「フェデリコテシオの理論」の初心者が、これを用いてグリーンファーム所属場・募集馬の分析を行ってみるシリーズの7回目です。(前回はこちら。)
注意:ここに記す分析は、「フェデリコテシオの理論」の初歩を聞き齧ったレベルの者の見解であり、本来の理論に照らして誤っている可能性は多分にあります。もし誤りが有りましたら、ご指摘を頂ければ幸いです。なお、「フェデリコテシオの理論」について、自分は下記のYoutubeチャンネルの動画を参考に勉強させて頂いています。本稿では「フェデリコテシオの理論」の具体的な適用方法など、詳細には触れていませんので、興味のある方は下記のYoutubeチャンネルなどをご参考にされて下さい。
そろそろネタ切れ感も出てきた本シリーズですが、今回は2020年度にグリーンファームからの募集が期待される仔馬の中から、「フェデリコテシオの理論」的に妙味のある仔馬をピックアップして紹介したいと思います。なお、サザナミの2019、アースサウンドの2019、トゥルーストーリーの2019については、既にこれまでのシリーズの中で採り上げておりますので、そちらを参照願います。
以下、個人的に期待度の高い順番で、8頭の仔馬をリストアップします。
1.エクストラファインの2019
父 :ロゴタイプ
性別 :牝馬
生産 :社台F優先祖先:ロゴタイプ
基礎体力:67%
期待度No1に推すは、グリーンファーム所属馬で新馬勝ちを収めて以降、2着×3回・3着×6回の成績を残しながら終ぞ2勝目に届かなかったエクストラファインの初仔です。父はロゴタイプが配合されています。
本仔を「フェデリコテシオの理論」で分析すると、最大活性種牡馬は本仔の種付け年度がMAX活性に当たる父ロゴタイプで、優先祖先もそのままロゴタイプになります。この父がMAX活性でかつ優先種牡馬となるパターンは個人的に評価するパターンであり、期待感が高まります。また基礎体力値も67%あり、文句ありません。
父・母と同様に、芝のマイル~中距離での活躍が期待できます。
2.アイアムルビーの2019
父 :ジャスタウェイ
性別 :牡馬
生産 :社台F優先祖先:ハーツクライ
基礎体力:58%
期待度No2は、現在グリーンファームから募集中のハリウッドルビーの半弟です。父はスクリーンヒーローからジャスタウェイに変わっています。
本仔の最大活性種牡馬は本仔の種付け年度がMAX活性に当たる父ジャスタウェイであり、優先祖先は2世代目に位置することから、父父ハーツクライが優先祖先となります。
「フェデリコテシオの理論」に拠れば、半姉ハリウッドルビーは母親に似た短距離ダート馬と想定されますが、本仔は父系に似て芝の中距離を主戦場とする活躍が期待できます。
また、基礎体力値も58%なので、十分なものがあります。最大の懸念材料は、「グリーンファームから募集される可能性が正直なところ高くない」と言うことでしょう。
3.リボンアートの2019
父 :ローエングリン
性別 :牝馬
生産 :社台F優先祖先:Whishing Well
基礎体力:66%
秋華賞で5着に入ったリボントリコロールを始めとして、ロゼットブルー、ジョリーリュバンの半姉がグリーンファームから募集された、クラブとの縁の深い牝系です。母リボンアートの繁殖生活もそろそろ終わりに近い感触ですが、ここらでもう1発大きいところを期待したいところです。
本仔の最大活性種牡馬は母父サンデーサイレンスであり、優先祖先は3世代目に位置することから、サンデーサイレンスの母Wishing Wellが優先祖先となります。ここで Wishing Well の競争成績を紐解くと、芝のマイル~1800に重賞勝鞍があることが判ります。基礎体力値も66%で十分に高く、本仔は芝のマイル~中距離での活躍が期待できることになります。
ここで、敢えて本仔を上位ピックアップした理由ですが、それはWishing Wellを優先祖先とする馬の中に活躍馬が多数いると言う事実に拠ります。ディープインパクトの優先祖先もこのWishing Wellであり、それだけでも期待感は高まると思います。
4.ウイングドウィールの2019
父 :ドゥラメンテ
性別 :牝馬
生産 :社台F優先祖先:ウイングドウィール
基礎体力:60%
グリーンファーム所属でオープン馬となったウイングドウィールの4番仔です。父は期待の種牡馬ドゥラメンテに変わりました。
本仔の最大活性種牡馬は活性値7の母系のサンデーサイレンス。優先祖先は1世代目に居ることから、母ウイングドウィールが優先祖先となります。従って、脚質は芝のマイル~中距離適正となることが期待されます。
牝馬で母ウイングドウィールに似ると言うことであれば、元出資者の方にとって期待の募集馬となることは疑いありません。しかし、「フェデリコテシオの理論」的には幾つかの懸念材料が存在するため、評価順位は下げています。
その懸念材料の1つがサンデーサイレンスの3×4クロスです。父系と母系に在るサンデーサイレンスの血ですが、何れも活性値が高く、相当に重たいクロスとなります。アウトブリードを基本とする「フェデリコテシオの理論」の立場から見れば、この配合は避けるべきパターンと言えます。
(補足:このことから、ドゥラメンテのサンデーサイレンスクロスは基本的に失敗パターンに偏ると予想されます。)
そして、もう1つの懸念残量として、母ウイングドウィールの種付け時の活性値が最低値の1と低いことで、体質的な不安が残るかもしれません。只、基礎体力値そのものは60%あり、十分な値は確保出来ていることから、この点については杞憂と言えるかもしれません。
5.マキシマムドパリの2019
父 :ハービンジャー
性別 :牡馬
生産 :社台F優先祖先:Highest Honor
基礎体力:41%(または66%)66%(2020/06/15訂正)
言わずと知れたグリーンファームの重賞勝馬であるマキシマムドパリの初仔です。牡馬で母譲りの芦毛ですから、それだけでも募集されれば即満口は確実かと思います。
本仔の最大活性種牡馬はMAX活性のHighest Hourです。更に、優先祖先は4世代目に位置することから、Highest Hour自身が優先祖先となります。ここでHighest Hourの競争成績を紐解くとイスパーン賞(GⅠ・芝1850)に勝鞍があることから、脚質は芝のマイル~中距離適正と予想されます。この最大活性種牡馬自身が優先祖先になるパターンは個人的に評価しているパターンであり、期待感が高くなります。
一方で本仔の問題点は基礎体力値にあります。41%と言う値は平均値を大きく下回る値であり、体質的な不安が生じます。只、これには1つ微妙な点があり、それは母母アドマイスの活性値です。計算上はギリギリで活性値0と求められますが、これは「フェデリコテシオの理論」の解釈の微妙なところでもあり、「実は最大活性の8が正解だった」と言う可能性も否定しきれません。もし、これが8であれば、基礎体力値は66%まで跳ね上がりますので、逆に優良レベルと見なすことが可能です。
(2020/06/15追記)↑正しく計算した結果、母母アドマイスの活性値は最大活性の8であると結論しました。従って、マキシマムドパリの2019の基礎体力値は66%が正解であり、十分に高い値を示すことになります。
実は、この不明点は母マキシマムドパリにとっても同じであり、マキシマムドパリの基礎体力値を普通に求めると、26%と言う驚異的に低い値であることが判ります。しかし、これだけ低い基礎体力値であれ程の大活躍が出来たとなると、逆に基礎体力値の計算自体が疑われる状況となり、そこで浮上するのが「アドマイスの活性値は0か8か?」と言う問題になります。
最終的に何れが正解なのかは実馬の出来を見て判断したい所ですが、即満口になってしまうことを考えると、「体質面の懸念を見極めてから出資する」ことは難しいかもしれません。
6.プランタンビジューの2019
父 :クロフネ
性別 :牝馬
生産 :社台F優先祖先:ノーザンテースト
基礎体力:61%(前年空胎。母MAX活性)
元グリーンファーム所属馬のプランタンヴェールの半妹で、父はクロフネに変わりました。
本仔の最大活性種牡馬は母父のダイワメジャーであり、優先祖先は4世代目に位置することから、優先祖先はノーザンテーストになります。従って、脚質は芝の短距離と予想されます。ちなみに、優先祖先がノーザンテーストとなるのは母プランタンビジューと同じです。
ここで本仔を評価するポイントは種付け時の母プランタンビジューの活性値が最大の8であった点です。さらに、基礎体力値も61%あって、不足はありません。加えて、本仔の前年は空胎であり、「フェデリコテシオの理論」としても評価がアップします。
スペック的には地味に映る仔ですが期待感は高く、是非とも実馬を見ていたいと思わせます。只、優先祖先が母と同じと言う点からすると、母と同じ気性面の問題を継承するリスクがあるかもしれません。
7.ボーンレジェンドの2019
父 :エピファネイア
性別 :牝馬
生産 :社台F優先祖先:キロフプルミエール
基礎体力:48%
本仔の母ボーンレジェンドはグリーンファーム所属馬で、スーパー未勝利戦を見事に制すると、連勝して1000万条件まで勝ち上がりました。またボーンレジェンドの下のボーンレガシーもグリーンファームから募集されており、クラブとは馴染みの深い牝系になります。
そして、本仔はボーンレジェンドの2番仔にあたります。しかし、母ボーンレジェンドは本仔の出産時に他界しており、忘れ形見と言う点でもグリーンファームからの募集が期待されます。
本仔の優先種牡馬は種付け時にMAX活性だった父エピファネイアなので、本仔は父系似の競走馬となることが期待されます。そして、優先祖先は3世代目に位置することから、シーザリオの母キロフプルミエールが優先祖先となります。ここでキロフプルミエールの戦績を紐解くと、独・ラトガーズH(GⅢ・芝2200)に勝鞍があることから、本仔の脚質は芝の中距離と予想されます。
ところで、本仔もサンデーサイレンスの4×3クロスを有しているのですが、父系のサンデーサイレンスはスペシャルウィークを経由するものであり、スペシャルウィークがサンデーサイレンスの0活性産駒であることから、クロスの悪影響は無効化することが出来ます。(補足:このことは「エピファネイア産駒でサンデーサイレンスクロスの成績が優れている」事実と合致します。)
更に、Heil to Reasonの5x5クロスも無視できるため、最終的に残るクロスはNothanDancerの5x5のみとなります。
一方で、本仔の不安材料は基礎体力値の48%ですが、平均値を下回っているとは言え僅かなので、極端な懸念までは及ばないと思います。またこれについては、母ボーンレジェンドの活性値が7である点から、ある程度はカバーはされることに期待します。
8.スーパールミナルの2019
父 :サトノアラジン
性別 :牝馬
生産 :那須野牧場優先祖先:ディープインパクト
基礎体力:54%
最後は大穴で、スーパールミナルの仔をピックアップします。本仔の牝系はグリーンファームとは縁故関係の強い関係になります。まず、本仔の祖母ファストアズライトがクラブ所属の活躍馬であり、その産駒からは本仔の母スーパールミナルの他、ファストアズソング,ルーチェクラコロの3頭がクラブから募集されています。さらに、ファストアズエヴァーとグランマリアージュの2頭は母が姉妹の従妹関係になります。
本仔の最大活性種牡馬は新種牡馬の父サトノアラジンで、優先祖先は2世代目に位置することから、ディープインパクトが優先祖先となります。従って、本仔がディープインパクトの形質を受け継ぐものとすれば、脚質は芝の中距離となることが期待されます。また、基礎体力値も54%あって不足はありません。
ここで、本仔をピックアップした理由は「優先祖先がディープインパクトである」と言う1点であり、これだけでも期待感は十分に高まると思います。但し、「フェデリコテシオの理論」的に見ると、本仔は正直に言って評価をすることが出来ません。その理由は強い父母間クロスの存在にあります。
本仔はサンデーサイレンスの3x3と言う極めて強いクロスを有しており、これは活性値から無効化することも出来ません。加えて、Storm Catの3x4、Mr.Prospectorの5x5の無効化できないクロスを有しており、アウトブリードを基本とする「フェデリコテシオの理論」からすれば、全くの問題外な配合と見なされます。クロスの強さからは気性面の問題の発生も懸念されます。
(補足:ディープインパクトの後継種牡馬は、総じてサンデーサイレンスクロスを有する産駒の成績が優れません。これは「ディープインパクトを経由するサンデーサイレンスの活性値が7の高い値である」と言う事実と無関係ではないと想像しています。)