「フェデリコテシオの理論」の初心者が、これを用いてグリーンファーム所属馬・募集馬の分析を行ってみるシリーズの4回目です。(前回はこちら)
注意:ここに記す分析は、「フェデリコテシオの理論」の初歩を聞き齧ったレベルの者の見解であり、本来の理論に照らして誤っている可能性は多分にあります。もし誤りが有りましたら、ご指摘を頂ければ幸いです。なお、「フェデリコテシオの理論」について、自分は下記のYoutubeチャンネルの動画を参考に勉強させて頂いています。本稿では「フェデリコテシオの理論」の具体的な適用方法など、詳細には触れていませんので、興味のある方は下記のYoutubeチャンネルなどをご参考にされて下さい。
さて4回目となる今回は、全ての産駒がグリーンファームから募集されているアースサウンドの牝系について「フェデリコテシオの理論」を用いた分析を行うこととします。
アースサウンド自身もグリーンファーム所属馬で、全日本2歳優駿(Jpn1)にて3着に入る活躍をしている他、その産駒も安定して勝ち上がる結果を残しています。本稿では、まずアースサウンド自身の分析を行った後、現在募集中のフラワードラム(アースサウンドの2018)について分析を行います。さらに、その兄姉についても分析を実施することで、兄姉の実績をどこまで参考にすることが出来るのか考えてみたいと思います。
1.アースサウンドの血統分析
優先祖先:Native Dancer または Raise You
基礎体力:65%
まずアースサウンドの最大活性種牡馬は活性度6のRaise a Nativeです。さらに、優先祖先は血統表の4世代目にいることになり、候補は Native Dancer または Raise Youの何れかになりますが、その差は僅かでしかありません。一応、Raise Youの方が優位と見て、優先祖先はRaise Youと考えますが、その脚質は調べても不明でした。そこで、ここでは3世代目のRaise a Native を優先祖先として考えることにすると、脚質はダートの短距離となり、アースサウンドの実績と合致します。
また、基礎体力値は65%で優秀なレベルであり、全25走を走り切った力はこの辺りを源泉としていたのかもしれません。
2.フラワードラムの血統分析
続いて、2019年の募集馬であるフラワードラム(アースサウンドの2018)について、「フェデリコテシオの理論」を用いた分析を行います。
優先祖先:アースサウンド
基礎体力:57%
期待の種牡馬ドゥラメンテは、本仔が種付けられた2017年の活性値が5でしたので、残念ながら母系のRaise a Nativeの6を上回りません。即ち、「本仔は父親ではなく、母系に似る可能性が高い」と言うことになります。
そして、優先祖先は血統表の1世代目にいることになり、母アースサウンド自身が本仔の優先祖先となります。従って、「フェデリコテシオの理論」的には、本仔の適正はダートの短距離~マイルまでとなりますので、父ドゥラメンテをイメージして本仔に出資判断をするのは留まった方が良いかもしれません。一方で、母親似に出るのであれば、アースサウンドの元出資者ならば是非とも出資したい産駒と言うことになりそうです。
なお、基礎体力値の57%はアースサウンドの産駒としては低目ですが、平均の50%は超えていますので懸念材料には当たりません。特に短距離馬であれば、求められるスタミナも抑えられる筈なので、問題はないものと思われます。
3.その他の兄姉の血統分析
アースサウンドの産駒はこれまで4頭全てがグリーンファームから募集され、内3頭がデビュー済みで、2頭が未勝利戦を勝ち上がっています。ここではその3頭の兄姉について分析を行うことにします。
■アースオブフェイム
優先祖先:Leilanie’s Song
基礎体力:68%
アースサンドの初仔であるアースオブフェイムは父がダイワメジャーで、種付け年の活性値は4でした。従って、母系のRaise a Nativeの活性値6を上回らず、優先祖先は母母のLeilanie’s Songとなります。ここでLeilanie’s Songは競争成績が不明のため、その脚質を推ることが出来ません。そこで、Leilanie’s Song自身の優先祖先を調べてみると、Raise a Nativeに行き着きます。よって間接的ですが、アースオブフェイムがRaise a Nativeに似るのであれば、その脚質はダートの短距離~マイルとなり、アースオブフェイムの競争実績と合致します。
一方で、基礎体力値は68%あって、極めて優秀なレベルです。アースオブフェイムは喉鳴りの疾患により、1勝した後は力を発揮することなく引退となってしまいましたが、それがなければ更なる上を目指せたものと想像します。
■ガーデンコンサート
優先祖先:ロードカナロア
基礎体力:75%
2番仔ガーデンコンサートの父ロードカナロアは、本仔の種付け年の活性値が7と高く、ロードカナロアの特性を産駒に伝えやすい年回りでした。ガーデンコンサートについても母系のRaise a Nativeの6を上回ってロードカナロアの7が最大であり、ここを入口に優先祖先を探すと、ロードカナロア自身が優先祖先となります。即ち、ガーデンコンサートは父ロードカナロアの特徴を引き継いだ産駒であり、同じ短距離適性ですが、母系の特徴を継承したアースオブフェイムやフラワードラムとは本質の異なる産駒であると考えられます。現在はダートの短距離で2勝目を上げていますが、優先祖先がロードカナロアであれば、改めて芝を試すのも面白いかもしれません。
更に、基礎体力値もアースサウンド産駒としては最大の75%であり、文句のない値になります。「フェデリコテシオの理論」から見れば、本仔がアースサウンド産駒として最高の1頭と言うことになりそうです。
■サウンドトラック
優先祖先:オリエンタルアート
基礎体力:53%
1年の空腹を挟んで3番仔となるサウンドトラックの父オルフェーヴルは、本仔の種付け年の活性値が8でMAXでした。即ち、この年のオルフェーヴル産駒は最もその特徴を産駒に最も伝えやすい年であったと言うことになります。サウンドトラックについてもオルフェーヴルの活性値8が最大であり、ここを入口に優先祖先を探すと、オリエンタルアートに行き着きます。そして、本仔がオリエンタルアートの適性を継承するとすれば、脚質はダート中距離が主戦場となり、上手くすれば芝もこなせるかもしれません。
一方で、基礎体力値はアースサウンド産駒としては最低の53%まで下がっています。但し、それでも平均レベルは超えていますので、極端に懸念する必要もないでしょう。
「フェデリコテシオの理論」から見れば、本仔はオルフェーヴルの父系が表に出た産駒であり、距離適性はこれまでの短距離適性の兄姉と異なって、比較的長目になると推察されます。また、身が入るのもオルフェーヴルの様に比較的遅くなるかもしれません。
4.アースサウンドの2019の血統分析
最後に気が早いのですが、昨年誕生したアースサウンドの2019についても、分析を行ってみたいと思います。過去の募集状況から、本仔もグリーンファームから募集される蓋然性が高いと考えられますが、本仔の分析結果も非常に優秀なものであることから、大いに募集を期待したい1頭です。
優先祖先:モーリス
基礎体力:59%
本仔の種付け時の父モーリスの活性値は7で、これはガーデンコンサートの父ロードカナロアの活性値が7であったのと同じパターンとなります。優先祖先はモーリス自身ですので、ガーデンコンサートよりも距離適性の長い、芝マイルクラスでの快速馬となることが期待されます。また、基礎体力値も59%まで回復してきますので、十分良好なレベルとなります。
加えて、「5代血統表上で父母間クロスが存在しない」と言う点についてもアウトブリードを最良とする「フェデリコテシオの理論」に合致しており、文句なしに期待の募集馬となると考えられます。
4.おわりに
今回はアースサウンドの牝系について「フェデリコテシオの理論」を用いた分析を行いました。アースサウンド牝系のポイントは最大活性値の種牡馬がRaise a Nativeの6である点にあると思います。この6と言うのは「フェデリコテシオの理論」的には絶妙な数字で、配合する種牡馬の選択によって、父親の特徴を継承する仔馬を生み出すことが可能になります。アースサウンドのこれまでの産駒を見ても、母系似と父系似の産駒が存在しており、オリエンタルアートを優先祖先とするサウンドトラックは他の兄姉と異なり中距離適正と判断されます。そして、実際に本仔がダートの1800でデビューをしたことは、この推定と合致しています。この辺り、オカルトとは思いつつも、自分が「フェデリコテシオの理論」に傾倒してしまう原因になっています。
また、2019年度募集馬のフラワードラムについては、「フェデリコテシオの理論」的には母系に似るものと判断され、脚質はダートの短距離適性となります。即ち、父ドゥラメンテの脚質とは違ってくることになりますから、この辺りの可能性を理解した上で出資判断をされると良いのではないかと思います。