の方はかなり細かく売り買いを入れています。まず、月曜日の早々に、香港市場で2831.hkを購入。FOMC前に仕込みを完了させてます。また他にも、GUR、GAF、ROB、MOOと言った新規銘柄をちょびっとずつ仕込んでいます。
一方、先週仕込んだUNGはあっさりと+10%を達成してしまったので、投機らしく一旦利喰いしています。(また落ちたら仕込みます。)

今週の計画としては、冴えないグローバル系のETFを処分して、エマージング系(株or債券)のETFにシフトさせることを考えています。一旦処分してしまったFXIの買戻しも視野に入れて臨むことにします。

2007年11月07日

書評の評価基準について

書籍は常に読んでいないといられない性質で、投資本の類も結構エライ勢いで読んでたりする訳ですが、歳のせいか記憶力がかなり怪しく、読んだ端からトコロテン式に忘れて言ってる気がしなくもない。orz

そこで、今後は読んだ本の感想を記録代わりに出来るだけ記しておくようにしたいと思います。..で、どうせ感想を書くなら、生意気であろうと、最後に評価らしきものは付けてみたい。(お金出して読んだ本なんだから、個人的な評価点位は付けてもバチは当たらんでしょう。)

そこで評価基準ですが、以下の5段階で評価してゆくことにします。

 (1) ★★★★★ 読んでよかった!万人に勧めたい。
 (2) ★★★★☆ 自分的には役に立った。万人にはどうか?
 (3) ★★★☆☆ まあまあ読む所あり。興味のある人はどうぞ。
 (4) ★★☆☆☆ 時間の無駄だったかも。特に勧めません。
 (5) ★☆☆☆☆ 役に立たないor害を成す。酷すぎて話のネタに...。

マネーと常識 /ジョン・C・ボーグル

著者は言わずと知れた、インデックスファンドの生みの親にして、バンガード社の創業者、ジョン・C・ボーグル。まぁ、インテックス教の信者にとっては、「教祖」というか「生き神様」にも相当する人物です。
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本書の原題は"The Little Book of Common Sense Investing"で、これを「マネーと常識」と訳したところに訳者の苦心が感じられます。コモンセンスと言う概念は日本人には理解し難いものですが、単なる常識ではなくて、その常識を生み出すための更なる土壌みないなものと考えれば良いでしょう。「投資のための常識の常識」として、ボーグルは語ったものであり、本書の全編に、ボーグルの信念が満ちています。良く言えば、本書で語られる内容を普遍の真理としてボーグルは心底から信じているのだと思います。

しかし、穿った見方をすれば、本書は全編に渡る、バンガード創業者としての壮大なポジショントークであると見ることも出来ます。恐らく、その辺りはボーグル自身も感じているんでしょう。そこで、本書の随所には「私のことはを鵜呑みにするな」と言う著名人のコラムが挿入されています。「ほら、私だけが言っているんじゃ無いでしょ。だからポジショントークじゃ無いんだよ」ってボーグルは言いたいワケ。

本書の前半2/3は、所謂インデックスファンドの優位性の記述で占められています。主な主張は次の通り。

 ・長期的に成長する企業を予め見つけることなんて不可能。
 ・長期で市場平均に勝とうなんてムリムリ。
 ・確実なのはコストを抑えられるだけ抑えること。
 ・アクティブファンドなんてコストが高いだけの無用な長物。
 ・税金もコスト。短期売買してその度に納税するなんてナンセンス。
 ・フィナンシャルプランナーなんて無駄な輩に余計なコストを払うな。
 ・黙って(バンガードの)インデックスファンドえば皆幸せ!

要するに従来からの主張と変わるところは無く、インデックス投資について既に書物を読んだことがある人には、新たな発見は無いと言って良いでしょう。(もちろん私も、主張として正しいと同意してます。ハイ。)

一方、後半1/3は最新の投資事情が加味された話になり、面白いといえば面白い。逆に言えば、「これって如何見てもポジショントークじゃねーの?」って、突っ込み所満載です。

ポイントは2つあって、アクティブインデックスに関する部分と、ETFに関する部分。どちらもバンガードとしては他社に遅れを取った分野だけに、ボーグルが如何に評するかは興味のあるところ。

詳細は原書で確認して頂きたいが、結論的にボーグルは、何れに対しても否定はしないながらも斜に構えた姿勢を取っています。しかし、頭から否定するだけの根拠も無く、その主張には如何にも苦しい..。(この苦しい言い回しが本書の読み所かも。^^;)

特に苦しいのがETFをショットガンに例える下り。「猛獣を狩るにも使える一方で、自殺にも使える」と言う主張なワケですが、例え話としてもあまり適当じゃない。要は「薬になれば毒にもなる」と言う話ですが、如何なるテクノロジーも使い方を誤れば害を成す訳で、内在する負の部分を特に強調し過ぎるのは、ポジショントーク以外の何物でもないかと..。


【評価】

インデックス教の教徒は信仰を深める為にも、一読しないといけません。一方、テクニカル教徒やファンダメンタル教徒の人がこれを読んでも、改宗に至ることはないでしょう。
危ないのは、無垢な投資初心者の方。盲目的に信じ易い人は読み方に注意が必要。一気に入信してしまう可能性も。
理想的な読み方は、一定の投資知識のある人が、大人の事情も理解しつつ、ボーグル先生の主張に対峙する気持ちを忘れずに読むことではないかと思います。

おすすめ度:★★★☆☆

2007年11月08日

アクワイア(Acquir)

■ タイトル

アクワイア(Acquire)%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%82%A2_%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9.jpg
 
■ デザイナー

S.Sackson

■ 発売元

Habsro社(オリジナルは3M社)

■ プレイ人数

2~6人


■ ゲームの概要

不世出のゲームデザイナー、シド・サクソンがデザインした、ホテル経営をテーマにしたボードゲームです。経済or投資をテーマにしたゲームとしてだけでなく、全てのボードゲームの中でも極めて完成度の高いゲームと言っていいでしょう。

オリジナルのデザインは1962年にも遡り、ボードゲームの古典とも言えるものですが、そのゲームとしての面白さは、40年以上の月日を経た今日でも色褪せるものではありません。正に、「このゲームをプレイせずにボードゲームを語るなかれ」と言って良いゲームです。

古いゲームである故、何度が発売元が倒産する事態が発生し絶版の危機に瀕しましたが、その都度版権が引き継がれ、現在は米国Hasbro社より発売がされています。

ゲームの目的はホテルチェーンを拡大すると同時にその株式を集め資産価値を高めることにあります。このゲームの過程では必ずホテルチェーン同士の合併が発生することになります。このM&Aを如何に実行するか、またその際に持株の処分をどのように行うかがゲームの勝敗を左右することになります。


■ ルールの概要

ゲームボードは12×9のマス目に分割されており、それぞれにA-1,B-2と言った番号が振られています。また、それぞれのマス目に対応した番号のタイル1個ずつあり、各々のタイルが1件のホテルに相当します。

手番のプレイヤーは手持ちのタイルの中から1個を選んで、ボード上の対応するマス目に配置していきます。ここで、2つのタイルがボード上の並んだマス目に配置されたとき、それらのホテルはホテルチェーンと成り株式が発行(上場)されます。当該のタイルを置いたプレイヤー(要するに創業者)は株式を1枚もらいます。

また同時に、手番のプレイヤーは上場しているホテルチェーンの株式を購入することが出来ます。(但し市場に株があればですが。全て買い占められてしまっていたら、欲しくても買えません。)

ホテルチェーンを構成するホテルの数が増えるに応じてホテルの株価は上昇して行きます。従って、成長しそうなホテルの株を買うことが大切なワケですが、ここで重要なルールがあります。それは、配当金は筆頭株主と次点の株主の2名にしか与えられないと言うものです。従って、株式を買い進める以上は、筆頭株主(悪くても次点の株主)になる必要があります。

ところで、このゲームの最大のポイントはホテルチェーン同士のM&Aにあります。2つのホテルチェーンを合併させるには、2つのホテルチェーンを互いに接続する様なタイルを配置する必要があります。合併が発生するとその次点で規模の大きい方のホテルチェーンが存続企業と成り、規模の小さい方のホテルは吸収されて消滅します。

さて、ホテルチェーンを合併すれば、存続する側のホテルチェーンの規模は大きくなり、その分だけ株価も上昇します。では、吸収合併される側のホテルにメリットは無いかと言うとそうではありません。むしろ、吸収させる方が重要になるケースが多々有ります。

このゲームのポイントの1つは、市場に株が残っていて、かつ資金がある限り、株式の購入はいつでも可能である一方で、売却は一切出来ないと言う点にあります。即ち、ゲーム開始時に与えられたキャッシュは株式を購入するにつれて枯渇してしまいます。そこで、キャッシュフローを回復するために、ホテルチェーンを有る程度育てておいてから、より大きなホテルチェーンに売り飛ばしてしまう(吸収合併させてしまう)必要が出てきます。ここで、消滅側のホテルの株は時価で売却できるほか、存続するホテルの株と1:2の割合で株式交換することも可能です。また、消滅するホテルの筆頭株主と第2位の株主には特別配当金も支払われます。

要するに、会社を起業して軌道に乗ったら、それを惜し気もなく大手企業に売却してしまい、創業者が莫大な利益を得ると言う、典型的なM&Aの姿がここに出現するワケです。


■ アートワークについて

%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%82%A2.jpg3M社より発売されたオリジナル版は、紙製ボードの上に木製のタイルを置いて行くと言う、非常に渋い造りをしていました。その後、幾つかのバージョンを経て、現在のHasbro版では、今時のゲームらしくプラスチック製のボードの上に立体のホテルのミニュチュアを並べると言う、人目を引く派手なギミックの物へと変更されています。どちらを好むかは人それぞれなのですが、シンプルなタイルを使用する古いタイプが、やはりアクワイアらしいと言えると思います。


■ 入手について

Hasbro版は現在でも入手可能です。米国では普通に販売されていますし、通販で買うことも出来るでしょう。また、日本のボードゲームショップ・輸入ゲームショップでも扱っていると思います。

一方、3M版・Avalon Hill版と言ったビンテージ物が欲しい場合には、やはりオークションの力を借りる必要があります。バージョンによって入手難易度が違うのですが、物に拘らないならば、米国のEBayに常時出品されているものを見つけることが出来るでしょう。但し、木製タイルバージョンや、最も古いオリジナルバージョン(ボードに世界地図が描かれています)が欲しいと言った話になると、Ebayで根気良く探す必要が出てきます。

2007年11月11日

悪材料が止まらない

サブプライムローン問題が再び嵐を巻き起こし、米国発の悪材料が止まりません。そして、比較的被害は軽いとも言われてきた日本の金融機関にも、みずほを始めとして悪いニュースが出てきています。

見方によれば、サブプライムローンによる被害は勝ち組と負け組みの切り分けが既に付いているとも言われてますが、何処が負け組みなのかシロート的には良く判らない点と、負け組みの規模が半端じゃ無いのが困った話。

更に先週は、バーナンキ先生が弱気発言したり(これってスタフグレーションなんじゃない?)、原油は高止まするわ、パキスタン情勢は緊迫してインドへの影響も出てくるわ、中国も引き締め観測が出るわ、もう悪い話しか聞こえてきません。

そんなこんなで、今回は米国発の世界同時株安が進行中。そして、毎度のことながら、日本市場はこれに輪をかけて弱い..。特に今回は急速な円高進行に歯止めが掛からない点が非常に辛すぎ。

これだけ悪いと、逆に好材料を探してみたい訳で、一つは円高が110円まで進んだこと。このまま110円を割る可能性も高いですが、割ったところで、一旦は反発してくると見ています。また、円高と言っても実際はドル安の意味合いが強く、他の通貨に対してはそれほど円高では無い点も見落とすべきではないでしょう。

また、テクニカル的には反発のサインが色々と出てきています。騰落レシオ25はもう少しで60台ですから、もう1下げも来れば反発期待が強まります。日経平均のチャート的にも下値抵抗線に近づいています。期待を込めて、15500円を割ったところで反発してくれることを祈ってます。


先週の日本株のトレードは、16000円割れで予定通り「日本株ブル2.5」を仕込みました。もやはこれで、逆さにしても(日本株投資用の)キャッシュは出ません。既に日本株のポートフォリオは長期投資モードに切り替わってますし、金融資産全体に占める割合も25%弱まで落としてます。もう、このまま1年冬眠しちゃおうかと考えてます。

その一方で、海外の方では色々と悪あがきを続けています。まず週の頭で計画通り、PFAと打診買いしたばかりのROBを処分。更に、パキスタン情勢とPノート規制が気になったインド(INP)を半分利益確定。ついでに勢いで、ブラジル(EWZ)も半分利益確定しています。そして、返す刀でSKFを買い増し。

結果的に、EWZの利確だけは早まりましたが、その他は成功。その前週はFXIを処分していたこともあり、ここまでの暴落はある程度の直撃を回避することが出来ました。

そして木曜日からは、ちょっと早いかとも思いつつ(米ドルを持ったままでも目減りして行く展開でしたので)、急落した所を拾いに掛かりました。..とは言え、まともに株式は買い難いので、債券とコモディティ関連銘柄を中心に仕込んでいます。実際に買い増しした銘柄は次の通り。

 ・外貨外債:DBV, EDD
 ・エネルギー:UNG
 ・ゴールド:GDX, GAF
 ・食料:MOO

思うに、今回の急落が8月の時と異なるのは、市場が全面安では無い点にあると考えてます。実際、商品市場はエネルギーとゴールドを中心に堅調ですし、これに関連した株式銘柄も下落していません。例えば、資源国のロシアやブラジルのETFは堅調ですし、同様に資源セクターのETFも値を保っています。なので、当面はこれらの観点から、資金の退避先を決めて生きたいと思ってます。特に、GAFはゴールドとエネルギーの両テーマに関連することから有望な投資先と考えています。

2007年11月12日

現代アートを買う①

唐突ですが、現代アートの作品を購入しました。(と言ってもまだ届いてはいないのですが..。)ちょっと長くなりそうですが、この話を書き記しておきたい思います。


実は、この話の発端は一年も前に遡ります。最近は「ガイアの夜明け」で加熱する現代アートのマーケットが紹介されたりして、そのブームが加速してきた感がありますが、当時はまだマスコミ一般で現代アートの話題を目にすることは少なかった様に思います。

そもそも、私が現代アートを買おうと思い立ったのは、書店で「夢をかなえる投資塾」を偶然手にしたことでした。内容的に女性or初心者の投資家向けの書籍でしたし(帯に書かれたコピーも扇動的でしたから)、通常私が読む本ではなかったのですが、偶然斜め読んだ一節にピピッと感じるものがありました。

著者の主張を超約すると、

 ・日本人が知らないだけで、世界的に現代アートがブームになってお
  り、特に中国を中心としたアジアのアートが高額で取引されている。
 ・その一方で、日本人作家の現代アートはまだまだ安値で放置されて
  いる。買うなら今。

と言う物です。

その頃の私は、「世界的な金余り」と「資産インフレの進行」を重要な投資テーマと考えていました。しかし、不動産はREITは買えても現物は流石に高すぎて手が出ない..。そんな時にこれを読んで、「そうか、絵画なら買えるかも」と単純に考えたワケでした。

元来、美術館で絵を観たりするのは好きだったのですが、「絵画はあくまでも観るもの」であって「所有するもの」と言う考えは私の中にカケラもありませんでした。それだけに、「絵を買う」と言う思い付きは、私にとって新鮮でドキドキ感のあるものでした。

(②へつづく)

現代アートを買う②

さて、「現代アートを買おう!」と思い立ったものの、如何してよいか判りません。そこで、何をしたかというと、ネットで"現代アート"をググりまくりました。そして、現代アートを専門に扱うギャラリーを見つけ、アップされている作品を見まくりました。

相当な数の絵を観ている内に、幾つかのことが判って来ました。まず、一口に現代アートと言っても千差万別であること。琴線に触れる作品もあれば、全くかすりもしないしない作品もあります。(と言うか、かすらない作品のほうが遥かに多い。)

また、価格もマチマチである上に、値段が不明の作品も多い。(正確に言うと、ギャラリーに掲載されている殆どの作品は既に販売されてしまったもの。だから値段が出てない。)そして、著名な作者の作品はメチャメチャ高い。

明らかになったことは、予算的に手が出るのは新人作家の作品に限られると言うこと。そして、「まだ世に出ぬ作家の作品で、自分の気に入った作品を見つけ出す」これが私の出した結論でした。

実は、投資家としての視点で考えたとき、ここには大きな問題が潜んでいます。「まだ世に出ぬ隠れた作家を見出す」これは投資としては間違っていない。問題は「自分の気に入った作品を見つけ出す」の部分。

純投資と考えれば、「自分が気に入った作品を探すのでは無くて、他人が気に入りそうな作品を探す」、これが本筋です。所謂、美人投票の理論って奴。リターンを最優先に考えるなら、そう考えるのが当然であり、そうでなければなりません。

しかし、アートを買う場合には少し違うように私は考えました。先ず、自分が気に入った作品を買う。そして部屋に飾る。結果的に価値が上がれば、良いし、価値が上がらなくても自分が気に入っていればそれで良い。

これが証券や債券の様なペーパーマネーとの決定的な違いだと思うのです。アートと言う、人の思いが入った作品に投資するのであれば、作者や作品へのリスペクトを忘れてはいけないと考えました。

純投資と考えれば甘いのですが、「アートは銘柄に惚れて投資すべき」そして「資産として保有すべき」と思うのです。

(③へつづく)

2007年11月16日

現代アートを買う③

「新人の作家さんで気に入った作品を買おう」方針は決まりました。そしてついに、おぉっ!と思える1人の作家さんを発見しました。

その作家さんは当時、初の個展を開いたばかりの方で、ネットに公開されていた作品数も多くはありませんでしたが、どれも「これは(・∀・)イイ!!」と思えるものでした。..でも、残念ながらここでもやっぱりSold Out。

しかし、それまでに結構な数の絵をネット上で見て来て、ここまで気に入った作家さんはいませんでしたから、簡単に諦める気持ちにはなりません。そこで、個展を催した画廊にメールを書きました。

 「他に販売可能な作品はありませんか?」(←これ位は普通?)
 「自分の為に1枚描いてもらえませんか」(←怖いもの知らず。値段も判らんのに..。)

なんとまぁ、シロートならではのチャレンジャーな問い合わせです。只、その時は既に投資としての意識よりも、純粋に「欲しい」と言う意識が強く、それ故に直情的なアプローチになったんだろうと、今になって思います。


さて、程なく画廊からの返信メールが届きました。

 「作家と話をしました。1年待ってもらえるなら製作できるかもしれません。」
 「とにかく一度、画廊まで来て見て下さい。」

さぁ、もう後へは引けません。(^^;)

(④へつづく)

現代アートを買う④

「絵を描いてもらおうと思う」突拍子も無いことを言い出した旦那に驚く嫁さんを連れ立って、早々に画廊へと出かけました。(だって、画廊なんて生まれてこのかた入ったことが無いワケで、1人で行くのは流石にビビリますもんね。汗)そして、我々が向かった小さな画廊で待っていたのは、とても話好きなオーナーでした。

 「絵画なんて今まで買ったことも無いし、画廊に来ることだって初めてですぅ。」

素直に白状した私達に、オーナーさんは色々なことを教えてくれました。それは、現代アートを取り巻く環境や、画廊と作家さんの関係、等々、多岐にわたるお話でした。

 「世界的に現代アートにはブームの兆しがある。でも、日本は遅れている。」
 「その原因の1つは日本の画廊システムにある。」
 「画廊には2つの種類がある。それが貸し画廊と企画画廊。」
 「貸し画廊は作家からお金を取って場所を提供する。要するに不動産屋。」
 「企画画廊は出品料を取らずに個展を開催する。要するにプロモーター。」
 「貸し画廊はリスクを取らない商売。それが画廊の大半を占めている。」
 「日本には企画画廊が少な過ぎる。だから、新人が世に翔くことが出来ない。」
 「現代アートは決して高くない(特に新人作家は)。大人のお小遣いで十分買える。」
 「優良な企画画廊で、気に入った作品を探すのが、最も上手なアートの買い方。」

時間を忘れて話に聞き入りました。まぁ、多少のポジショントークは入っているとは思うのですが、その主張は概ね理解できるものであり、大変参考になるものでした。

そして、最終的に作品の作成を依頼しました。納期はおよそ1年待ち。ちょっと心配していたお値段も幸いにも許容の範囲。長手長さ1m程度のサイズ(初めてのくせにデカイ絵を頼んでるし..)をオーダーしましたが、お値段は単元100株のちょっとした銘柄1枚程度でした。この位のお値段であれば、必要なときに何かちょっと売れば資金は用意できそうです。

(⑤へつづく)

2007年11月18日

現代アートを買う⑤

1年が経ち、作家の2度目の個展が開催されました。そして、私が製作依頼品も、個展の中心作品として展示の一角を飾りました。

私が個展を訪れたのは展示期間の半分を過ぎた頃でしたが、作品の大半は売約済みとなっており、小ぶりの作品数点を残すのみという状況です。なんでも、作品の大半は個展の開催前に売約済みとなってしまい、開催日の時点で既に購入可能な作品は僅かしか残っていなかったとか..。

結果的に、サイズの大きな作品を購入するためには注文制作をお願いするしか無かったわけで、1年前に私が取ったちょい無謀な行動も、あれはあれで正解だったと今にして思います。
個展の際に有数な現代アートのコレクターの方にお会いする機会があり、「あの作品を購入したんですよ」と伝えたところ、とても羨ましがれると同時に、「良い購入の仕方をされましたね」と言う言葉を頂きました。もっとも、「アート作品の初めての購入としては、稀有なケースですね」とも言われちゃいましたが...。(^^;)

そのコレクターの方には、「作家の人気がでれば作品の値段は簡単に10倍になるし、この作家さんも人気になる可能性が高いと思う。」と言われました。確かに、価値が騰がるならば、それに越したことはありません。しかし、作品をここまで気に入ってしまうと、生活に貧する様な状況にでもならない限り、もはや価値が幾らになっても手放そうという気にはなれそうもありません。

(⑥へつづく)

現代アートを買う⑥

最後に、改めて現代アートを資産運用の側面から考え直しておきます。端的に言えば、アート作品は流動性の低い資産クラスです。商品の一種と考えられますが、一点物であると言う希少性に起因するプレミアムと文化的価値を考えると、単なるコモディティの一種として括ってしまうのは、本質を外している様に思います。

ポートフォリオの分散として考える場合、アート作品は不動産の一種として捉えるのが最も近いように思います。なので、後は自らのポートフォリオにどの程度の不動産を組み込むかを考えれば良いことになります。私の場合、不動産とコモディティを合わせて、総金融資産の10%以内と決めていますから、ここに現代アートの作品も併せて計上することになります。(但し、アート作品は家賃収入の様なインカムは一切もたらしません。その一方で、経年的な減価もしません。)

只、アート作品の流動性の低さに警戒をするならば、総資産に占める割合を他のコモディティ銘柄とは独立して設定した方が良いかもしれません。ちなみに、現在の私のポートフォリオでは、アート作品の占める割合は1%弱になっています。この上限を2%~3%迄アップしないと、更なる作品の収集は出来ないことになります。

実際、アート作品をアセットアロケーションに組み込むことの何が怖いかって、それは「作品を1つ手に入れると次がまた欲しくなってしまう」と言うアートの魅力そのものに有ります。その魅力に如何に抗するかが問題で、気付いたらアート作品に囲まれていて、一方で「アセットアロケーションがズダズタ」と言った状況だけは避けなければなりません。

株式では「銘柄に惚れるな」と言いますが、アートの場合は如何しても作品に惚れてしまいます。そこが最大の問題なんだと思います。

2007年11月19日

2番底待ち

結局先週は予想通りの厳しい展開。逆に言えば、予想通りと言えば予想通りの展開で、ドル円は110円を一旦割ったところで、反発。日経平均は15000円の心理的抵抗線が機能して、辛うじて反発しています。

日経平均のチャートとしては、8月17日に付けた15262円を切り下げたことでかなり雰囲気が悪いのですが、この日経平均を米ドル換算で見ると、辛うじて抵抗線上に乗っているのが判ります。

これを切り下げる様だと、底抜けな状況が待っていますが、為替もなんとか110円をキープしてくれそうなので、そろそろ一旦は底打ちしてくれるのではないかと、甘い期待も持っています。騰落レシオ25は60台ですから、これが60を割れば確実ではないかと。

まぁ、個人的には日本株は既に冬眠モード入りしてますので、今更「如何にでもなれ」と言う心境ではあります。..と言うワケで、先週は日本株の売り買いは基本的に無し。唯一行ったのは、11日の戻り局面でJ-REITを20%程処分して現金化したこと。これでJ-REITのポジションも、一時に比較して1/3以下に低下しました。残りはもう、只管ホールドすることにします。


一方、相変わらずジタバタと抵抗を続けているのが海外。9日にインド(INP)を全処分して、全般的に下げていた市況関連銘柄を買い増してます。具体的には、

 ・エネルギー関連:GUR, GAF, IF, EWZ
 ・ゴールド関連:GDX
 ・食料関連: MOO

等ですが、結果的にこれが裏目..。orz 今回は動いたことで傷口を広げました。只、相場観としてはそろそろ欧米以外は仕込みの時期と思っていますので、週明けも残りのキャッシュで買い向かいたいと思ってます。

悩ましいのは何を買うかで、テクニカル的にはそろそろ中国と言う気もするのですが、政策的に嫌な噂が色々あって難しい。また、現在処分しているインドも、Pノート規制の影響度が全く不明で手掛け難い。そうなると、残るはロシアとブラジルですが、ロシアは既に結構なポジションを取ってしまっている為、ターゲットはブラジルという事になりそう。J-REITを一部処分した資金が国内にあるので、これをブラジル投信に振り向けることを考えたいと思います。

あと、円高進行も一段落したと見ていますので、徐々に「世界のサイフ」を仕込み始めています。

好配当株バスケット・フォローアップ⑤

ちょっと間が空いてしまいましたが、前回のフォローアップの続きです。


(注:ローソク足は当バスケットを指数化したもの、緑色の線がNK225、水色の線がTOPIX。橙色は25日線。チャートの作成にはOmegaチャートを利用。)

良くも悪くも、株価は指数に連動して下げています。取り合えず、インデックスファンドの代りとしては十分に機能していると言って良いでしょう。

1Q好決算銘柄バスケット・フォローアップ②

こちらは、1Q好決算銘柄バスケット運用のフォローアップ。

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(注:ローソク足は当バスケットを指数化したもの、緑色の線がNK225、水色の線がTOPIX。橙色は25日線。チャートの作成にはOmegaチャートを利用。)

地合の影響は避け難いものがありますが、それでも両指数をアウトパフォームし続けていることが判ります。

2007年11月26日

円高キツイです

いやぁ、流石に厳しい状況になって参りました。そろそろ、ここらで一服するだろうと思っていた円高基調が止まらず、遂に107円台まで突入しました。この調子だと105円は覚悟しなければならないのかもしれません。

また、米ドル建て日経平均もあっさりと支持線を割り込みました。もはや下値の目処が立たない状況です。次は14500円が一応の心理的抵抗線で、これが破られたら140000円まで逝きそうです。まぁ、流石に14000円をつければ止まるとは思いますが..。

この厳しい状況で、敢えてポジティブな要素を探るとすると、騰落レシオ25が底値圏にあること。現在60台ですが、これが50台に入れば文句なしに底入れでしょう。
もう1つは、ヘッジファンドの解約対策の売りが先週までで、一先ず終わったと見られること。逆に、月末に向けてドレッシングを期待したい所です。
最後に、総悲観ムードが出てきたこと。ネット上の書き込みを見ていてもかなり悲惨な感じになって来てますので、クライマックスは近いかもしれません。

..まぁ結局は、なんやかんや言っても為替次第と言う気がします。先ずは110円台を回復してくれれば、雰囲気も変わるかと思うのですが、どうなることやら。

さて、我がポートフォリオはと言うと、地合の悪さにシッカリと連動しており、大分傷みが広がって来ています。先週の一週間で、一気に年初来の利益を全て吹き飛ばすところまでヤラレました。(円高キツイです..。)orz

日本株に関しては、計画通り放置モード。もはや、ここから下ではジタバタしません。

一方、海外の方は今週も買い戻しを続けています。ブラジルをメインに仕込み、ついでにFXIも久しぶりに買い戻してます。これで、そろそろ海外投資の資金枠もお腹一杯になりそうです。

残るところでは、インドを買い戻したいのですが、↑へ行かれてしまい、買戻しのタイミングが掴めません。

保有銘柄(2007/11/22・円建て)

・特に目だったポジション変更は無し。(放置モード)
・J-REITのポジションを減らしてHSBCブラジルオープンを購入
・セガミがセイジョーとの合併を発表。しかし合併比率不利で下落

■ファンド

 - 三菱UFJ投信:外国株式インデックス *1
 - みずほ投信:みずほウェルズファーゴ・エマージング株式 *2
 - みずほ投信:みずほJ-REIT *2
 - DIAM:中国関連株オープン
 - HSBC:ブラジルオープン
 - 東京海上:エネルギー・食料関連ファンド
 - ブラックロック:グローバル・フレキシブル・バランス・ファンド
 - セゾン投信:バンガード・グローバル・バランス・ファンド
 - 大和証券投信:ブル2.5倍日本株ポートフォリオ
 
  *1: 三菱UFJ銀行のATMと振込み手数料無料化のために保有
  *2: みずほ銀行のATMと振込み手数料無料化の為に保有


■個別銘柄

[長期ホールド]
 - 東芝(フラッシュメモリ・原子力)
 - JR東日本(電子マネー・駅中開発・不動産開発)
 - 任天堂(DS・Wii)
 - 雪印乳業(優先株償却)

[バリュー]
 - セガミメディクス(セイジョーと合併)
 - ADM
 - 東京カソード

[バスケット運用]
 - 好配当銘柄バスケット(DNLトラッキング)
   日産自動車、ホンダ、野村HD、JFEH、新日鉄、関西電力、大和証券
   九州電力、アステラス製薬、中部電力、第一三共、エーザイ
   神戸製鋼、東北電力、花王
   
 - 貸金業銘柄バスケット
   アコム、武富士、アイフル、プロミス、クレディセゾン、UFJニコス
   イオンクレジット、OMCカード、SFCG、ロプロ

 - 1Q好決算銘柄バスケット
   島精機製作所、ダイキン工業、JUKI、グローリー、芝浦メカトロにクス
   スタンレー電気、富士フィルム、生化学工業、日野自動車、アイシン精機
   
[システム運用]
 - TOPIX連動型ETF(1306)

[塩漬]
 - ジャストシステム(xfy)


■その他

 - 地金積立(田中貴金属・G&Pプランナー)

保有銘柄(2007/11/22現在・外貨建て)

相場の調整状況を眺めつつ買戻しを実施中。欧米系のポジションを落とす一方で、新興国の特に資源関連銘柄を中心に仕込んでいる。キャッシュ比率は大幅に低下。北米はショートを継続。全体として、新興国に偏ったポートフォリオ構成。
また、無駄に増えてしまったエマージング債について、銘柄の絞込みを実施。

・インド(INP)を全数処分。
・グローバル株式(PFA)を全数処分。
・中国(FXI)を一部買戻し。
・一時ポジションを減らしたブラジル(EWZ)を買戻し。
・東欧(GUR)を新規に購入
・ロシア(2831.hk)を新規に購入
・アフリカ・中東(GAF)を新規に購入。
・インドネシア(IF)を新規に購入。
・農業セクターファンド(MOO)を新規に購入。
・一旦利確した天然ガス(UNG)を再購入。
・エマージング債(TEI, GHI)を処分して(EDD, PCY)を買い増し。


■長期保有銘柄

[Unit Trust Fund]

- Fidelity ASEAN
- Fidelity Euro Balanced Fund
- Franklin Mutual European Fund
- Templeton Eastern Europe
- INVESCO Asia Infrastructure Fund
- HSBC Managed Growth Fund
- JF Philippine
- Shloder Select BRIC's Equity


■トレーディング銘柄

[中南米]
- iShares MSCI Brazil Index (EWZ)

[中国]
- iShares FTSE/Xinhua China 25 Index (FXI)

[インド]
- 現在無し

[東欧・ロシア]
- Lyxor ETF Russia (2831.hk)
- SPDR S&P Emerging Europe ETF (GUR)

[アジア・太平洋]
- PowerShares Dynamic Asia Pacific Opportunities Portfolio (PUA)
- Indonesia Fund (IF)

[アフリカ・中東]
- SPDR S&P Emerging Middle East & Africa (GAF)

[新興国]
- Claymore/BNY BRIC ETF (EEB)
- WisdomTree Emerging Markets High Yielding Equity Fund ETF (DEM)

[北米]
- ProShares Ultra Short Real Estate (SRS)
- ProShares Ultra Short Financials (SKF)

[西欧]
- 現在なし

[グローバル]
- 現在なし

[個別セクター]
- PowerShares Global Water Portfolio (PIO)
- Market Vectors Gold Miners (GDX)
- Market Vectors Environment Index ETF Fund (EVX)
- Market Vectors Agribusiness ETF (MOO)

[REIT・不動産]
- 現在なし

[コモディティ]
- PowerShares DB Agric (DBA)
- United States Natural Gas Fund (UNG)

[債券]
- Aberdeen Asia-Pacific Income Fund (FAX)
- Templeton Global Income Fund (GIM)
- PowerShares Emerging Markets Sovereign Debt Portfolio (PCY)
- Morgan Stanley Emerging Markets Domestic Debt Fund (EDD)

[為替]
- PowerShares DB G10 Currency Harvest (DBV)

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