2020年度グリーンF募集馬の第一印象①

これから3回に分けて2020年度のグリーンファーム募集馬について、ファーストインプレッションを書き残して行きたいと思います。なお、順番はクラブからの発表順に倣って行います。


1.ジャドールの2019

父  :ロードカナロア
母父 :フジキセキ
性別 :牡馬
毛色 :黒鹿毛
FN :5号族
誕生日:2019/04/09
生産 :社台ファーム

2年連続でロードカナロアの牡馬が募集されて来ました。本仔が種付けされた2018年のロードカナロアの種付料は800万円でしたが、その翌年から1500万円→2000万円と高騰を続けており、そう言う意味でロードカナロア産駒がグリーンファームから募集されるのは、本仔が最後かもしれません。

ここで注目は募集価格ですが、昨年のモンキャドーの募集価格が2400万円でしたので、種付料の差額分だけスライドすると本仔の募集額は2700万円となります。先ずはこの金額を超えるのか下回るのかで、本仔の生産サイドの評価を推測することが出来そうです。

2.オールドパサデナの2019

父  :キングカメハメハ
母父 :エンパイアメーカー
性別 :牝馬
毛色 :黒鹿毛
FN :4号族
誕生日:2019/04/15
生産 :社台ファーム

オールドパサデナの仔は昨年のローズボウルに続いての募集ですが、何よりもキングカメハメハ産駒が募集されたことに意表を突かれました。2019年度の種付はプライベートのみだった筈なので、一口馬主から見れば本仔は実質的なラストクロップとなります。

当該年度のキングカメハメハの種付料は1200万円でしたので、募集額も相応なものになると予想されますが、キングカメハメハの牝馬で高額となると、簡単に薬指は動きません。加えて、1つ上のローズボウルが育成段階でスクミを発症していることも懸念材料となってきます。如何にも「訳あり」感が否めず、金額以上に実馬の出来を注視したいところです。

3.ナスノシベリウスの2019

父  :ハーツクライ
母父 :Unbridled’s Song
性別 :牝馬
毛色 :鹿毛
FN :1号族
誕生日:2019/05/07
生産 :ハシモトファーム

今年のグリーンファーム募集馬の中で最大のサプライズは本仔ではないかと思います。3つ上の全姉ナスノシンフォニーは、ホープフルSで5着に入った後、1勝クラス→2勝クラスを連勝中で、未だ底を見せておりません。従って、本仔も那須野牧場生産馬としてはトップクラスの期待馬と考えて良い筈です。

これが社台グループの生産馬であれば「何か訳アリ」を真っ先に疑うところですが、那須野牧場生産馬であれば、過度に勘繰る必要はないかもしれません。過去の那須野系牧場の生産馬で高額募集されたケースは相応の成績を残しており、本仔の期待値も十分に高いと考えて良いと思います。特に募集価格が2000万円を普通に超えてくれば、信頼感は増すと考えて良いでしょう。実馬を見るのが楽しみな1頭です。

4.マキシマムドパリの2019

父  :ハービンジャー
母父 :キングカメハメハ
性別 :牡馬
毛色 :芦毛
FN :5号族
誕生日:2019/03/25
生産 :社台ファーム

2020年度グリーンFから募集して欲しい仔馬」でピックアップした1頭です。母マキシマムドパリはGⅢを2勝したクラブの貢献馬で、その初仔が満を持して募集されました。もし、本仔が募集されない状況になれば社台グループから見たグリーンFの存在意義が大きく懸念されるところでしたが、恐らくクラブ側からの要望も大きく、無事に募集に至ったものと想像しています。

ここは諸手を挙げて募集されたことを喜ぶべきですが、そこはグリーンF会員の性として、どうしても産駒の出来に疑念を残してしまいます。特に本仔は初仔ですので、測尺の発表に注目したいと思います。「父ハービンジャー+母父キングカメハメハ」の配合はNIXと言える関係ですし、芦毛の牡馬となれば、多少の高額募集であっても明らかな問題の無い限りは即満口は必至でしょう。母馬優先権無しで出資をするには、これまでのクラブへのお布施が問われます。

(補足)マドモアゼルドパリの牝系については、過去の「フェデリコテシオ理論」の分析でその基礎体力値を41%から66%に訂正しましたが、改めて精査するとやはり基礎体力値は41%が正解と言う結論に達しました。恥ずかしながら再度の訂正をさせて頂きたいと思います。

5.サザナミの2019

父  :ハービンジャー
母父 :ディープインパクト
性別 :牡馬
毛色 :鹿毛
FN :2号族
誕生日:2019/03/20
生産 :社台ファーム

2020年度グリーンFから募集して欲しい仔馬」でピックアップした1頭です。母サザナミは小柄な馬格ながら5勝を上げてオープン馬まで上り詰めた活躍馬で、マキシマムドパリには及ばぬものの、今年の募集馬では注目された1頭でした。そう言う意味では、マキシマムドパリと併せて無事にクラブから募集されたことは、正に朗報でした。

マキシマムドパリの2019と同様、本仔も初仔なのでそのサイズ感が注目されるところですが、母サザナミの馬格を考えると、本仔も小柄と考えておいた方が無難かもしれません。ある意味、マキシマムドパリの2019の測尺と違って、本仔の測尺はハナから無視して掛かりたいと思います。そして恐らく、母サザナミに出資されていた会員さんであれば、本仔の馬格は眼中には無いと思います。

ちなみに、本仔も応募には母馬優先権が発生しますが、サザナミは400口募集であったことから、本仔が普通に200口募集であれば、優先権を持っていても出資できないケースも発生し得ることになります。

6.アースサウンドの2019

父  :モーリス
母父 :Yes It’s True
性別 :牝馬
毛色 :黒鹿毛
FN :1号族
誕生日:2019/02/01
生産 :ハシモトファーム

2020年度グリーンFから募集して欲しい仔馬」でピックアップした1頭です。兄姉が全てグリーンFから募集されており、本仔が募集されるのも既定路線の感がありますが、それでも期待値は非常に高いと考えられる1頭です。

ここで、本仔の検討のポイントは父モーリスの評価であると思います。今年、鳴り物入りでデビューしたモーリス産駒ですが、まさか現時点まで未勝利を続けているとは想像することが出来ませんでした。父の成績から晩成傾向の可能性はあったのですが、名牝を集めてのこの結果は流石に看過出来ませんし、何よりキレ不足にも思える脚質が今後を懸念させるところです。

只、ここで考えておきたいのは「サンデーサイレンスクロスの悪影響」です。モーリスの配合傾向が父スクリーンヒーローと同じであるとするならば、母系は「Halo持ちでサンデーサイレンス無し」が望ましいことになります。本仔の場合、母系にHaloの血は有しませんが、サンデーサイレンスクロスの無い点はプラス評価となり得ます。恐らく、本仔が早々に満口になる可能性は低いと思いますので、その出資判断においてはモーリスの初年度産駒の活躍傾向を見極めることが肝要となりそうです。

7.ベアトリッツの2019

父  :モーリス
母父 :ディープインパクト
性別 :牝馬
毛色 :鹿毛
FN :1号族
誕生日:2019/03/24
生産 :社台ファーム

2020年度グリーンFから募集して欲しい仔馬」でピックアップした1頭です。母ベアトリッツはクラブ所属馬で1000万条件まで進みました。本仔はベアトリッツの2番仔で、グリーンFからの募集は初めてとなります。

「2020年度グリーンFから募集して欲しい仔馬」で本仔を採り上げた時点ではモーリス産駒の成績がここまで不振を極めるとは予想しておらず、そう言う意味では評価は割り引かざるを得ない状況ですが、まだまだ見限るには早すぎます。
但し、本仔の懸念材料は「サンデーサイレンス3×4」と言う強いクロスを有する点であり、初年度産駒の成績からサンデークロスが不適と言う結果が出れば、本仔の評価も大きく下げざるを得ないでしょう。

一方で、「フェデリコテシオ理論」で本仔を評価すると本仔は母系似で、優先祖先は母ベアトリッツ自身になります。さらに当該年の母ベアトリッツは最大活性の年回りである上に前年が空胎であることから、基礎体力値の面でも高い評価が可能です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする