馬を買わずに株を買う話(1)

馬券を買っても回収率100%の達成は難易度が高く、一口馬主に出資しても継続的な収支プラスは更に難しい。”馬券回収率>100%”はギャンブラーの目標ですが、やはり競馬は儲けるための手段では無くて「娯楽としてお金を消費するもの」と考えるのが常識的なんだと思います。

しかし、競馬にお金を費やす者がいるのであれば、その分だけ潤っている組織があるはずです。もちろん、その際たる組織は日本国そのものですが、他にもそのお零れで儲けるている組織があっておかしくありません。そして、「その組織が株式会社として上場しているのであれば、その会社の株式を購入することで、儲けの一部を分けて頂こうではないか」と言うのが今回の話のネタになります。

そもそも、馬券の売り上げでテラ銭をハネることは日本国の専売事業ですが、競馬の運営に付帯して発生する業務については民間に委託されています。そして、ここ数年の競馬人気が回復する流れの中で、これらの組織の収益は確実に上がっていることが想像できます。また一方で、部分的に民営化されているとはいえ、誰にでも参画できる様ものではなく、参入障壁が極めて高い事業であることが容易に想像できます。

そこでまず、競馬で儲けていそうな組織について考えてみます。まずは牧場関係ですが、ノーザンファーム&社台ファームと言った大牧場は市況に左右されながらも、継続的な利益を上げていると考えられます。しかし、これらの牧場は非上場ですので、一般人が直接投資する術はありません。一方で、その他の中小牧場については、近年でも老舗牧場が廃業している様に、一般に良好な経営状況とは考えられず、出資の対象とはなり得ません。

次に馬主関連ですが、過去に「ディープインパクトが勝つと図研(9647)の株価が上がる」と言う時代がありました。それは図研の社長が、ディープインパクトの馬主の金子真人さんであったが故ですが、近頃はその種の話を聞きません。これは、最近の大馬主さんは個人の持ち株会社を立ち上げて、そこで競走馬を購入管理していることに因るものと考えられます。

それでは、共同馬主である一口馬主倶楽部はどうでしょう?これは、上手く経営すれば継続的に利益を生み出せる可能性があると思います。これまで、一口馬主倶楽部の多数が統廃合を繰り返して来た経緯から、従来型の運営では倶楽部の経営は苦しいものと考えらえるのですが、そこは割り切って、会員に徹底的に貢いでもらう利益優先の仕組みと、合理化による運営コストの削減を実現すれば優良事業化は出来ると考えます。そして、これを実際に進めているのがDMMのバヌーシーであると思います。支払いを出資時の一回限りとして追加経費を徴収しない仕組みは、出資者の心理的ハードルを下げる効果がありますが、クラブ側からみれば収入を先取りできるメリットがあり、翌年の募集馬の購入運営資金に回すことも可能です。更に、収入変動のリスクも抑制することが出来ますので、良く考えられた仕組みと考えることが出来ます。言い換えれば、それだけ会員側にとって不利なシステムとなりますが、そこを会員に「夢」を見せることで納得して貰うことが、DMMの運営手腕の見せ所となるワケです。
DMMはバヌーシーを別にしても収益性の高い事業を多数抱えていますので、出来ることならば出資したい企業なのですが、残念ながら非上場であり、一般人が出資することは出来ません。

以上、出資の出来ない対象から話が入ってしまいましたが、今度は出資可能な対象に絞って候補を考えてみることにします。そこでまず、Yahoo Financeでキーワードを「競馬」にして銘柄検索を掛けると、国内上場企業として以下の9銘柄がリストアップされてきます。

東京都競馬(株)[9672] – 東証1部
池上通信機(株)[6771] – 東証1部
(株)日本トリム[6788] – 東証1部
京阪神ビルディング(株)[8818] – 東証1部
(株)よみうりランド[9671] – 東証1部
花月園観光(株)[9674] – 東証2部
日本BS放送(株)[9414] – 東証1部
富士通フロンテック(株)[6945] – 東証2部
日本興業(株)[5279] – 東証JQS

そしてこの中で、自分が最も投資妙味があると考えていて、実際に株式を購入している企業が「東京都競馬(9672)」です。次回は、この東京都競馬について銘柄分析をしてみたいと思います。


補足1:図研(6947)については社長と競馬は別にして、企業としての投資妙味はあると感じています。

補足2:日本BS放送(9414)は競馬番組による利益寄与は不明ですが、企業として投資妙味があると考えています。(現在は利益確定してしまいましたが、過去に投資していた企業です。機会があれば、再投資してみたいと考えています。)

補足3:「オッズパーク(株)」は将来的に有望な企業と考えていますが、ソフトバンクグループの100%子会社であり、直接出資することが出来ません。

補足4:楽天市場が開催する「サラブレッドオークション」は将来性を考慮しても、規模的に楽天(4755)の株価を左右するものでは無いと考えられます。

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