2022年度グリーンF募集馬の発表②

引き続き、後半の10頭について第一印象をメモ書きして行きます。(前回はこちら
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ラヴアズギフトの21(父ドレフォン)新井昭二

祖母ファストアズライトがグリーンF募集の外国産馬で、5勝を上げる活躍。さらにその子孫からも、母ラヴアズギフトを始めに7頭がクラブから募集され、グリーンファームの中でも特にお馴染の牝系。母ラヴアズギフト自身は未勝利のまま抹消されたが、その仔出しは優秀で、既出走馬5頭中の4頭が勝ち上がり、内3頭は複数勝利を上げている。ファストアズエバーとグランマリアージュの2頭は気性面に煩く、短距離を主戦場としたが、上のエフハリストは中距離を走っており、必ずしも短距離限定とはならない。只、本仔については父がドレフォンに変わったことで、短距離適性に出る可能性が高そう。何れにしても人気化は避けられない募集馬。本仔の詳細はこちらも参照。

エルメスグリーンの21(父ニューイヤーズデイ)那須野

叔父にG1馬ディーマジェスティの居る牝系。母エルメスグリーン、姉エルメスショコラ、兄シャンポールナイトが元グリーンF所属馬。シャンボールナイトは育成段階で厩舎関係のトラブルが生じるも、武井厩舎に転厩して、現在は生涯OPで2着の好成績を収めている。
父ニューイヤーズデイは本仔が日本での初年度産駒となるが、海外ではケンタッキーダービーを制したマキシマムセキュリティを出しており、種牡馬能力は折り紙付き。本仔の詳細はこちらも参照。

フィロンルージュの21(父ニューイヤーズデイ)ハシモトF

スカーレットインクから連なる日本を代表する牝系。直近にグリーンF所属馬は見つからないが、リボントリコロール、ルヴェルソー、ロゼットブルー、ジョリーリュバンは遡れば同一の牝系。母フィロンルージュは1勝止まりだが、産駒から4勝馬プレシャスルージュ、3勝馬トラモントを産出している。
本仔の上は全てノーザンF生産で、本仔よりハシモトF生産に変わっている。但し、母馬の所有権はノーザンFから移動しておらず、生産を委託したのみの可能性も高い。そういう意味では、那須野系生産馬のカウントではなく、ノーザンF関連の募集馬としてカウントすべきかもしれない。育成はノーザンFで行われると予想。

ナスノシベリウスの21(父ブリックスアンドモルタル)ハシモトF

母ナスノシベリウスは米国から輸入された外国産馬。那須野牧場の名義で走り、中央で3勝を上げた後、繁殖に入る。その初仔のナスノシンフォニーがホープフルS(G1)5着の結果を出した期待馬でしたが、故障に泣き3勝で引退。その弟妹も出来が良く、既出走の4頭全てが勝ち上がり、内3頭は複数勝利を上げている。今後の那須野牧場を代表にする牝系として期待される。
4番仔のアレグロモデラートが初めてグリーンFから募集され、以降の産駒もグリーンFから募集されている。一つ上のハーツコンチェルトはグリーンFでは破格の総額4800万円で募集されたがそれも早期に満口。父がブリックスアンドモルタルに代わって、本仔の募集価格が注目される。本仔の詳細はこちらも参照。

サザナミの21(父ブリックスアンドモルタル)社台F

母サザナミは元グリーンFの所属馬で、400Kg前後の軽量ながら5勝を上げてオープン入りを果たした活躍馬。その初仔のスズナミもグリーンFから募集され、母と同様の小柄な馬格ながら、現時点で未勝利脱出にあと一歩の状況。そう意味で、先ずは本仔の馬格が気になる所。初仔のスズナミが小さく出ることは想定の範囲でしたが、2番仔が大きく出てれば期待感が高まります。なお、本仔は空胎明けの産駒である点も見逃せない。
父ブリックスアンドモルタルは本仔が初年度産駒となる新種牡馬。現役時代は13戦11勝と言う驚異的な成績を残している。高額賞金レースとして知られるペガサスWCターフの初代王者。海外の芝で比類無き成績を残しており。日本の高速芝にも十分対応出来ると思われる。本仔の詳細はこちらも参照。

アサクサティアラの21(父モーリス)社台F

本仔の伯父に高松宮杯(G1)を制したファイングレインの居る牝系。グリーンFとの縁故馬は特に見当たらない。母アサクサティアラは中央3勝の成績を残しており、本仔はその4番仔にあたる。懸念材料は兄姉が何れも未勝利である点になるが、現時点で中央既走が初仔のデルマカーネリアンのみであり、懸念には早計。
本仔のセールスポイントはNIXとして知られる、父モーリスー母父ディープインパクトの配合。本配合からはファルコンS(G3)を制したルークズネストや、鳴尾記念(G3)2着のジェラルディーナを輩出している。そして、何よりも見逃してはならないのがDanzigの父母間クロスを有すること。先のルークズネスト、ジェラルディーナはDanzigの父母間クロスを有する点で共通している。

シンギングセンセーションの21(父リアルインパクト)新井昭二

グリーンFが米国から輸入した外国産馬アースゼウスが中央4勝を上げる活躍を見せたことに前後して、その母シンギングセンセーションが繁殖牝馬として那須野牧場に輸入された。これを縁故に、カヴァレリア・シングシングシング・ラブシックボッサの3頭がグリーンFから募集されている。シングシングシングは中央2勝に留まったが、特筆すべきは2着×6回、3着×2回の成績。1000万円の募集額ながら、この安定感で4000万円を超える賞金を稼いでおり、一口馬主的には最も有難いタイプの募集馬とも言える。
同様にカヴァレリアは中央で勝ち上がれず、大井で5勝を上げる活躍をして中央に復帰、しかし中央では歯が立たず、再び大井に戻って3勝を積み上げた。2度の地方転出を経てファンドを維持したことは稀有な事例ですが、一口馬主的には思い入れの深いタイプの募集馬であった筈。本仔を今年の特別提供馬候補の3番手と予想。

アンナモンダの21(父リアルスティール)社台F

母アンナモンダから、昨年のアンナジークに続いて2年連続の募集。アンナモンダはドイツから輸入された繁殖牝馬で、現役時代はヴィットリオディカプア賞(G1)を制している。その産駒も出来が良く重賞馬こそ出ていないが、リリエンタール・モントリヒト・アンアミルトと言った活躍馬を輩出している。只、近年は産駒の成績が優れないのも事実。半姉アンナジークも育成牧場の評価が高く、早期移動を実現したが、脚元の故障により現時点でデビューの見込みが立っていない。本仔の出生時母年齢は19歳で、以降の種付は行われておらず、本仔がアンナモンダのラストクロップとなる。

アースグリーンの21(父リオンディーズ)那須野

母アースグリーンはグリーンFが米国から輸入した外国産馬でしたが、僅か3走で故障により引退。その後は那須野牧場で繁殖生活に入り、その初仔がグリーンF所属で、京都2歳S(G3)2着のリスペクトアース。その他にも、ピオレドール・ビスターシュドールがグリーンFから募集されているが、リスペクトアース以降の産駒は成績が優れない。本仔はその8番仔にあたるが、出生時母年齢は13歳で、意外に若い。本仔はリスペクトアースと8歳差であり、テシオ理論的には1サイクル経ての産駒となる。本仔を今年の特別提供馬候補の2番手と予想。

ファビュラスセンスの21(父ロードカナロア)社台F

本仔の伯父に海外G1馬シャドウゲイト、叔父にJBCスプリント2着のサトノタイガーの居る牝系。母ファビュラスセンスは元グリーンF所属馬で、その仔ファビュラスギフトとファビュラスラインもグリーンFから募集されており、ファビュラスギフトは中央3勝を上げている。
ファビュラスセンスの仔は6頭牝馬が続いた後、2020年に初の牡馬が生まれているが、競争馬登録をされていない模様。実質的に本仔が母の最初の牡馬であり、1本筋の通った牝系だけに、牡馬に出た本仔への期待は大きい。
ここで気になるのは募集価格。本仔の種付時のロードカナロアの種付料は2000万円であり、これだけでも本仔の募集価格が3000万円を下回ることは期待し難い。もし、3000万円を切る価格で募集された場合には、逆に「ワケあり」を疑う必要があるかもしれない。本仔の詳細はこちらも参照。

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