今回はモーリスの配合について考えて見ます。モーリス産駒については全体的なサンプル数が不足しており、統計的に有為と言えるデータは得られていませんが、取り敢えず雰囲気的に正しそうな範囲で考えてみることにします。
【モーリス産駒全体】
まず、今回の評価のベースになるモーリス産駒全体(未出走を除く)の成績は次の通りです。
総数 | 1勝 | 2勝以上 | |
牡・セ | 66 | 26(39.4%) | 4(6.1%) |
牝 | 62 | 16(25.8%) | 1(1.6%) |
全体 | 128 | 42(32.8%) | 5(3.9%) |
重賞を勝利するまでの産駒こそ出て来ませんが、3歳2月時点で勝ち上がり率=32.8%は相当優秀な種牡馬成績であり、最終的な勝ち上がり率は50%に近づくことが予想されます。特に牡馬の勝ち上がり率は50%を超えて来る可能性が十分にありそうです。
一方で、見方を変えると「牡馬偏重で牝馬の成績が冴えない」ことが判ります。これは「Roberto系の一般傾向からモーリス産駒も例外ではない」ことを示しています。
【サンデーサイレンスをクロスするモーリス産駒】
続いて、サンデーサイレンスクロスの影響を調べて見ます。
総数 | 1勝 | 2勝以上 | |
牡・セ | 53 | 23(43.4%) | 3(5.7%) |
牝 | 46 | 13(28.2%) | 1(2.2%) |
全体 | 99 | 36(36.4%) | 4(4.0%) |
モーリス産駒全体と比較して、牡馬・牝馬共に約4%勝ち上がり率がアップしています。これより、「モーリスの配合相手はサンデー系牝馬が望ましい」と考えて良さそうです。
【ディープインパクトの血を有するモーリス産駒】
ここからはもう少しNIXと見なすことが出来そうな配合を調べてみます。まず、サンデー系牝馬の中でも最も配合数の多いディープインパクトとの配合を調べます。
総数 | 1勝 | 2勝以上 | |
牡・セ | 9 | 4(44.4%) | 1(11.1%) |
牝 | 7 | 4(57.1%) | 0(0.0%) |
全体 | 16 | 8(50.0%) | 1(6.3%) |
サンプル数の不足には目を瞑るとして、サンデー系牝馬全体と比較して1段高い成績が得られています。特に、牝馬の成績が優れており、モーリス産駒全体の牡馬偏重の傾向がここでは確認されません。馬券を狙う上でも「父モーリス+母父ディープインパクトの牝馬」の配合には妙味があると言えそうです。
なお、ここで留意しておくことは、「8頭の勝ち上がり馬の中で、6頭がノーザンファーム生産馬である」と言う点です。これについての自分の見解は、「ノーザンファーム生産馬にのみ当て嵌まる傾向」と言うよりは、「ノーザンファーム育成馬の方が勝ち上がりが早い」と考えています。今後は非ノーザン系牧場生産馬の勝ち上がり率が追いついて来るものと予想します。
【Olimpiaの血を有するモーリス産駒】
今度はあまり気づかれていない配合です。母系にOlimpiaの血を有するモーリス産駒の成績を調べると次の通りになります。
総数 | 1勝 | 2勝以上 | |
牡・セ | 16 | 4(25.0%) | 2(12.5%) |
牝 | 22 | 8(36.4%) | 1(4.5%) |
全体 | 38 | 12(31.6%) | 3(7.9%) |
勝ち上がり率こそ全体平均と然したる差はありませんが、牝馬の勝ち上がり率の高い点で特異的です。ディープインパクトとの配合よりは比率で劣りますが、こちらの方がサンプル数の多い点で価値があります。
さらに、2勝馬率が平均よりも大幅に高い点も見逃せません。シンザン記念2着のルークズネスト、サウジアラビアロイヤルカップ2着のインフィナイトはこの配合に該当しています。更に言えば、現時点のモーリス産駒の2勝馬は全4頭存在しますが、内3頭がこの配合に合致しています。未だ重賞を制する馬の出ないモーリス産駒ですが、恐らく大物はこの配合パターンから出るものと想像しています。
【2020年度グリーンファーム募集馬】
最後に、2020年度グリーンファーム募集馬について確認します。モーリス産駒はベルポエジー(ベアトリッツの2019)、スウィートプロミス(アースサウンドの2019)の2頭が募集されている状況ですが、ベルポエジーは「母系にディープインパクトの血を有する配合」に該当し、スウィートプロミスは「母系にOlimpiaの血を有する配合」に該当しています。
両募集馬は牝馬である点で、モーリス産駒の牡馬偏重から外れていますが、上記配合に合致する点で、牝馬による不利は回避されるかもしれません。但し、スウィートプロミスについては母馬が非サンデー系と言う点において、配合的な見劣りが生じます。