2019年グリーンFから募集して欲しい仔馬⑤

2019年度グリーンFから募集して欲しい仔馬の5回目です。(一覧はこちら

今年度の本シリーズでは単にカタログスペックを追いかけるのではなく、募集可能性も考慮して候補馬のピックアップを行っています。そう言う意味で今回ピックアップする仔馬は一見してのインパクトは弱いのですが、検討すると妙味があって、その上で募集される可能性も十分にあると思われる、評価する程に出資したくなる様な仔馬です。


No5:エイシンバンバの2018

1.基本情報(netkeiba.com参照

父  :ディープブリランテ
母父 :Rock Hard Ten(USA)
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
FN :2号族
誕生日:2018/04/09
生産 :那須野牧場

2.牝系情報

母エイシンバンバは外国産馬ですが、中央競馬では勝利を挙げることが出来ず、地方でも僅か2走したのみで未勝利のまま引退をしています。但し、血統的には一本筋が入っていることもあり、繁殖に上がることが出来ました。そして誕生した初仔のルヴァンヴェール(父エスポワールシチー)は、昨年グリーンファームから無償の特別提供馬と言う形で募集されることになりました。無償提供と言う形を採った背景には母馬のスペックの弱さがあったと考えて良さそうです。

ちなみに、エイシンバンバがエスポワールシチーを種付けられたのは栄進牧場での繋養時であり、これを繁殖馬セール等で那須野牧場が購入したものと考えられます。その様な事情もあって、グリーンファーム的にはレアな風味のエスポワールシチー産駒がクラブ馬として募集されることになりましたが、那須野牧場で種付けられた1つ下の本仔には、芝馬を狙ったと考えられる配合が試みられています。本仔の父はディープブリランテですが、実際はその前にミッキーアイルとドリームジャーニーの社台系種牡馬の種付が試されています。そして、これらが不調に終わった結果、3度目の正直で誕生したのが父をディープブリランテに変えた本仔となります。

ちなみに、本牝系のファミリーナンバーはスピード系の2号族であり、個人的に本仔に惹かれる要素の1つです。

3.種牡馬

父ディープブリランテの現役時の戦績は東スポ杯2歳S(GⅢ)と日本ダービー(GⅠ)の2つの重賞を制しましたが、その後の海外遠征では結果が残せず、秋の菊花賞を前に屈腱炎を発症。そのまま現役を引退し種牡馬生活に入りました。3歳で引退を余儀なくされたことから、ディープインパクト産駒の中では最速で社台スタリオンにスタッドインしています。

初年度の種付料が社台スタリオンとしては比較的安価な120万円からスタートしたことを考えると、特段に高い期待を掛けられていたワケではないと考えられますが、それでも初年度産駒からセダブリランテスが出て、ラジオNIKKEI賞と中山金杯の2つの重賞を制しました。只、その後に続く産駒が出ていないことも事実であり、120万円でスタートした種付料は最大200万円まで上昇しましたが、最新の種付料は150万円に減額されています。また繋養先も2019年からブリーダーズスタリオンに変更されており、ディープインパクトの後継種牡馬としては社台Gから見限られる格好になりました。尤も、ヴィクトワールピサやシンボリクリスエスなど、社台スタリオンからブリーダーズスタリオンに移籍して復権気配の種牡馬もいますので、種付料との折り合いが付けば、今後の活躍はまだまだ可能ではないかと思います。

4.血統配合

ディープブリランテに付いては、セダブリランテス以外の重賞勝ち馬が出ていない状況でもあり、配合上のポイントは未だ見えていない状況です。しかし、それでも勝ち上がった産駒の血統構成を俯瞰すると、Mr.ProspectorとRobertoの血を併せて有する仔馬の存在が目立っています。件のセダブリランテスもこの血統構成を有しており、本仔もこの血統構成に合致しています。

そこで具体的に勝ち上がり率を評価してみました。まずディープブリランテ産駒全体の勝ち上がり率は、未出走馬を除いて75/245=30.6%(牡馬:38/114=33%,牝馬:36/129=22.9%)です。次に、母系にRobertoの血を有するディープブリランテ産駒の勝ち上がり率を調べると、22/59=37%(牡馬:13/28=46%,牝馬:9/31=29%)にアップしました。全体的に改善する方向ですが、特に牡馬の成績が大幅に上昇していることが判ります。これはRoberto系の競走馬は牡馬に活躍馬が偏重することと無関係ではないかもしれません。ちなみに本仔は牡馬なので、この効果を享受することが可能です。

更に、ここから母系にRobertoとMr.Prospectorの血を併せて有する産駒に絞り込むと、勝ち上がり率は11/24=45.8%(牡馬:8/13=61.5%,牝馬:3/11=27%)となりました。ここまで来ると絶対的なサンプル数が不足してしまうので仮説の域に留まりますが、Mr.Prospectorの血を加えることで、特に牡馬の成績を向上する効果が期待出来そうです。ちなみに、Robertoの血を有さない産駒については、Mr.Prospectorの血の有無は特に成績に影響を与えていませんでした。あくまでもRoberto+Mr.Prospectorの配合に意味があるものと推測します。

5.予想価格(予測モデルは本稿を参照

価格:1000万円(基本価格:1000万円,本馬補正:+200万円,父系補正:+100万円,母馬補正:-200万円,兄姉補正:-100万円)

半兄ルヴァンヴェールが無償の特別募集馬であったことを考えれば、1000万円の予想価格は十分妥当性がある様に思えます。

6.まとめ

冒頭で記載した通り、本仔のスペックは特段の目を惹くものではありませんが、牡馬であることを含めて、その血統構成には間違いなく妙味があります。更に、「グリーンファームの傾向分析」でネタにした様に、「非社台系牧場生産の牡馬は走る」の実績があり、本仔の評価を高める要素となります。

加えて、オカルトと見られるかもしれませんが、個人的に2号族の募集馬とは相性が良く、これも本仔への期待感を高める要因となっています。2号族の勝ち上がり率については追って調べてみたいと思っているのですが、「極軽系」とか「スピード系」と言われる様に、スピード能力に優れたファミリーであれば、「取り敢えず勝ち上がる」と言う観点において有意に働く可能性があると思っています。

そして最後に、1つ上のルヴァンヴェールが特別募集馬であったことを考えると、本仔の募集価格も相当抑えられることが予想できます。ルヴァンヴェールが勝ち上がれば、今後の評価は上がることになりますが、それまでは1000万円前後の予想募集価格は妥当性がある様に思われます。

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