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オークション アーカイブ

2007年01月07日

自動延長は悪ですか?

日経新聞を購読していると、土曜日に「NIKKEIプラス1」と言う別刷が届きます。何気に投資のヒントになる内容が多かったりするのですが、今回はコラムにてヤフオクの自動延長について触れられていました。

コラムの趣旨を要約すると、

 ・ヤフオクの自動延長は落札できたと思っても、ラスト5分で入札が入り延長されてしまう。
 ・延々と続くことも有りがっかりする。(要するに高騰して落札できないの意味でしょう。)
 ・そもそも、この自動延長は落札額を引き上げる為のシステムではないのか?
 ・ヤフーは落札額が高いほど手数料が大きい。収益のために自動延長しているのでは?
 ・ヤフーは儲け過ぎなので、システムを見直すべきではないか?

と言った所です。

まぁ、現在のヤフオクを見る限り、自動延長システムが落札額を引き上げていることは間違いないと思います。ヤフーも収益のためにこのシステムを採用している可能性も否定できません。

只、私の様な、出品者としても落札者としてもオークションに参加してきた者から見ると、記事の主張はあまりに落札者側に寄った意見と言わざるを得ません。オークションは出品者と落札者が居て初めて成立するものであり、何れもオークションハウスからみれば顧客です。落札者ばかりに肩入れしても問題です。

コラムニストは自動延長によって落札額が騰がると主張しているが、これは純粋に落札者側の問題であって出品者の責任でなければ、オークションハウスの問題でもありません。落札者から見て、競りと言う物は本質的に欲しいと思う価格の上限で勝負するものであり、それより安く落とせればラッキーなだけです。もし、競り値が上限額を超えてしまえば清く諦めるしかありません。これが大原則であって、競り値が高騰すると言う主張は落札者側の甘えです。実際、出品者としてヤフオクを見ていると、ベテランのビッターほど、一定ラインを超えると、ピタリと入札を止めてきます。

オークションハウス側が落札者の射幸心を煽っていると言う主張はあるかもしれませんが、これは落札者側が大人になるより、しかたないことと私は考えます。
投資的な視点でみても、落札者側は「入札しなければ良い」と言う最強のカードを握っています。逆に出品者は(特に業者ならば)、ある程度品物を回転させる必要があり、落札をしてもらう必要があります。本質的には落札者側が絶対有利であって、あとは需給の問題に過ぎません。

もし仮に自動延長を廃止したとしても、オークションそのものが効率的市場であるならば、落札額が下がることはないと思います。
実際、米国最大のネットオークションのEBayでは自動延長はありません。その代わりに何が発生したかといえばストライピングと呼ばれる手法が横行しています。ストライピングとはオークション終了寸前で自分の欲しいと思う最高値を入力する方法です。できるだけギリギリのタイミングで入札するためには専用のソフトウェアを使用して自動入札をかける必要があります。(私が入札する場合は5秒前位でビットしてます。)
結局、ベテランと初心者の差はここでも埋まりません。特にコンピュータの知識が必要な分だけ、ヤフオクよりも問題かもしれません。

結局、オークションも株式市場も同じです。定められたルールの中で、買い手はより安く買いたいし、売り手はより高く売りたい。ただそれだけに過ぎません。大切なことは、しっかりとした基準を持って、揺らがない値付けをすることに尽きます。自動延長はヤフーオークションと言うオークションハウスのルールであって、それを遵守することがオークションに参加する上での条件です。

妙に買い手側だげを保護せよと言うのは、全体があまりに見えていない主張だと考えます。

2007年04月19日

シンワアートオークション

この銘柄、今週に入り急落しています。急落のトリガは先週末に開催されたオークションの売り上げが昨年比でマイナスだったこと。この結果を見て、会社の通期予想の甘さが改めてクローズアップされ、買い手不在の相場に陥っています。

実はこの銘柄、私は投資先として検討していました。私が考えたのは..

 ・今後、日本は資産インフレの方向へシフトすると予想していること。
 ・海外では美術品への投資が盛んに行われていること。
 ・中国を始めとしたアジアの作家の価値が急騰していること。
 ・在庫を持たない身軽な運営が可能なスキームであること。
 
基本的に有利な条件が揃っており、後は美術品オークションの市場が広がることで、会社業績の上昇が期待出来ると考えていました。


そこで、投資の是非を判断するためと、好きな現代アートの見物をかねて、先週末のコンテンポラリーアートオークションを見てきました。(落札する気は始めからなかったので、参加してきたとは言えませんが..。)

..で、その成果ですが、「この会社は投資対象としては不適格である」と言う結論が得られました。オークション自身はそれなりに盛り上がっていた様に思います。終盤は1000万円を超える落札が続き、庶民の金銭感覚を完全に破壊してくれました。(笑)

まぁ、それはそれで良いことなのですが、問題はオークションの運営。信じられないくらいダメダメです。顧客第一主義と言う考え方は、この会社には存在しない様です。一部の大口の画廊だけを相手にしていれば良いと考えているなら、継続的な業績の向上は期待できません。マーケットを広げる努力をしないならば、現在の割高な株価を正当化することは出来ません。

以下、目に付いたダメダメな運営。

 ・Webサイトでは混雑するので早めに来る様に促していながら、受付開始は開始の
  30分前。お客さんは外で待たされてました。受付は30分では終わらず、結局
  開始が遅れることに。
  
 ・会場の席の数が全く足りません。半数の人は2時間ほど立ちっぱなし。事前に
  チケットを事前配布している以上、参加者の数は予想できるはず。あまりにも椅
  子の数が少なすぎます。(もし私が立たされてたら、即座に帰りました。)
 
 ・ついでに、椅子がしょぼい。パイプ椅子に2時間も座ったら腰がたまりません。
  お年寄りには更に堪えたことでしょう。(それなりに参加者には資産家の方も
  居るでしょうに、庶民でも呆れちゃう設備です。)
  
 ・社員があまりに使えない。沢山いるのに、誰一人案内もなにもしない。突っ立っ
  てるだけ。挨拶も会釈も出来ない。(時代遅れの画廊的感覚?)
 
 ・一部の大口を明らかに偏重している。それ自体は理解出来ますが、参加者を増や
  すことを考えるならば、それなりにさりげなくやる気配りは必要でしょう。逆に
  言えば、大口さえ大事にすれば、後は如何でも良いと言う雰囲気がミエミエです。
  
細かい点を入れれば、この何倍も改善点を挙げることが出来ます。私がフロアマネージャーなら、多数の社員を説教することになったでしょう。一般人にとって、次も積極的に参加したいと思わせる運営ではありませんでした。商売で参加する人や、コアな美術品コレクターは参加すると思いますが、これではマーケットの拡大は期待できません。

でも、きっとこの会社には永遠にそれが解らないと思います。そういう会社であることが良く判っただけでも、直接見てきた価値がありました。こういう姿勢は、株主に対しても変わらないと思います。恐らく、大株主だけは大事にして、個人株主数を拡大する努力などは思いもしないことでしょう。

現在の株価の崩落も当然の成り行きに思えています。

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