少しずつでも競馬以外のテーマも増やして行きたいと言うことで、今回は物欲系な買い物の話をしたいと思います。
..と言うわけで、初回のネタにするのは「Oculus Go」です。私も技術者たるもの新し物好きな訳ですが、時として「これは生活を一変させるのでははないか」と感じるほどの衝撃を受ける製品に出会うことがあります。例えば、WiFi,NAS,スマホ,カーナビ,HDDレコーダ、等々がそれに当るのですが、約一ヶ月使ってみて、この「Oculus Go」についてもそれに近い感覚を覚えました。
一般の人に「Oculus Go」と言っても、大半の方には?マークが飛んでしまうと思いますが、要は仮想現実(VR:Virtual Reality)の世界を体験する為の道具です。VRゴーグルとか、VRヘッドセット等と言うこともあります。今年公開された映画「レディプレイヤー・ワン」を見た方がいましたら、あれに登場するゴーグル状の道具がVRデバイスです。また、アニメの「ソードアート・オンライン」に登場するナーヴギアも同じくVRデバイスです。
VRデバイスについて、日本ではSONYの「PlayStation VR」が最も有名ですが、元々VRが技術的に大きく飛躍した契機はOculus社がクラウドファンディングで出資者を募って開発した「Oculus Rift」にあると考えられます。Oculusはパルマー・ラッキー氏が起業した会社で、現在はFaceBookに巨額で買収されています。その後、パルマー・ラッキー氏はFaceBookを退社してしまいましたが、開発はFaceBookに引き継がれ、最近発売されたのが今回の「Oculus Go」です。ちなみにパルマー・ラッキー氏は大の日本贔屓で、ソードアート・オンラインの大ファンとしても知られています。
ところで、VRを体験する為のデバイスにはピンからキリまであります。高いものは「PlayStation VR」や「Oculus Rift」の様な専用デバイスで、ゲーム機本体やハイスペックPCが必要となり、全てを一から用意すると10万円に近い出費が必要になります。一方で、最も安価なのは段ボール紙にスマホを装着して簡易なVRゴーグルとする方法もあります。これならばスマホ代を別にすれば、1000円程度の費用でVRが体験できます。
しかし安価なデバイスでは画像の質が低く、十分にリアルな疑似体験を得ることは出来ません。結果的に直ぐに飽きてしまうことが多い様です。
一方で、10万円近いシステムになると、得られる体験はけた違いにリアルですが、一般人が気軽に購入できる価格ではありません。また、使用する為にPCやゲーム機を起動するなど準備が多いことも、ライト層を敬遠させる原因となっています。「2017年はVR元年」などと一部で持て囃されましたが、結局のところ、「世の中に遡及するに足るだけの製品が存在しなかった」と言うのが現実であり、VRデバイスが一般人にまで広がることはありませんでした。
これに対し今回発売された「Oculus Go」は、現状を打ち破るだけの可能性を秘めた商品だと感じました。「Oculus Go」は「Oculus Rift」の廉価版に位置づけられますが、一般人に必要十分な機能に絞り込んで価格を抑えた、上手くマーケティングされた製品であると思います。
まず23800円と言う価格が絶妙な設定です。(注:メモリ容量の多い29800円のタイプもありますが、自分は23800円の方で充分だと思います。)この価格ならば、大人が気軽に小遣いで買えるレベルと言えるでしょう。
次に重要な点は、これが単独で使用出来ると言う点です。厳密にはセットアップにスマホが必要なのですが、初期設定が終わってしまえばスマホは無くても動作します。但し、ネットワーク接続は必須なので、家庭にWiFi環境が無い人には導入のハードルが高くなります。ここで、「単独で使用出来る」と言うことは邪魔なケーブル類が不要と言うことを意味しており、充電さえしておけば、何時でもスイッチを入れて直ぐに使うことができます。「気が向いた時に気軽に使える」と言うことは、一般に普及するための重要なポイントになります。
最後の問題は「何に使うのか」です。これは「パソコンを買っても使う目的が無ければ宝の持ち腐れになってしまう」のと同じ話です。現状のVRの用途は大別して、ゲームと動画の視聴にあると思います。(将来的にはコミュニケーションツールに進化すると思っていますが、「Oculus Go」ではそこまでは望めません。)
そこでポイントは「ゲームをするのか、動画を見るのか」ですが、個人的にオススメなのは動画視聴への使用です。自己紹介に書いている通り、私はゲーム大好き人間ですが、現状の「Oculus Go」のゲームのクォリティは、自分がゲームに求めるクォリティレベルに達していません。スマホのゲームでも楽しめる人ならば「Oculus Go」のゲームも楽しめると思いますが、自分の場合は「Oculus Go」のゲームでは早々に飽きてしまいます。
これに対して圧倒的に有用性を覚えたのが動画視聴の用途です。ここで動画視聴にも幾つかのパターンがあり、その1つがNetflixやAmazon Primeからのストリーミング配信で映画やテレビ番組を視聴するものです。仮想空間に高級リビングや映画館を作り出し、目の前に据えた大画面に好きなドラマを映してみることが出来ます。これを一度体験すると、近い将来、映画館が世の中から消えてしまっても不思議はないと思えます。更に何らかの方法(微妙な話題になるので詳細は省略🤫)でパソコン内に動画ファイルを保存している人は、それをDLNAを使ってストリーミング再生することで、同様に仮想空間でこれを視聴することが可能になります。また、ビデオ機器がネットワーク接続されている人は、そのDLNA機能を使って録画済みの番組を視聴できるかもしれません。(注:何故か我が家のRegzaでは成功していません。)
ちなみに、個人的に最も有用と感じたのは3D映画をVR空間で視聴することです。これを体験すると、一般の映画よりも高額なIMAXシアターなど不要だと思えるでしょう。
そして、もう1つの動画視聴の形態がVR動画を視聴することです。例えば、Yotubeには360度動画と呼ばれる動画が公開されており、これを「Oculus Go」で見ると、あたかも自分がその世界にいる様に感じることが出来ます。ここで競馬がらみの話にすると、JRAもこの360度動画をYoutubeに公開しています。
これは中山芝2000のコースを撮影した動画で、普通にパソコンで見てもそれなりに見ることは出来るのですが、これを「Oculus Go」で見ると全く違って見えて、本当に自分がコースを1周している感覚に囚われます。(注:長く見ていると確実に乗り物酔いします。)他にも中山の地下馬道の様子や、阪神競馬場のコースなども公開されており、競馬ファンであれば体験しておきたいコンテンツだと思います。
あと、このタイプのVR動画の99%はムフフな世界にものになります。ある意味衝撃的な動画ですが、詳細は自主規制させて頂きます。😅 只、過去にVHSビデオが世の中に普及した最大の要因がムフフなビデオにあったと言われる様に、技術革新とムフフな欲求には切り離せないものがあります。この点が「Oculus Go」が世の中に一気に広がる可能性を感じさせるところでもあります。
最後に今後の課題を考えてみます。まず、装着感をもっと軽くしたいところです。映画を2時間も見ていると、ゴーグルの跡が顔に残ってしまいます。また椅子に座った態勢でゴーグルをしているだけでも、ゴーグルの自重が負担になります。これを避けるには寝転がって上向きにゴーグルを装着すると良いのですが、何時でも横になれる訳ではありません。
また、顔面に装着して使用する道具を複数人で共有するのも衛生的に気になるところです。特に女性はその様に感じるのではないでしょうか。これを逆説的に考えると、VRゴーグルを個人持ちする将来が容易に想像することが出来ます。1セット10万円では無理な話でも、1万円台に下がれば十分に可能性は出て来るでしょう。
なお、日本での「Oculus Go」の普及を妨げている最大の要因は、購入方法が公式サイトからの通信販売のみに限られている点にあると思います。海外通販としては最も簡単なレベルだと思いますが、経験の無い人にはどうしても敷居が高くなってしまいます。海外では店頭販売が開始されたとの話もあり、日本でも近々に始まるのかもしれません、恐らくこれが始まった時がVRが一般に普及する時だと思います。
今風の表現を借りれば、アーリーアダプターの世界に閉じていたVRが「Oculus Go」の発売を契機にレイトマジョリティ層に一気に広がることになると予想します。
※ 現在Oculus Goを購入するには、ここから注文することになります。価格は送料込みで、注文すると2~3日で香港から到着しました。かなり早くて驚きました。