今回は、以前ここで説明した「回収率が100%を超えていても的中率と資金量が適正でなければ破産してしまう」と言う話の続きです。この破産確率のことをバルサラの破産確率と言うのですが、これを計算するにはプログラムを作って計算するか、ExcelのGoSheek機能(またはソルバー機能)を使用する必要があります。しかし、非技術系の方には敷居が高いこともあり、幾つかのウェブサイトではこの破産確率を計算してくれる機能を提供してくれています。
更に、それも面倒であれば、条件毎に破産確率を計算した早見表を作ってしまうのが手っ取り早いのですが、ここでちょっと問題があります。まず、試しにGoogleで”バルサラの破産確率表”を検索してみると、3000件超のサイトがリストアップされて来ますが、この内の一部には計算に間違いがあると言われています。そして、何れが正解で何れが誤りなのか一見して判らないために、結局、全てが信用できなくなってしまいます。また、誤りではないものの、計算に用いた条件を明記していないものも散見され、これも混乱を招く原因になっています。
更に、このバルサラの破産確率は多くの場合にFXのシステムトレードに利用される考え方であるため、競馬畑の人から見るとプロフィットファクターなどと言ったなじみの無い用語が出てくると言う問題もあります。
そこで今回は、競馬向けにアレンジしたバルサラの破産確率表を作成しましたので、これを紹介したいと思います。まず、破産確率は的中率と回収率とリスクレートの3つの条件を決めることで計算することが出来ます。ここでリスクレートとはある買目について、全体の資金量に対する購入する馬券の金額の比率です。例えば、軍資金10000円の人が100円の馬券を買う場合、リスクレートは100÷10000=1%となります。
また、ここで示した通り、回収率はオッズと的中率の間で「回収率=オッズ×的中率」の関係が成り立ちますので、オッズと的中率が判っている場合は、これから回収率を求めて下さい。例えば、的中率20%と推定する馬券のオッズが6倍の場合、回収率は20%×6倍=120%と推定することが出来ます。
そこで以下の表ですが、リスクレートを0.2%, 0.5%, 1.0%, 1.5%, 2.0%, 3.0%としたときの、的中率と回収率に対する破産確率を表しています。具体的に表3はリスクレートを1%にしたときの破産確率を表しており、的中率20%で回収率120%であれば、破産確率は0.05%に抑えられることが判ります。
表1:リスクレート0.2%の時の破産確率表
表2:リスクレート0.5%の時の破産確率表
表3:リスクレート1.0%の時の破産確率表
表4:リスクレート1.5%の時の破産確率表
表5:リスクレート2.0%の時の破産確率表
表6:リスクレート3.0%の時の破産確率表
ここで、表の青色の条件は投資競馬として安全圏と考えられることを示しており、逆に赤色の条件は継続的に馬券を買う条件としてはリスクが高く、非現実的であることを示しています。黄色はその限界ラインと考えて下さい。
さらに、黒太枠で囲んだ条件は、個人的に有用性の高いと考える条件になります。例えば、「的中率30%,回収率110%」の条件と言うのはワイドで狙いやすいゾーンですが、このときのリスクレートは1%程度が(リスクを抑えて利益を大きく取る意味で)適切と判断出来ます。同様に、3連複で「的中率5%,回収率120%」の条件を狙う場合には、適切なリスクレートは0.2%前後であり、0.5%ではリスクを取り過ぎと言うことが判ります。
※1レースに多点買いする場合はそれらを合成したオッズと的中率で破産確率を評価する必要があります。これについては別の機会に考察したいと考えています。