唐突ですが、YGGの2歳募集馬「クラリティアイズの2020」に出資を行いました。クラリティアイズの2020については募集開始時点よりYGG募集馬のトップの評価をしていましたが、その後の気性難の情報から出資判断を見送っていました。これに対し、直近の情報更新にて「特に悪さもしなくなってきて扱いやすくなってきています。」とのコメントが出たことから、最大のリスク要素の解消が見込まれると判断し、締め切り間際に滑り込みで出資を行った次第です。以下、本判断に際して検討した内容を備忘録として書き残します。
■種牡馬
「YGGトレサンセールの2020に出資」の当該項を参照のこと。
■牝系
母クラリティアイズはノーザンF生産馬で、キャロットファームから総額2400万円で募集された競争馬です。3走目で勝ち上がってクラッシック路線を目指しましたが、結局2勝目を挙げることが出来ませんでした。抹消後はノーザンFに戻されましたが繁殖牝馬セールに上市され、YGG関連のブルーインベスターズに売却されています。そう言う意味で、本馬はクラブの自己生産馬と考えられ、これが安価な募集価格に繋がっていると思います。
一方で牝系全体を見ると、3代母マストビークラウドからは桜花賞馬ラインクラフト、プロキオンSを制したアドマイヤロイヤルの重賞馬を輩出しています。また、現役馬では本仔の叔母ビップウィンクがオープン入りを果たしており、一本筋の通った牝系と評価することが可能です。ノーザンFにこそ残れなかった繁殖牝馬ですが、その血筋の良さに疑いはありません。
■配合
父オルフェーヴル-母父キングカメハメハの配合はNIXと見なされる配合パターンであり、日経新春杯(G2)を制したショウリュウイクゾを輩出しています。現4歳馬までに31頭がデビューして18頭が勝ち上がり、58%の高い勝ち上がり率を示します。加えて、この18頭の1/3に当たる6頭がオープン馬である点が見逃せません。
なお、牝馬に限定しても14頭中8頭が勝ち上がり(勝ち上がり率:58%)、3頭のオープン馬を輩出しており、性別に偏らない成績を残しています。
■駐立写真
募集時の写真は相当幼い印象を受けるもので、筋肉の発達は目立ちません。只、トモの面積はそれなりにありますので、鍛えて行ければ立派な馬体になりそうです。短足気味の体型からは短距離適性を感じます。
一方で、本仔を最も高く評価するところは、その馬格です。募集開始時の馬体重が447Kgで管囲が20cm。現在は481Kgまで増加しています。基本的にオルフェーヴル産駒は小さく出ることが多い中で、この馬格は極めて魅力的に映ります。過去、440Kg未満の体重で出走したオルフェーヴル産駒の戦績が1273走して勝率4.6%・複勝率16.2%。これに対し、440Kg以上の馬体重で出走したオルフェーヴル産駒は、3498走して勝率10.2%・複勝率28.8%の好成績を残しています。この成績のギャップは無視できるものではなく、440Kg超でデビューできる可能性の高い本仔はそれだけで評価が高まります。
■歩行動画
募集開始時に本仔を好評価した事由が歩様動画でした。前肢・後肢共に可動域が広く、前肢は大きく前から振り出され、飛節は直線状に延びています。その上に、スタスタとリズミカルに歩く姿からは運動神経の良さを感じました。
一方で、筋肉の質感が「柔らかい」を超えて「緩い」の印象があり、これが本仔の懸念材料となりました。鍛えて行って何処まで締まって来るかの問題ですが、一定のレベルに達するまでに、相同な時間の掛かることは間違いなさそうです。
■誕生日と母年齢(参考1、参考2)
先ず、誕生日は2/18で申し分ありません。出生時母年齢は7歳で微妙に若いですが、これもプラス評価です。さらに、2代母の出生年齢が9歳で、母との平均年齢は8歳となり、これはベストと判断されます。何れにしても、出生年齢関連では非の打ち所のない条件が揃っています。
■生産と育成
生産牧場はサンバマウンテンファームです。これは自家生産との関係がありそうですが、何れにしても実績のある牧場とは言えず、懸念材料の1つとなります。
次に、育成牧場はグリーンマイルトレーニングセンターで、こちらも設備の揃った育成環境とは言い難いところです。何より、BTCを使っていない(使えない?)ところが条件的に不利で、冬季から坂路調教の出来る馬と比較すると、ビハインドは否めません。只、愛馬ラインオブフェイトもこちらの育成であったことを考えると、個人的な相性は悪いものではありません。
■厩舎
預託先は美浦の尾関厩舎。昨年こそリーディングを100位台に落としましたが、それまでは安定的に50位台をキープする実績のある厩舎です。YGGからは初めてですが、他クラブからの預託馬は多く、高い信頼を得ていることが判ります。個人的には初めての預託厩舎になりますが、常々、グリーンF所属馬のマネージメントを傍目から眺めており、その安定性を感じていたところです。
■テシオ理論
優先祖先は母系の3代目に位置するバチアーとなり、脚質は芝の短距離~マイルと想定されます。テシオ理論的には母系似の産駒と見なされます。
基礎体力値は56%で標準。(注:個人的に基礎体力値は重視していません。それよりも母と2代母の出生時年齢を重視しています。)
ついでのオカルト要素をもう1つ挙げると、本仔は左後一白になります。個人的には惹かれてしまう要素だったりします。
■雑感
正直、衝動的に出資を決めてしまった感はあるのですが、基本的には募集時から注目していた馬になります。最大の問題は気性面で、それをケアしてこれまでの調教量が足りていない点が懸念材料です。一方で、直近の情報更新で「最近は特に悪さもしなくなってきて扱いやすくなってきています。」のコメントが出ており、これを信じて賭けに出ることに決めました。元来、馬格の有る仔なので、体質的にトレーニングの積めないリスクはありません。気性面での幼さが抜ければ、一変が見込めると考えました。
..とは言え、現在の運動メニューは20-20に留まっており、デビューへの道程は相当遠いと思われ、今回は年明けのデビューも覚悟しての出資になります。極端な話、YGGは地方転出から復帰までを見込めるクラブですから、長期視点での判断とも言えます。そして何より、総額990万円の格安の募集価格ですから、多少の博打は打てると考えた次第です。