2021年度:様子見対象馬のフォロー⑥

様子見対象としてピックアップした21年度募集馬の育成状況のフォローの第6回です(前回はこちら)。この間、DMMのヴァンキシュト20が満口となり、DMMの2歳馬からは様子見対象がいなくなりました。また、YGGについてはクラブポイントが3月に失効するタイミングで、トレサンセール20への出資を決定しています。

※クラブ毎に出資の有力な順番に記載しています。
※馬名が決定しましたが、募集馬名で記載します。

【グリーンF】

4/8に募集馬の主に登坂動画が公開されました。グリーンFの少ない募集馬情報としては貴重な情報公開イベントであり、これが移動前の最後の情報になることも少なくありません。今回の「様子見対象馬のフォロー」は、この動画の評価が大きな比重を占めていますが、結果的に上位候補のラインナップに変更はありませんでした。

1.エメラルドスターの2020

・更新日 :2022/4/8
・馬体重 :478Kg(-4Kg)
・メニュー:坂路4回(内2回が2本)15秒ペース

社台Fにて育成中。坂路入りの回数は週4回で、内2回が2本で前回から変わっていません。ペースも16-15ペースがキープされています。担当者のコメントによれば「冬場の地道な乗り込みが上手く行った成果で、足元を含めて疲労感なくラクに動けています。馬体にもう少しメリハリが欲しいところはありますが、前に出ようとする意欲は充分に備わっており、今後調教強化に比例してグンと変わり身を見せてくれそうな印象です。」とのこと。引き続き、前進気勢がフォーカスされながらも、気性的な懸念が示されていない点は好評価したいところです。

一方で、今回公開された登坂動画の第一印象は「然して目を惹く」ものではありませんでした。特に前半の走りが物足りなく見えたのですが、精査するとこの時の前半は18秒or17秒ペースで、最新のメニューと比較すると、スローペースであったことが判ります。3/7には3Fを44.9で乗られており、動画の撮影日は3/17はクールダウン期間に当たった可能性があります。それでも、斜度が上がる後半はシッカリ走れている印象であり、懸念材料には当たらないと判断しました。

最新の馬体重は478Kgで、徐々に絞られてきた印象ですが、それでも兄姉と比較して本馬は明らかに馬格が大きく、兄姉とはクラスの違う活躍を期待したい所です。一方で、「馬体のメリハリの無さ」への言及があり、これは仕上がりの遅さを示していると考えらえることから、今後は時計のペースアップに注目をして行きます。

2.ウイングドウィールの2020

・更新日 :2022/4/8
・馬体重 :510Kg(+6Kg)
・メニュー:坂路3回(内2回が2本)16-14ペース

社台Fにて育成中。坂路入りの回数が週2回→週3回に増えました。内2回が2本は変わりません。ペースは16-14レベルで変わりません。前回の更新で示された「左前球節の捻挫」からは既に回復しているとのこと。なお、この間に馬場入りを控えたことも手伝ってなのか、馬体重は510Kgに増加しています。

牧場スタッフのコメントに依れば「コンディションが上がりやすく、現状オーバーウェイト気味は否めません。乳酸値は低めで推移していますので、今以上に速いラップでの調教を課して動かしていきます。」とのこと。「コンディションが上がりやすい」の意味が取れないのですが、文脈的には「大型馬で仕上がりに時間を要している」と理解しています。

公開された登坂動画については、エメラルドスター20の感想と同様に、初見では「目を見張る」ものではりませんでした。更に、この理由もエメラルドスター20と同じで、ペースの遅さにあったものと考えています。動画の入りの1Fの時計は17.3or16.6の何れであり、3/8に記録した15.8と比較して緩いペースに抑えられています。これらを勘案すると、動画撮影時期の社台Fの育成サイクルが、軽いリフレッシュモードに当たった可能性がありそうです。本馬も斜度の上がったらラスト1Fはシッカリと走れている印象であり、懸念材料には当たらないと判断しました。

本馬については以前から「促せばいくらでも時計は出るタイプ」とのコメントがあり、言い換えれば時計を出さない理由は体力不足にあると考えています。ここからのペースアップに注目をして行きたいと思います。

個人的に「最後の1頭は関東馬から選びたい」と言う思いと、「社台F復活の流れに賭けてみたい」と言う思いがあり、この2つを両立できる本募集馬には期待をしたいところです。

3.アースリヴィングの2020

・更新日 :2022/4/8
・馬体重 :486Kg(+20Kg)
・メニュー:周回ダート2400M,坂路1回(15秒)

チェスナットFにて育成中で、BTCを利用して調整が行われています。厳密に週間の坂路の本数は読み解けませんが、少なくとも週1回は15秒ペースの強目が乗られています。BTCを利用する環境的制約から、社台Fの様な本数では坂路が使えないのかもしれません。この辺りは育成上のハンデと認識するべきかも..。

牧場スタッフのコメントに依れば「強目を行う日は、ハロン15秒ペースをイメージしながら、14秒台まで無理なく加速出来ています。乗り込みを重ねる毎にフットワークは良化し、ここまで大きな疲れも無く、一歩ずつステップアップしています。」とのことで、育成は順調と考えて良さそうです。一方で、公開された登坂動画については、先の2頭よりは好印象ながら、「おぉっと思う印象」はありませんでした。これもペースが17-16と緩めであったことが影響している気がします。

最新の馬体重は前回から+20Kg増加して480Kg。ダート適性が前提の本馬としては、この体重増加は何よりの好情報だと思います。

小笠師からは「このまま順調に進められれば、5月中の移動も検討したい。」のコメントが出ていますが、小笠厩舎は早期に入厩させてから再放牧で時間を掛けるケースも多く、「早期入厩=仕上げが早い」には直結しないことに留意する必要があります。

4.ツルマルオトメの2020

・更新日 :2022/4/8
・馬体重 :460Kg(±0Kg)
・メニュー:周回ダート2400M,坂路1回(15秒)

チェスナットFにて育成中で、BTCを利用して調整が行われています。アースリヴィングの2020と同じ育成環境で、進捗状況も同等です。牧場スタッフのコメントに依れば「時期的なもので、牝馬特有のフケが見られていましたが、その間も緩ませず調教を続けてきました。現在はフケもおさまり、強目を行く日はハロン15秒ペースをイメージしながら、14秒台まで無理なく加速出来ています。」とのこと。

公開された登坂動画をみると、単走ながら良いアクションで動けている好印象を持ちました。但し、ラストは疲れてヨレている気配もあり、体力的には十分とは言えないのかもしれません。なお、本馬の動画は15-14ペースの強目で乗られたもので、その分だけ動きに迫力が見えるのかもしれません。

総合的には出資したいと思わせる本馬なのですが、どうしても先の3頭を諦めて本馬に決断する選択が出来ないでいます。一方で、残口は9口に減った上に、杉山師からは早期移動の方針も示されています。他候補馬の入厩タイミングにも拠りますが、今月末には悩ましい判断が必要になりそうです。

5.エイシンバンバの2020

・更新日 :2022/3/8
・馬体重 :488Kg
・メニュー:坂路1~2回(15-15ペース)

武田ステーブルにて育成中で、BTCを利用して調整が進められています。運動メニューは前回から変わらずで、坂路1~2回を15-15ペースで乗られています。

牧場スタッフのコメントに依れば「動きは安定していますし、現在のペースにも慣れて気性面での難しさを見せること無く調整を進めることが出来ています。馬体重も大きな変化はありませんが、無駄肉が取れて絞れてきた印象です。」とのことで、至って順調な進捗状況です。

何より、馬体重の488Kgと言うのが、オルフェヴル産駒としては大柄で高評価したいところです。また、オルフェーヴル産駒ではありがちな、気性面の問題が指摘されていない点も見逃せません。

公開された登坂動画では、首を上手に使いながら最後までシッカリと登り切っており、個人的に今回公開された登坂動画の中で、一番の出来に見えました。

本馬も総合的に好評価する1頭で、華に欠けるところはありますが、価格を考えれば良くバランスが取れた募集馬の様に思います。気に掛かるのは筋肉が少し硬目に見えるところ程度なので、これで関東所属馬でしたら、出資を決めていたかもしれません。

【YGG】

3月末にトレサンセールの2020への出資を決定し、これにてYGGの現2歳馬への出資は打ち止めとする予定でいました。しかし、Twitterのフォロワーさんよりシンラバンショウの2020を好評価する情報を頂いたことから、本馬をフォローの対象に戻すことにします。

1.シンラバンショウの2020

・更新日 :2022/4/1
・馬体重 :442Kg(+6Kg)
・メニュー:キャンター3200M

グリーンマイルTCにて育成中です。グリーンマイルTCは坂路調整を行える環境に無いことから、運動メニューはキャンターで3200を乗られています。牧場スタッフのコメントに依れば「最近は気合いと気持ちも乗ってきたのか多少の煩さが出てきており、乗り込むに連れ敏感な所が出てきてバタバタするような一面もみせるようになってきました。」とのこと。

馬体重は3/16に対して+6Kg増加して442Kg。1歳10月の420Kgから着実に増加をしていますが、管囲が19cmと細いことを考慮すれば、これ位で体重増加が止まった方が、脚元には安心かもしれません。
参考までに、半姉フウゲツムヘンは1歳10月の馬体重が417Kgで管囲が18.8cmに対し、現在は448Kgで競馬をしており、特に脚元に不安は生じていません。母シンラバンショウは410Kg台で新馬戦を勝ちましたから、血統的にこれ位が良い所なのかもしれません。只、シンラバンショウには体質的に弱いところがありましたので、その辺りが遺伝していないことは見極めておきたいところです。

現時点で坂路入り出来ていない点は、早期始動が求められる近年の中央競馬において明らかなビハインドであり、出来れば早々に育成環境を変えてあげたい気がします。ちなみに、出資馬ラインオブフェイトは同じくグリーンマイルTCの育成でしたが、3月末には美浦近郊のセグチレーシングSに移動しています。

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