18年度のグリーンファーム募集馬カタログが送付され、募集の全容が漸く明らかになりました。この中で、大きなトピックスの1つが、久々の特別募集馬の復活であると思いますので、今回はこれについて考えてみます。
先ず、一口馬主クラブが募集代金0円の特別募集馬を扱うことのインセンティブについては2つの可能性があると考えています。1つは、通常の商流で販売するだけの要件を満たさない生産馬がいたときに、牧場側が自己資金で競争させる代わりに、活動資金だけでも負担してもらうことを牧場側から一口クラブに依頼するケースです。
ここで、グリーンファームが前回募集した特別募集馬は2013年のグリーンアモーレでしたが、この仔はネオユニヴァース産駒の牝馬と言う時点でスペック的に見劣りし、さらに尺が小さく、体質的にも虚弱でした。即ち、一見してワケありの募集馬であり、上記のパターンに該当したと考えています。
これに対して、もう1つのパターンとしては、クラブ側が安価な仔馬を仕入れて、販促活動の一環として無償募集とするケースが考えられます。前者と大差はないのですが、主体がクラブ側である点で、相対的に募集馬のクォリティはこちらの方が高いと考えます。
今回のエイシンバンバの2017が上記の何れなのか(若しくはその中間と言う可能性もあり)、実際の所は判りませんが、仔馬のスペックと馬体を見る限り、後者ではないかと推測しています。本仔の評価については個別のレビューのなかで語りたいと思いますが、自分の事前評価では「1000万円までの募集価格であれば出資検討の対象になる」と考えていました。そういう意味で、今回の無償提供は非常に魅力的なオファーとして映ります。
さて、今回の特別募集馬の応募条件をみると、概ね次のようになります。
・17年産馬の申し込み者に限り応募可能
・総口数は200口
・1人につき1口
・会員枠150名は先着順
そして、このレギュレーションからクラブ側の大凡の意図が読み取れると思います
まず、2017年産馬への応募とのセットであることから、当然ですが2017年産馬の販売促進が目的です。さらに、既会員枠を150口としている点から残りの50口は新規会員枠と考えられ、新規会員獲得の意図が伺えます。(2018/8/29追記:残50口は他社台系クラブ会員向けの確保分とのこと。そこで余れば新規会員向けに振替えるものと思います。)
一方で、気になるのは既存会員枠の150名を先着順としている点です。前回のグリーンアモーレは総口数を500口として、販促効果がより多くの出資検討者に及ぶように考慮されていましたが、今回は200口に数を絞っています。さらに先着順とすることで、本仔への出資を希望する会員は、必然的に早期応募を検討せざるを得なくなります。私も例に漏れませんが、グリーンファームの会員さんは即満口にならないと見た仔馬については、ギリギリまで様子見を続ける傾向があり、今回の特別募集馬はこの様子見対策の可能性が高いと見ます。
そして、この予想が正しいと仮定するならば、本特別募集馬はある程度魅力的な募集でなければなりません。無償とはいえグリーンアモーレの様なスペックと馬体では、数を200口に絞ったところで満口にならない可能性が高く、それでは様子見対策にはなり得ません。特に様子見を行う会員の方は、十分に仔馬を見極め様とする筈なので、安易にクラブ側の意図通りには動いてくれないと考えられます。即ち逆説的に考えて、「今回のエイシンバンバの2017はある程度魅力的(お買い得)な設定になっている筈」と推測できることになります。
また、グリーンアモーレの頃とは違い、現在グリーンファームでは地方競馬登録の馬も扱っています。その環境下でエイシンバンバの2017を地方競馬枠で募集しなかったと言うことは、中央競馬に登録するに足るだけの能力があるとクラブ側が判断しているとも考えられます。
以上の推論から、今回のエイシンバンバの2017は”買い”であると自分は判断したのですが、一方で、「単に無償だからと言うだけで、安易に飛びつくべきではない」と言う点には、十分に留意しておく必要があります。
再び、グリーンアモーレの話に戻します。本仔は2歳春に早々に入厩された後、長期間外厩に放置されてしまい、結局デビューは3歳の4月になりました。そして、ここから芝で2走して、どん尻を2回記録したところで早々に見限られてしまいました。2走目はタイムオーバではありませんでしたが、ダートを試すこともなければ、地方交流戦を検討されることもなく、まだ未勝利戦を残した時期に地方競馬に転出されてしまいました。(ちなみに、無償提供馬は地方競馬オークションで販売されても、会員に売却費は入って来ません。)
このぞんざいな扱いは厩舎側の問題が大きかったと考えていますが(本件も含めて、私はこの厩舎をNG認定しました)、これを良しとしてしまうクラブ側の姿勢にも大きな問題があったと思います。そしてその裏には、「無償提供なのだから軽く扱って構わない=供給側の責任は軽い」と言う、不遜な考えがあるような気がしてなりません。命ある物を扱う以上、常に人事を尽くすべきであって、価格に依って対応が変わることはあり得べからずと考えますが、その様な扱いを受ける可能性があることも残念ですが念頭に置いておく必要があります。
また単純にコスト面でみても、2歳から未勝利戦が終わる3歳9月までの21か月間に掛かる維持費は63000円に及びます。積み上げれば安価な仔馬を一口購入できるだけの金額ですので、それに相当するだけの価値を本当に認めるのか、真面目に検討すべきでしょう。
ちなみに自分はエイシンバンバの2017に応募することも含めて、今年は早々に応募を済ませてしまいました。そういう意味では、まんまとクラブ側の戦略に乗ってしまったことになりますが、これが吉と出るのか凶と出るのか、来年の結果を待ちたいと思います。
なお、エイシンバンバの2017に応募するためだけに、適当にもう1頭を見繕うワケには流石に行きません。現実の流れは「本命に決めた馬が早々に満口になる可能性が高い」と判断した上で、「それならば特別募集馬への応募も考慮して、最速で申込書を投函するのがベスト」と判断したと言う次第です。
コメント
こんにちは。僕もグリーンで一口させていただいて、参考にさせていただいております。
クラブに確認したところ、エイシンバンバの200のうち50は、他の社台系クラブに案内を送っており、その確保分だそうです。
さんこい様、
情報ありがとうございます。本当に助かります。
なる程、本家の分が有ることを失念していました。これについては、一般募集の馬と同じ扱いと言うことですね。尤も、グリーンファームから見れば、本家から会員を迎えることは新規会員を増やすことに変わりはないので、本家分が恐らく余るので、それは新規会員さんに向ければ良いと言うことかもしれませんね。
追って本文の方にも追記をしておきたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。
PS.さんこいさんは今年の出資馬は決められましたでしょうか?色んな見解を知ることが出来ると参考になりますので、宜しければお教え頂けると嬉しいです。