先日、こちらの記事にてグリーンファーム現2歳募集馬の可動域指数を調査しましたが、ここで優れた指数値を示した馬の中から4頭をピックアップして追加出資候補とすることにしました。現2歳馬についてはグリーンファームから4頭の出資を行っており、追加余地は1頭が限度ですが、この4頭の中から様子見状況に応じて出資を検討したいと思います。
以下、現状を整理するためと備忘録を兼ねて、各馬のレビューを記します。ちなみに、この4頭は何れも可動域指数で好スコアを示した募集馬になりますので、柔軟性に優れることは間違いありません。従って、ここからの出資判断には、「筋力・スピード・体質」の見極めが重要になると考えています。
1.ジャックポットマン
ポジティブな要素は何よりも可動域指数=0.9の突出して過ぎれた数値を示したこと。大柄な馬体ですが、後肢は最後まで伸びていますし、前肢も前にシッカリと出されています。肩の角度も緩やかで、距離がこなせることは間違いないと思います。トラック適性は判断に迷いますが、芝適性も期待できると考えています。
一方で不安要素は馬格。現時点で526Kgの馬体重はダート馬と考えればベストですが、これ以上の増加は不安になります。もっとも、最大で544Kgまで増加した馬体重がここまで絞れたと考えれば、巨大化のリスクは杞憂かもしれません。募集時動画の歩速は普通~遅目で、キビキビ感は感じられず、運動神経に優れる印象は確認出来ません。
筋力に付いては幅のある半腱半膜様筋が確認できますし、肩回りにも筋肉の筋が確認できます。只、大型馬特有の緩さは残ると思いますから、仕上がりの遅さは覚悟する必要がありそうです。現在、チェスナットファームにて育成中で、BTCの坂路を週1回17-15のペースで乗られていますが、ノーザン・社台系の進捗と比べると見劣り感が否めません。近年のデビュー早期化の流れには対応出来ていない印象を受けます。
そして、最も気になっているのが筋肉の質感。弾力性に欠けたやや硬い印象を感じます。
最後の懸念材料は厩舎。坂口智康厩舎は開業3年目で充分なデータがありませんが、ここまでの成績で「クラブ馬回収率=60%、クラブ馬勝ち上がり率=25%」と言うのは、それなりに危険な成績と判断せざるを得ません。もっとも2021年の立ち上がりは順調ですので、ここから成績を伸ばして行く可能性もあるかと思います。
オカルト要素としては、「左後一白」に惹かれます。テシオ理論的には基礎体力値が54%で、優先祖先は恐らく”El Gran Sneor”。取り立てて注目するところはありません。また、父ジャスタウェイがこの年から劣勢期に入る点には留意をしておきたいと思います。
2.ベルポエジー
本募集馬も可動域指数=2.4で極めて優秀。曲飛気味にも見えますが、後肢は最後まで伸びています。前肢の出も良好。気になるのはトモの踏み込みで、左右で印象が異なります。特に左トモの踏み込みが甘い印象を受けます。只、それでも前肢の着地位置は踏み越えていますので、過度な懸念には当たらないのかもしれません。この点については育成状況でシッカリと見極めたいところです。
募集時動画の歩速は遅目で、キビキビとしたところは感じられません。最新の駐立写真でも筋肉の筋がイマイチ目立ってきませんが、筋肉の質感は特に硬くは感じません。牝馬なのでこれくらいでも良いのかもしれません。スタイルは母似で牝馬らしいスタイルに育ってきていると思います。適性は芝のマイラーと見ています。現在の馬体重は445Kgで、募集時に懸念された程は小さくならずに済みました。
現在の運動メニューは坂路を週3回入り、内2回が2本の登坂です。15-13ペースにも入り順調と言って良いと思いますが、3ハロンの時計が出ていない点は気になります。本馬は早期の移動が予告されていたのですが、現状では他の社台F育成馬に並ばれたか追い抜かれた印象があります。体質的な問題があるのか、成長を促したものなのか、入厩時期が見極めのポイントになると見ています。
預託先は石坂公一厩舎。開業3年目ですが、「クラブ馬回収率=134%、クラブ馬勝ち上がり率=76%」の優れた成績を残しており、クラブ馬の預託先としては期待の厩舎と考えています。リーディングも昨年から60位台を記録し、今年の成績も順調です。
最後にオカルト要素ですが、本募集馬はテシオ理論的な魅力が満載です。基礎体力値=57%は普通に良いレベルですが、母ベアトリッツがMAX活性の上に前年が空胎で、体質面での上積みが期待できます。優先祖先もベアトリッツであり、ベアトリッツの最優良産駒は本仔になる可能性が高いと見ています。
なお、配合的にはここに示した通り、「父モーリス+母父ディープインパクト」はNIXの関係にあると考えられます。
3.ムーンリットナイト
可動域指数=3.0で優秀。後肢も前肢も無難に動けています。只、募集時動画を見ると全体的にまとまっている印象で、突き抜けたところは感じられません。スタイルに起因するものなのか、心なし小さく見えてしまいます。もっとも、肩の角度は明らかに寝ており、中距離適性は感じられます。歩速は速目でキビキビした印象を受けるところは好感触です。
筋肉は半腱半膜様筋の凹凸は確認できるのですが、牡馬であればもっと筋肉が付いて来ても良い気がします。質感は普通で硬すぎると言うことな無さそう。直近の運動メニューは坂路に週3回入り、内2回が2本の内容でした。ペースは3ハロンを12-13を計時しており、社台Fの育成馬の中では進んでいる進捗です。これを受けて、近々にも栗東TC近郊への移動が予告されています。
只、牧場スタッフから「前脚に疲れがたまりやすい面はあるようですが、しっかりとケアしてもらっており、無理をしなければこのまま進めて行けそうです。」とコメントされている点には留意をしておく必要がありそうです。
預託先は加用正厩舎です。2024年2月に定年が予定されており、本仔が順調に競争生活を続ければ、5歳の2月に移籍が発生することになります。厩舎リーディングには年度毎のバラツキがありますが、「クラブ馬回収率=218%、クラブ馬勝ち上がり率=48%」は極めて優秀な成績です。グリーンファームとの相性の良さも見逃せません。さらに、「平均出走回数=4.7走/年」も突出した数字で、クラブ馬の預託先としては評価できる内容です。
一方、テシオ理論としては基礎体力値=50%で平均レベル。優先祖先が母母グラップユアハートである点については好印象です。適性はダートの中距離と考えて間違いは無さそうです。(横道ですが、テシオ理論的には本仔の1つ下の方がより狙い目でしょう。)
全体的に優れた印象であり、牡馬で1200万円の募集額は明らかにコスパが高いと思われますが、華に欠ける点が残念です。
4.テネル
可動域指数=5.0で上記3頭と比べると数字は落ちますが、募集時動画を見る限り全くそん色は感じません。そう言う意味では、この程度の指数差は誤差の範囲とみなすべきかもしれません。直飛傾向でもあり、後肢がシッカリと伸びているのに加え、前肢も前に大きく振り出されています。只、歩速が遅い点は気になるところで、キビキビした印象は受けません。
筋肉は半腱半膜様筋の様子が確認できますし、胸前の大きさも目立ちます。筋肉の質感も悪くないと思います。気になる点は前肢の膝の位置が微妙に後ろで、弓脚とまでは行かないものの、留意はしておいた方が良いかもしれません。
只、本仔は半姉のシネマソングスと立ち姿が大変良く似ています。比較して、テネルの方がガッチリしている印象ですが、基本的なフレームは同じに見えます。さらに、前膝の様子も同様で、むしろシネマソングスの方が弓脚気味に見えるかもしれません。シネマソングスが膝に故障を抱えた記憶の無いことから、本仔に付いても無用な懸念かもしれません。
現在の運動メニューは坂路を週1回17-15ペースで、チェスナットファーム育成馬としては標準の進捗ですが、ノーザン&社台系牧場と比べると遅い感じは否めません。只、本仔については牧場スタッフのコメントで「気性的にやればやるだけ動いてしまうので、15秒までのペースにセーブし本数を重ねて乗り込んでいます。」とあり、気性を考慮して意図的にペースは抑えられている様です。最新の馬体重は451Kgで同時期のシネマソングスよりも約20Kg大きくなっています。
なお、4/1付けの動画で、右前脚の出方が外向気味に見える点については留意をしておきたいと思います。
個人的な問題点は預託先の厩舎で、相性の悪い小笠倫弘厩舎になります。只、データ的には「クラブ馬回収率=144%、クラブ馬勝ち上がり率=45%」ですので、むしろ優秀なレベルと判断することが出来ます。
テシオ理論から見ると、基礎体力値=52%で平凡ですが、空胎明けである点で上積みが期待できます。優先祖先は母父Yonaguskaから2代遡ったCherokeeDame。シネマソングスの下2頭は父系が優先でしたので、本仔はシネマソングス以後で最初の母系似の産駒となります。但し、シネマソングスは母アースリヴィングがMAX活性の年の産駒でしたので、シネマソングス程の活躍は過度な期待かもしれません。
また、配合的にも父ルーラーシップがピンと来ません。本仔は母系似の予想ですが、父ルーラシップになるとダート適性が割り引かれる予感がします。
おわりに
4頭の追加出資候補馬について現状のレビューを記しましたが、ここまで出資を決断しなかっただけはあって、各馬共に何らかの懸念材料を抱えています。今後、様子見を続ける中でこれら懸念材料が何処まで解消されるかが要注目ですが、募集価格から見れば「何処に目を瞑ることが出来るのか?」の判断の方が重要かもしれません。