牝系の年齢と産駒の競争成績の相関性について検証するシリーズの2回目です。(前回はこちら)
前回は出生時の母年齢と産駒の競争成績に一定の関係性が認められることを確認しましたが、今回は2代母の年齢と産駒の競争成績の関係について調査した結果を示します。
1.2代母の年齢と収得賞金
テシオ理論における基礎体力値の算出ロジックで特徴的な点は、「牝系を遡って活性値を加算する点」にあると考えられます。そして、これが正しいとすれば、2代母の年齢と産駒の競争成績の間にも何らかの相関性が認められなければなりません。
そこでこれを検証するために、2代母の年齢と産駒の平均収得賞金の関係を調査しました。結果を以下に示します。
この結果は評価に悩む部分があるのですが、2代母の年齢が18歳までは、「加齢と共に競争成績が低下する状況を示している」ことに間違いはありません。問題は19歳以降のデータのバラツキです。この急激なデータ変動を「サンプル数が少ないことに起因するもの」と考えることも可能ですし、「何らかの意味を有した変動である」と考えることも可能です。
ここで、2代母が19歳のサンプル数は334頭であり、以降はさらにサンプル数が低下して行きます。この程度のサンプル数であれば、1頭の大活躍馬の存在に拠ってデータが大きく振られる可能性は否定できません。
そこで今回の議論に於いては、18歳以降のデータ変動をノイズとして無視して検討を進めることにします。(18歳以降のデータ変動を有為と考えるケースについては、次回以降に取り扱います。)
2.母と2代母の平均年齢と産駒の競争成績
前述の通り、2代母の年齢と産駒の成績の間に一定の相関性が認めらえるとすれば、「テシオ理論における基礎体力値の算出ロジックには妥当性がある」と考えることが可能になります。
ここで、テシオ理論では4代母までの活性値を加算して基礎体力値を求めますが、今回の分析では出産時の母年齢と2代母の年齢の平均(端数は切り上げ)を求め、産駒の平均収得賞金との関係を調査しました。
これは個人的に衝撃的な結果であり、前回の母年齢と産駒の成績の関係と比較して、より平滑で明確な減少傾向が確認される結果になりました。16歳のポイントでデータが跳ねている点についてはテシオ理論的に興味を引くものがありますが、そこに目を瞑れば「全体に牝系の加齢と共に成績が低下する傾向性」を確認することが出来ます。なお、母年齢と競争成績の関係においては年齢5~6歳時に競争成績の低下が見られましたが、2代母の年齢を加味することでその影響も緩和されています。
3.まとめ
今回の検証結果より、母年齢に2代母年齢を加えた評価を行うことで、産駒の競争成績をより高い確度で推測できる可能性が示されました。以下、2代母年齢を加味した出資馬の選定基準を示します。
・母と2代母の年齢平均が7~10歳の産駒を狙いたい。
・平均6歳時の成績も決して悪いものではない。
→牝系の年齢は若いほど良い
・2代母が若ければ、母高齢のマイナスをキャンセル出来る。
次回に続きます。