ビッグチーズ(The Big Cheese)
■ タイトル
ビッグチーズ(The Big Cheese)
■ デザイナー
James Ernest
Jon Wilkie
■ 発売元
Cheapass(米国)
■ プレイ人数
3~6人
■ ゲームの概要
ネズミの世界の金融会社を経営し、好業績を目指すマネージメントゲームです。
プレイヤーは社員であるネズミを上手に活用して、プロジェクト物件を効果的に落札することで、プロジェクトを完遂し収益を獲得して行きます。
極めてシンプルなルールながら、リソースの管理に悩まされる好ゲームです。
■ ルールの概要
始めに、各プレイヤーにはマーカーが各10個与えらます。これがネズミの従業員を表しています。(準備はこれだけ。)
次に、テーブルに山積みしたカードの一番上の1枚を捲って、それを公開します。各カードには4~20の数字が記されており(注:特殊カードの例外あり)、これがプロジェクトの規模を表しています。即ち、数字が大きいほどデカイ仕事であり、高い収益が狙える仕事になります。
このテーブルに公開されたカードが入札案件になります。各プレイヤーは、このプロジェクトを落札する為に入札を行うのですが、その為に使用するのが始めに与えられたマーカー(即ち従業員)です。要するに、そのプロジェクトにより沢山の従業員を投入することを宣言したプレイヤーがそのプロジェクトを落札することになります。
プロジェクトを落札したプレイヤーは、そのカードを自分の前に置き、投入を宣言した数のネズミマーカーをその上に置きます。
以上で、1回の入札が終了となり、次の山札を捲って、次のプロジェクトの入札を開始します。
カードの上に配置したネズミマーカーは、後続の入札が1回終わるごとに1個ずつ手元に戻って来ます。そして、カードの上の全てのネズミマーカーが無くなったとき、そのプロジェクトは完了したと見なされます。プロジェクトが完了したら、そのカードに記される数字(プロジェクトの規模)と等しい多面体のダイスを振り、そこで出た目がプレイヤーが獲得する収益になります。(例:数字10のプロジェクトを完了したら、10面体のダイスを振り、出た目が得点に成ります。)
こうしてゲームを続けて行き、最初に40点を獲得したプレイヤーが勝者に成ります。
※多面体ダイスの代わりに一般的な6面体のサイコロを使用して遊ぶルールも有ります。
■ ゲームのポイント
このゲームのポイントは限られたネズミ従業員を如何にして効果的に投入するかと言う、リソースの管理にあります。従業員を常に仕事に投入した方が、リソースの投資効率は良さそうですが、いざ大きなプロジェクト物件が入札に掛かったときに、投入可能なリソースを残していないと、入札に勝つことが出来ません。みすみす、ライバル企業に少ないリソースで落札されてしまう恐れが生じてしまいます。
これは、株式投資に当て嵌めて考えれば、キャッシュポジションをどの程度残して行くべきかと言う判断に通じます。キャッシュを手元に残すことは投資効率上好ましくありませんが、かと言ってキャッシュポジションをゼロにしてしまうと、相場が大きく下落した好機に追加投資が出来なくなります。
この投資すべきか機を待つべきかのジレンマこそがこのシンプルなゲームの根幹を成すものです。
尚、説明として省略してしまいましたが、プロジェクトカードの中には2種の特殊カードがあります。これが「VETO」と言うプロジェクトの入札を無効化出来るカードと、「Big Cheese」と言うダイスの振り直しが出来るカードです。この2種のカードがルール上非常に上手く機能しており、ゲームに効果的なアクセントを加えてくれます。
■ アートワークについて
これは良くも悪くもCheapass社のゲームの特徴でもあるのですが、コンポーネントは極めてチープで、ちゃっちい代物です。
カードは名刺状の厚紙に絵がプリントされただけで、角も面取りすらされず尖っています。更に、プレイ上必要なダイス、マーカー、得点チップ等もセットには含まれていません。即ち、本ゲームを遊ぶためには、これらのパーツを併せて準備しなければなりません。
この様なシステムは日本や欧州では考えられない感覚ですが、ダイスやマーカーなどは自前で持っているので、それを添付しないことで値段を下げると言うのはある意味で良心的な販売方法と考えることもできます。(米国的な合理主義の表れでしょう。ちなみに、定価はUS$3.00と破格です。)
また、カードに描かれるネズミたちは、何気に味が有って可愛いです。
■ 入手について
息の長いゲームで、最近まで入手可能だと思ったのですが、改めて調べてみると現在は入手が難くなっている様です。もしかすると絶版扱いになったのかもしれません。元々、単価が安いことで利幅も少なく、日本の輸入業者もあまり扱っていない様です。只、結構な数が世に出ている筈なので、オークションで地道に探せば見つかる様に思います。
また、イタリア版が発売されているらしく、こちらならば現在でも入手可能と思われます。(但し、ネズミのイラストは米国版の方が私的には可愛いと思います。まぁ、これは好き好きですが..。)