当ブログでは話題にすることの多いフェデリコ・テシオ理論ですが、オカルト枠として紹介しながらも実際の自分は敬虔な信者だったりします。そもそも、理論的に証明できないものをオカルト見なすのであれば、インブリードをはじめとする競馬における血統理論は概ねオカルトと見なさなければなりません。そう言う意味で、自分はテシオ理論を他の血統理論と同様のプライオリティを以て、出資判断に活用しています。
ここで、自分がテシオ理論について知り、勉強する契機となったのはYoutubeのドルメロの魔術師 ch.でした。以来、本ブログで扱うテシオ理論はドルメロさんのアレンジを含めたドルメロ流テシオ理論をベースとして来たのですが、自分なりに血統分析を重ねるにつれて、幾つかの割り切れない事象に直面する状況になっています。
そこで、本稿ではテシオ理論の基本をキープした上で、個人的なアレンジを施した「自分流テシオ理論」を整理することにします。
1.活性値の遷移
テシオ理論の基本となる活性値は誕生した時点を0として8年サイクルで変化します。ここで、自分が引っかかるのが活性値8から0に遷移するタイミングです。ドルメロ流では受胎日から8年2か月を経た時点で8→0にリセットされるとしていますが、自分的には自然界の現象がデジタル的に急変すると言う考え方に割り切れないものを感じています。
そこで、自分流テシオ理論では受胎日の活性値を8とし、そこから1年間で連続的に1に降下するものとします。そして、そこからは1年毎に1ずつ上昇し、8年目に最大値8に至ると考えます。これをグラフで示すと以下のイメージになります。この考え方を採ることで厳密な日数計算に拘る必要は無くなりますし、南半球産馬の扱いもクリアになります。
2.0活性の廃止
前項で示した通り、自分流テシオ理論では活性値を8→1→8→1で遷移すると考えることから、0活性の概念自体が消失することになります。..では、0活性の概念を無くすると従来理論にどのような影響が出るかというと、最もインパクトが大きいのはインブリードの考え方です。テシオ理論では「父母間クロスをマイナス材料と見なす一方で、0活性の祖先を介することで、そこから遡る系統のクロスは無視できる」としています。これはテシオ理論を最初に日本に広めた中島国治氏の著作の中で示されたものです。
3.インブリード
前述の通り、0活性の概念を放棄することで、インブリードの取り扱いに大きな影響が生じますが、これに対し自分流テシオ理論では「父母間クロスは必ずしもマイナスとしない」と評価方法を転換します。これはテシオ理論に対する大きな反旗となりますが、自分的にテシオ理論で飲み込み難い部分であり、今回の自分流理論では抜本的に見直ししています。
現実の事例を見ても、キズナ産駒のSecretariatクロスの様に「クロスがプラスに寄与するケースは確実に存在する」ことから、「クロス=悪」の考え方を採ることは出来ません。但し、活性度によってクロスの影響(良い影響か悪い影響かは別の話)が強弱する考え方は支持します。0活性を無くしたことで、1世代でクロスの影響がなくなることはありませんが、低活性の世代を重ねることでクロスの影響は低下するものとします。この考え方を採ることで、「若い世代のクロスほど影響は大きく、古い世代のクロスは影響が小さくなる」と考えます。
4.優先祖先の決定
優先祖先の決定において活性値が等しい複数の種牡馬が存在する場合、より世代の若い種牡馬を優位とします。ドルメロ流では種付日からの日数を厳密に数えて最も活性値の高い種牡馬を優位としますが、自分流では中島国治氏が示した手法を採用します。これはインブリードの項で触れた様に、「若い世代の方が古い世代よりも影響度が大きい」という考え方に沿ったものです。
5.優先祖先の活性値
ドルメロ流では優先祖先が何れであるかで調査対象の優劣を評価しませんが、自分流では優先祖先が高い活性値を持つことを好評価します。特に、優先祖先の活性値が8の場合、調査対象馬は高評価になります。これは「活性値が高いほど子孫に影響を強く伝える」と言う考え方に立脚するもので、「優秀な祖先の特徴が強く遺伝するほど、子孫の能力が高くなる」と考えます。
さらに、前項で述べた通り、自分流理論では「若い世代の方が古い世代よりも影響度が大きい」の考え方から、優先祖先が若い世代であることをプラス評価とします。また、若い世代の競走馬ほど現代競馬に合わせて進化した形とすれば、やはり若い世代を優先祖先に持った方が有為であると考えることもできます。
加えて、自分流理論では優先祖先が活躍馬であるほど高評価とします。基本的に血統表上の牡馬は総じて活躍馬である筈なので、「優先祖先が牡馬であること、そしてその活性度が高いこと」は評価の指標として重視します。言い換えれば、優先祖先の活性度が高い場合でも、それが牝馬である場合は、その牝馬が活躍馬であったか否かを評価する必要があります。
以上より、自分流理論では「父馬が優先祖先でかつ最大活性値を有するケース」を最も理想の優先祖先と考えます。
6.母馬の活性値
基礎体力値の高い産駒を高評価することはテシオ理論の基本ですが、特に母馬が最大活性の場合は評価対象を高評価します。さらに、前年が空胎であった場合は活性値にプラスアルファを与えます。すなわち、最も評価の高い母馬は「活性値=8で前年が空胎の母馬」になります。なお、前年が空胎の場合は、その年の活性値を翌年に持ち越す(加算する)イメージを持ちます。即ち、活性値=1で最低の母馬であっても、前年が空胎であれば、前年の活性値8が持ち超されて優れた産駒の出ることがあると考えます。
7.連産サイクル
1頭の母馬が産駒を連産するとき、活躍馬は隔年で現れる傾向が見て取れます。すなわち、偶数年か奇数年の何れかに偏って優れた産駒は現れることになります。そう言う意味では、兄姉の成績が優れているからと言って、その1つ下に飛びつくことは危険である考えます。
さらに、偶数年/奇数年の優劣のサイクルは空胎を挟むことで入れ替わる場合があります。具体的に、偶数年に活躍馬を出す母馬が偶数年を空胎で過ごした場合、そのエネルギーは翌年に持ち越されて奇数年に優れた産駒が出ることになります。反対に、劣勢サイクルの年を空胎で過ごしても、翌年に活躍馬が出るので偶数/奇数の優先サイクルは変わらないと考えます。
以上が自分流テシオ理論の骨子ですが、これを用いることで従来の分析結果にも影響が生じることになります。以下では過去の活躍馬について、自分流テシオ理論を適用した結果を紹介します。
■ディープインパクトの場合
優先祖先の決定に際して、父系は父サンデーサイレンスの活性値が7になります。これに対し、母系の最大活性はButtedの5なので世代差は2。従って、優先祖先は父系の2世代目となりますが、問題は父父Haloの活性値です。従来方法ではHaloは0活性と見なされることから、優先祖先は父母Wishing Wellとなります。ちなみにWhishing Wellの活性値は2です。
これに対し、自分流の場合は0活性の概念がありませんので、Haloの活性値は8となり、こちらの方が優勢です。優先祖先はHaloとなり、その活性値はMAXの8になります。即ち、ディープインパクトは「優先祖先が最大活性値」の高評価パターンに合致します。また、ディープインパクトの素軽いスピード能力はHalo譲りと考えると腑に落ちるかもしれません。
■コントレイルの場合
優先祖先の決定に際し、父系の父ディープインパクトの活性値は6です。これに対し、ポイントになるのが母父Unbrideld’s Songの活性値です。ドルメロ流の種付日から厳密な日数計算をおこなうと、母父Unbrideld’s Songは0活性と判定されます。その結果、母系の最大活性馬は4代父のStorm Catとなり、その活性値は6です。従ってディープインパクトと活性値が同点となりますが、更に日数で優劣を判定して、最終的に優先祖先はディープインパクトと判定されます。
これに対し、自分流の場合は母父Unbrideld’s Songの活性値は8となり、これが母系の最大活性馬です。結果、優先祖先は母系の2代目のUnbrideld’s Songと判定され、その活性値はMAXの8となり、こちらも「優先祖先が最大活性値」のパターンに合致することになります。
さて、ここからは余談ですが自分流理論ではコントレイルは母系似の産駒であり、ディープインパクトの直接的な後継産駒ではないことになります。これに対し、自分がディープインパクトの後継候補として大注目しているのが、今年デビューするコントレイルの2つ下の全弟、サンセットクラウドです。本馬は父ディープインパクトの活性値が8であり、母父Unbrideld’s Songと同点ですが、若い世代を優位とするルールから、優先祖先はディープインパクトとなり、その活性値はMAXの8です。
さらに、母ロードクロサイトは活性値がMAXの8である上に前年が空胎です。また、連産のサイクルはコントレイルと同じ奇数年産駒に当たります。テシオ理論でこれだけの好条件の揃う競争馬は早々見つからないと思います。
コメント
血統に関心があり、テシオをはじめ研究している者です。
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>ドルメロ流の種付日から厳密な日数計算をおこなうと、母父Unbrideld’s Songは0活性と判定されます。
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と書かれておられますが、
Unbrideld’s Songの種付日のデータは、どこにあるかお分かりなら、ぜひお教えいただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
ei sasakiさま、
これを書いた当時のことを覚えていないのですが、「ドルメロ流の種付日」と書いていることから推察して、真の種付日ではなく、「種付日が不明の場合は誕生日から起算してxx日前を種付日とする」と言う、ドルメロ氏が提唱する手法を指しているものと思います。お力になれず、申し訳ありません。