先日、GF募集馬のスマラグドスへの出資を決定しました。これを以て、2021年度の一口馬主出資馬を確定とし、以後の追加出資は行わないものとします。以下、2021年度の出資馬の最終ラインナップを確認すると同時に、一口馬主の分散出資について日頃から考えていることを整理します。
■出資馬の構成
先ずは、2021年度の出資馬一覧を示します。
クラブ | 馬名 | 父名 | 所属 | 厩舎 | 募集額 | 出資口数 |
GF | ジュエルアズギフト | ドレフォン | 栗東 | 牧浦 | 2000万円 | 1/200 |
スマラグドス | ハーツクライ | 栗東 | 西園 | 2000万円 | 1/200 | |
YGG | トレブランシュ | オルフェーヴル | 美浦 | 稲垣 | 1100万円 | 1/500 |
レーヌドゥール | オルフェーヴル | 美浦 | 尾関 | 990万円 | 1/500 | |
DMM | グランベルナデット | キズナ | 美浦 | 大竹 | 4500万円 | 1/500 |
グランデスフィーダ | ドゥラメンテ | 栗東 | 池江 | 7800万円 | 1/1000 | |
ミスティックロア | アロゲート | 栗東 | 矢作 | 7500万円 | 1/1000 |
以上7頭が2021年度の全出資馬になります。東:西=3:4、牡:牝=4:3となり、一応のバランスが取れた格好です。
■コスト構造
ここでは全7頭の出資馬について、そのコスト構造をマクロ視点から評価します。まず、総口数を確認すると、
2/200+3/500+2/1000 = 0.018 ≒ 1/56
となり、全体では1/56口相当の維持費が発生することになります。ここで、競争馬1頭の年間維持費を720万円と仮置きすると、およそ13万円の費用負担が発生することになります。
次に、出資金についてもマクロ視点から評価します。各募集馬の募集額は990万円~7800万円と、格安から高額まで広範囲に分布していますが、出資比率を基にして加重平均を求めると、約2700万円と算出されます。
以上より、2021年度の出資状況をマクロ的に捉えると、「2700万円の募集馬に1/56口出資した」と見なすことが出来ます。このとき、具体的な出資金は2700/56≒48万円となり、先に示した年間維持費13万円と合わせると、年間トータルコストは61万円となります。
■コストターゲット
ここからは回収率を意識した出資馬の選定について考察します。自分自身、一口馬主は単なる趣味であって、収益を目標とした投資とは考えていませんし、持続的な黒字化は不可能であるとも考えています。しかし、それでも回収率を意識する理由は「この趣味を長く続けるためには必須である」と考えるからに他なりません。
自分の場合、一口馬主の趣味に投じる年度予算として、3000万円前後の40口募集馬×1頭に出資する資金を上限と想定しており、前項の結果はこのガイドラインに概ね沿った結果となっています。ここで、3000万円前後の募集馬を狙う根拠ですが、一口馬主DBに示される統計情報から出資馬回収率の高いゾーンが募集額2000万円台~4000万円台のレンジに存在することに因るものです。
募集額が高額になる程、募集馬が上位クラスに進む蓋然性が高いのですが、それでも5000万円を超えると、募集額の回収が困難になることが統計的に示されています。一方で、1000万円台以下の募集馬の場合、募集額回収率が100%を超えたとしても、維持費を回収できない可能性が高まります。即ち、全体支出に占める維持費の割合は一定比率以下に抑えることを考えなければなりません。
最終的に、「募集馬の能力を見極めることが最も重要である」ことは間違いないのですが、統計的には「2000万円~4000万円の価格帯から募集馬を選ぶことが有用」と言う結論が得られます。
■出資馬の分散
ところで、「3000万円前後の40口募集馬に出資したい」と考えても、話は簡単ではありません。「気に入った馬に必ずしも出資できる訳ではない」と言う根本問題を別にしても、1/40口×1頭のみに出資した場合、その馬が走らなかった時のダメージが大きすぎます。投資で言うところのボラティリティを抑制するためには一定の分散投資が必要になります。具体的に1/40口×1頭に出資するよりも、1/200口×5頭に出資した方が回収率の振れ幅は確実に安定します。
但し、株式投資と一口馬主で根本的に異なる点は、「株式投資がプラスサムゲームであるのに対し、一口馬主がマイナスサムゲームである」と言う点です。インデックス投資の様に全ての株式に投資をしても、市場成長分の利益を享受することが出来ますが、一口馬主の場合、過度な分散は確実に損出を積み上げる結果になります。
幾つかの一口クラブには所属馬全体に出資する投資信託の様なファンドが設けられています。これは「クラブ全体を手軽に応援したい」と言うニーズを満たすものですが、回収率の向上を意図する上では、不適切な金融商品と断じさえるを得ません。
破産リスクを考えたときに一定の分散は必要ですが、回収率の向上を考える上では過度の分散は控えなければなりません。自分的な結論を言えば、「10頭前後の有望な馬を見い出して、これらに分散出資すること」が、一口馬主と言う趣味を長く続けるコツであると考えています。
■一口馬主クラブの選択
次に、1/40口×1頭の予算を10頭前後の馬に分散出資するために適した一口馬主クラブについて考えます。単純に考えれば、1/400口の募集馬に10頭出資すれば目標とする分散は実現できることから、中~小口募集のクラブを選べば良いことになります。一方で、10頭の有望な馬に出資するには、出資候補となる募集馬の母集団を確保しなければなりません。年会費の負担を考えると、過度にクラブを増やすことは目的に反しますが、10頭前後の優良な出資対象を確保するためには、2~3クラブへの入会が必要かもしれません。また、狙った馬の取り易いクラブであることもクラブ選定の上での重要なポイントとなります。