2021年度の出資馬検討において、早々にYGGから募集されるキングスミールの2021への出資を決定しました。厳密に言えば、キングスミールの2021は昨年から当歳馬募集された馬でしたが、この先行出資期間が7月末で締め切りとなることから、今のタイミングでの出資を決断した次第です。
以下、その判断にあたって検討した内容を備忘録として書き残します。
■種牡馬
父は2023年度に初年度産駒のデビューするブリックスアンドモルタル。ブリックスアンドモルタルは米国の芝レースで名を馳せた活躍馬で、高賞金レースとして知られる、ペガサスワールドカップの第1回優勝馬でもあります。現役時代の成績は13戦11勝の驚異的な勝率を残しており、米国の年度代表馬にも選出をされました。引退後直後に社台スタリオンが輸入したことから米国での種付実績は無く、本仔の世代が真に初年度産駒と言うことになります。
米国の年度代表馬が日本で種牡馬生活を送ること自体が信じ難い話ではありますが、父の戦績が芝2000M前後で良績を残していることからすれば、クラッシックの意識できる産駒を出すことが期待されます。なお、種付料は初年度から600万円でスタートし、2022年度まで変わらずに推移しています。
■牝系
本仔の祖母スルーオールは米国から輸入された繁殖牝馬で、その日本での最初の生産馬が母キングスミールです。キングスミール自身は未出走のまま繁殖生活に入りましたが、弟妹からはフラワーC(G3)2着のスルーレート、中央4勝を上げたマイティスルーが出ています。更にキングスミールの産駒からは、中央6勝のブルミラコロ、エプソムC(G3)2着のハクサンルドルフが出ており、極めて優秀な牝系と評価が出来ます。
本仔は昨年のセレクトセール(当歳)に上市され、YGGが1650万円で落札したものです。これだけの牝系を受け継ぐ牝馬がYGGから募集される点は少々奇異ではありますが、その要因の一つは母の年齢にあったことに疑いありません。本仔の出生時の母年齢は20歳であり、高齢出産の産駒となります。
■配合
父ブリックスアンドモルタルについては産駒がデビュー前であることから、配合上のポイントは見出されていない状況です。
一方で、本仔はサンデーサイレンスの血を有さない血統構成となっており、筋の通った牝系と併せて、本仔の繁殖牝馬としての価値は自ずと大きくなります。恐らくYGGは、将来的な自家繁殖までを視野に入れて、本仔をセールで落札したものと想像しています。
■駐立写真
概ねスクェアな体型をしており、脚の長さも十分あります。目立つのはトモ幅が広く、背中の幅が短いこと。腹袋も大きくて、所謂、長腹短背のスタイルをしています。また、肩の角度が寝気味であることから、前肢の可動域が広くなると同時に高い心肺機能が見込め、中距離以上の適性が期待できます。
一方で、筋肉の凹凸と言う点ではハッキリと目立つところがありません。面積のあるトモに、強い筋肉を付けて行くことが今後の課題になると思われます。
■歩行動画
本仔を高く評価したポイントは歩様です。まず、前肢の可動域が広く、大きく前から柔らかく振り出されています。後肢は前肢の着地点を大きく超えるところまで踏み込まれており、さらに飛節が直線状に伸びるところまで、最後までしっかりと地面を捉えています。
一方で、筋肉には緩いところを感じますが、それ以上に良い弾力性を感じます。さらに、歩速が安定してキビキビと速く、運動神経の良さを伺わせます。個人的には、1歳4か月の仔馬の歩様には見えないと感じました。
■誕生日と母年齢(参考1、参考2)
前述の通り、本仔の出産時の母年齢は20歳で、明らかに高齢出産と見なされる年齢の産駒です。参考1に示す通り、高齢出産の産駒の成績が確率的に優れないことは明らかですが、この確率は高齢出産馬全体に対しての結果であることに留意する必要があります。本仔については順調な成長を遂げていることが明らかであることから、ここでは条件付確率を考えるべきと考えます。即ち、「サンプルを高齢出産馬全体ではなく、高齢出産馬が1歳を超えて順調に成長した場合に限定して考えるべき」と言うことです。
また、2代母との平均年齢は15.5歳であり、参考2に示す通り、ギリギリ成績の出る年齢とみることが出来ます。
本仔の誕生日は3月12日で、既に馬体重は464Kgにも達しています。これより、デビュー時の馬体重は500Kg前後まで大きくなることが予測され、牝馬としては抜けた馬格を得ることが出来ます。柔らかい体の動きから、自分は本仔のトラック適性を芝であると考えていますが、仮にダート適性であったとしても、これだけの馬格があれば十分に戦えると考えられます。
■生産と育成
本仔の生産は新ひだかのチャンピオンズファームです。これより、将来的な外厩には人気のチャンピオンヒルズが利用できると考えられ、これは明らかなアドバンテージとなります。
■厩舎
預託先厩舎は栗東の牧浦厩舎。YGGとの関係としては、ドライスタウトを全日本2歳優駿(Jpn1)制覇に導いた、信頼関係の高い厩舎と言えます。厩舎リーディングは毎年60位前後に留まっていますが、個人的に重視する指標である、「クラブ馬勝ち上がり率=49%、クラブ馬回収率=130%」は、及第点以上の成績を残しています。只、得意条件が短距離に偏っている点が、本仔の適性とは合致しないかもしれません。
また、「関東遠征の比率が極めて高い」ことが本厩舎の特徴であり、出資馬を現地応援をしたい自分としては、個人的に加点評価するポイントになります。
■価格
募集総額は2310万円で、今年度のYGG募集馬では最高額の募集馬です。セレクトセール(当歳)の落札額が1650万円に対し、660万円の上積みになりますが、1年間の育成費用を考慮すれば妥当性のある価格設定と考えられます。
■テシオ理論
優先祖先は母キングスミール。競争実績が無く、適性判断が出来ません。基礎体力値は50%で可もなく不可もなしです。むしろ、オカルトと言う観点では、左後一白である点に惹かれます。