最後に、改めて現代アートを資産運用の側面から考え直しておきます。端的に言えば、アート作品は流動性の低い資産クラスです。商品の一種と考えられますが、一点物であると言う希少性に起因するプレミアムと文化的価値を考えると、単なるコモディティの一種として括ってしまうのは、本質を外している様に思います。
ポートフォリオの分散として考える場合、アート作品は不動産の一種として捉えるのが最も近いように思います。なので、後は自らのポートフォリオにどの程度の不動産を組み込むかを考えれば良いことになります。私の場合、不動産とコモディティを合わせて、総金融資産の10%以内と決めていますから、ここに現代アートの作品も併せて計上することになります。(但し、アート作品は家賃収入の様なインカムは一切もたらしません。その一方で、経年的な減価もしません。)
只、アート作品の流動性の低さに警戒をするならば、総資産に占める割合を他のコモディティ銘柄とは独立して設定した方が良いかもしれません。ちなみに、現在の私のポートフォリオでは、アート作品の占める割合は1%弱になっています。この上限を2%~3%迄アップしないと、更なる作品の収集は出来ないことになります。
実際、アート作品をアセットアロケーションに組み込むことの何が怖いかって、それは「作品を1つ手に入れると次がまた欲しくなってしまう」と言うアートの魅力そのものに有ります。その魅力に如何に抗するかが問題で、気付いたらアート作品に囲まれていて、一方で「アセットアロケーションがズダズタ」と言った状況だけは避けなければなりません。
株式では「銘柄に惚れるな」と言いますが、アートの場合は如何しても作品に惚れてしまいます。そこが最大の問題なんだと思います。