「フェデリコテシオの理論」の初心者が、これを用いてグリーンファーム所属馬・募集馬の分析を行ってみるシリーズの3回目です。(前回はこちら)
注意:ここに記す分析は、「フェデリコテシオの理論」の初歩を聞き齧ったレベルの者の見解であり、本来の理論に照らして誤っている可能性は多分にあります。もし誤りが有りましたら、ご指摘を頂ければ幸いです。なお、「フェデリコテシオの理論」について、自分は下記のYoutubeチャンネルの動画を参考に勉強させて頂いています。本稿では「フェデリコテシオの理論」の具体的な適用方法など、詳細には触れていませんので、興味のある方は下記のYoutubeチャンネルなどをご参考にされて下さい。
さて3回目の今回は、自分の初めての一口出資馬であるサザナミの母クーデンビーチから連なる牝系にスポットをあてて、「フェデリコテシオの理論」を用いた分析を行うこととします。
クーデンビーチの産駒とグリーンファームの関係は、件のサザナミがオープン馬となる活躍をした後、2019年の募集馬としてローラーコースター(クーデンビーチの2018)が募集されて来ました。今回はサザナミの血統分析を切り口に、ローラーコースターの分析へと進め、さらにはサザナミの産駒についても検討を行いたいと思います。
1.サザナミの血統分析
優先祖先:Never Bend
基礎体力:60%
まずサザナミの最大活性種牡馬は活性度8のGreen Desertです。父ディープインパクトの活性度は1の劣勢期にあり、サザナミの特質は主に母系からもたらされたものと言うことになります。特に、クーデンビーチの母系のGreen Desertの活性値は最高の8ですから、殆どの産駒は父親に似ることはなく、母系の特徴が表に出ることになります。次にGreen Desertを入口にして優先祖先を探しますが、型通りに「フェデリコテシオの理論」を適用すると、血統表の7世代目に優先祖先がいることになります。しかし一方で「優先祖先の探索は5~6世代で打ち切る」と言うルールがあることから、ここでは6世代目に位置するNever Bendをサザナミの優先祖先と判断することとします。
Never Bend はNasrullerのラストクロップで、米フューチュリティステークス(1300m)からフラミンゴS(1800m)に勝鞍があり、基本的な距離適性はマイル以下となります。この様に、サザナミはNeverBendの形質を強く受け継いだことで、ディープインパクト産駒としては比較的珍しい短距離適性になったと、「フェデリコテシオの理論」的には解釈することが可能です。
また、基礎体力値も60%ありますので、標準以上のレベルは確保していることになります。続戦を殆どしないサザナミでしたが、これは堀厩舎の安全運用の面が強かったのかもしれません。
2.ローラーコースターの血統分析
続いてサザナミの半妹で、2019年の募集馬であるローラーコースター(クーデンビーチの2018)について、「フェデリコテシオの理論」を用いた分析を行います。
優先祖先:Never Bend
基礎体力:54%
前述の通り、母クーデンビーチの有するGreen Desertの血はMAX活性値8を取ることから、これを上回って父親に似の仔馬を出すことは容易ではありません。クーデンビーチの2019は父がヴィクトワールピサに変わりましたが、本仔の種付け時のヴィクトワールピサの活性値は2で、やはり優位にはなりません。この結果、クーデンビーチの2019の最大活性種牡馬はGreen Desertとなり、サザナミと同じになります。
つぎに優先祖先を探すと、本仔の優先祖先は6世代目にいることとなり、Never Bendに行き当たります。サザナミの場合は、7世代目だったところを6世代目で打ち切りましたので、厳密には違いがあるのですが、大きな括りでみれば「サザナミと類似した適性の仔馬である可能性が高い」と考えることができます。優先祖先がNever Bendであれば、距離適性は芝の短距離~マイルとなります。
さて、ここで気になるのがクーデンビーチの2018の2つ上の全姉グレースベイの存在です。グレースベイは惜しいところで中央の未勝利戦を勝利することが出来ませんでしたが、そのグレースベイの優先祖先と基礎体力を調べると以下の通りになりました。
優先祖先:ヴィクトワールピサ
基礎体力:75%
まず、グレースベイが種付けられた2015年は父ヴィクトワールピサがMAX活性の年にあたります。その結果、グレースベイの最大活性種牡馬はヴィクトワールピサとGreen Desertが活性値8で同点で並びます。即ち、グレースベイが父系似なのか母系似なのかは、生まれ年だけで判断することが出来ません。そこで、厳密に日数まで落として優位性を比較するとヴィクトワールピサの方が僅かに優勢であることが判ります。そして、ヴィクトワールピサを入口に優先種牡馬を探すと、そのままヴィクトワールピサに到達します。
この様に、グレースベイはクーデンビーチの産駒としてはレアな父系似の仔馬だったことが判ります。そして、ヴィクトワールピサに似たのであれば、脚質は芝の中長距離と「フェデリコテシオの理論」からは推論されます。
しかし、現実のグレースベイの戦績を見ると、ダート短距離で結果が出ず、芝に替わって成績は上がりましたが、最後まで長い距離が試されることはありませんでした。最も長い芝1600のレースが8着と振るわなかったことがその原因と思われますが、重馬場が影響した可能性も否定できません。基礎体力値が75%と極めて高得点であることから、心肺機能に優れていたと想定され、長距離が試されなかった事実はなんとも残念な感じがします。なお、ダートで下した点については、グレースベイの繋ぎが極端に立って見えることから、師の判断は理解できる気がします。
以上の通り、グレースベイとクーデンビーチの2018は全姉妹でありながら、「フェデリコテシオの理論」的には全く異なるバックボーンを有する仔馬と判断されることになり、「グレースベイの成績を過度に懸念する必要な無い」と判断できます。
3.サザナミの2019の血統分析
続いて、気が早いことは承知の上で、2020年のグリーンファーム募集馬として期待されるサザナミの初仔についての検討を実施してみます。
優先祖先:Green Desert
基礎体力:56%
ハービンジャーが配合されて生まれたサザナミの2019ですが、母系のGreen Desertの血はここでも強力で、最大活性種牡馬は活性値8のGreen Desertになります。さらに優先祖先は4世代目にいることから、Green Desert自身が優先祖先であることが判ります。ここでGreen Desertの戦績を紐解くと、ジュライカップ(GⅠ・芝1200)に勝鞍がある様に、マイルで成績が思う様に伸びず、スプリンターとして開花した活躍馬です。本仔がGreen Desertに似て出てくれれば、母サザナミと同じ短距離馬としての活躍が期待されます。
4.サザナミの配合相手
ところで、サザナミの産駒にはBMSとしてディープインパクトの名が入りますが、ここで気になるのは「配合によってはディープインパクトに似た産駒が生まれ得るのか否か」でしょう。この点について「フェデリコテシオの理論」から解釈すると、「ディープインパクトの活性値<Green Desertの活性値」が確定していることから、「サザナミの産駒からディープインパクト似の仔馬が出ることは無い(注:ディープインパクトの父母間クロスがある場合は話が別です)」と言う結論に至ります。
それでは、サザナミの配合相手としてはどの様な種牡馬を選ぶのが「フェデリコテシオの理論」的には良いのでしょうか?特に2020年はサザナミ自身がMAX活性になる年回りですので、今年の種付けは重要になります。そして、ここで問題になるのが父母間クロスの発生です、「フェデリコテシオの理論」的には5代アウトブリードが基本ですが、サザナミの母系にはディープインパクト、サンデーサイレンス、Nureyev、Mr.Prospector、Alyder、Danzigと言った現代のトレンドを成す血が満載ですので、5代アウトブリードを実現させるのは殆ど不可能な状況です。
そこで次善の策として、取り合えずサンデーサイレンスのクロスによる悪影響だけは回避する組み合わせで考えると、サトノクラウン、リオンディーズの2頭が候補として浮上します。サトノクラウンは2020年の種付け時がMAX活性であり、(厳密には種付け日に依存します)Green Desertの活性度を上回ります。このとき優先祖先もサトノクラウンとなりますので、優れた仔馬が生まれそうな予感がしますが、サザナミとは異なる雰囲気の仔にはなるでしょう。
【父サトノクラウン-母サザナミ】
優先祖先:サトノクラウン
基礎体力:62%
一方、リオンディーズを配合する場合は活性値7なので、Green Desertの方が優位になります。即ち、産駒は母系に似ることになりますが、このときの優先祖先はサザナミとなりますので、サザナミに似た快速馬が出ることが期待できます。(注:サンデーサイレンスの3×4が発生しますが、父系のサンデーサイレンスはスペシャルウィークが0活性のため、クロスの悪影響が回避されます。)
【父リオンディーズ-母サザナミ】
優先祖先:サザナミ
基礎体力:62%
4.おわりに
今回はサザナミからその初子であるサザナミの2019にかけて、クーデンビーチの牝系について「フェデリコテシオの理論」を用いた検討を行いました。クーデンビーチ牝系の特徴はGreen Desertの血が強力である点であり、これにより父馬の特徴が表に出ることが難く、産駒が短距離適性に出やすいことが判ります。2019年のグリーンファーム募集馬であるクーデンビーチの2018も母系が表に出たサザナミに近い脚質になると想像されることから、サザナミのファンの方には良い出資馬となるのではないかと思います。
また、サザナミの初仔も同様な特徴を有すると想定されますので、クラブには頑張って募集馬のラインナップに加えて貰えられるよう、社台Fと交渉して頂きたいと思います。