今年度のDMM募集馬、シンハディーパの2021への出資を決定しました。以下、その判断にあたって検討した内容を備忘録として書き残します。
■種牡馬
父は本仔が産駒のデビュー世代となる新種牡馬レイデオロ。言わずと知れたダービー馬で、天皇賞・秋とホープフルSを含めたG1×3勝の成績を残しました、更に、オールカマー・神戸新聞杯の重賞を制し、ジャパンカップ・有馬記念でも2着の成績を収めており、現役時代の戦績は文句なしのトップクラスです。
本馬の血統背景を語るとき、大種牡馬キングカメハメハの後継としてのポジションを考えなければなりません。キングカメハメハ産駒で種牡馬リーディング上位に位置するのはロードカナロア・ルーラーシップ・ドゥラメンテの3頭ですが、本命のドゥラメンテの急逝により、後継種牡馬の座は混沌とした状況に陥っています。レイデオロより下には目立つ活躍馬が出ていないこともあり、本馬が最後の後継候補と見なされます。
レイデオロの血統構成上の特徴はサンデーサイレンスの血を有していない点で、これはロードカナロア・ルーラーシップとも共通します。優れたサンデーサイレンス系牝馬との配合に困らない点は種牡馬として重要なポイントになります。
一方で、3代母にウインドインハーヘアの血を有していることが、レイデオロのもう一つのポイントです。これにより、ディープインパクト系牝馬と合わせたときに、4×3のクロスが発生します。これが良い方向に出れば大成功ですが、思わしくない場合には配合相手が制限される可能性があります。
■牝系
祖母シンハリーズから連なる牝系で、叔父叔母には牝馬2冠のシンハライトを筆頭に、マーメイドS(G3)を制したリラヴァティ、ラジオNIKKEI杯(G3)を制したアダムスピークなど、活躍馬が多数存在しています。
一方、母シンハディーパは中央1勝に留まり、目立つ活躍は出来ませんでした。但し、その産駒からは中央3勝の現役馬シンハリングを輩出しており、優れた牝系の特徴は引き継がれています。
■配合
父レイデオロについては産駒がデビュー前であることから、配合上のポイントは見出されていない状況です。
■駐立写真
微妙に胴長傾向ではありますが、短足ではありませんので、距離適性はマイル~中距離になると考えています。また、肩の角度が寝気味で、背中が短く、トモ幅がある点からは中距離適性を伺わせます。全体的にはバランスの良いことが特徴の馬体だと思います。
一方で、筋肉の凹凸は確認できますが、発達と言う観点では未だこれからの状況です。
■歩行動画
まず、前肢が前に柔らかく振り出されているところが目立ちます。反対に、後肢の動きはもう少し蹴りきって欲しい気がしないでもありません。ちなみに、これまでは可動域の判断基準として飛節の伸び具合を計測していたのですが、今年は大腿骨の付け根を軸にした振れ角を測る様に変更しています。有効性は不明ですが、単に飛節の伸びを見るだけよりも有為ではないかと考えています。
一方で、非常にリズム良く歩けているところが印象的で、前後から見ても嫌な所がありません。全体的に一定レベルをキープしており、不安感の感じない歩様だと思います。筋肉の質感も個人的に好みです。
■誕生日と母年齢(参考1、参考2)
本仔の出産時の母年齢は11歳で、参考1に示す通り成績の良い産駒を期待できる年齢帯と言えます。さらに2代母の出産年齢は8歳で、これもベストに近く、母との平均年齢の9.5歳は理想的です。
また、本仔の誕生日は3月10日で馬体重は422Kg。これより、デビュー時の馬体重は490Kg前後まで大きくなることが予測され、クラッシックを狙う芝馬としては軽過ぎず、重た過ぎずの丁度良い馬格に成長することが期待されます。
■生産と育成
本仔の生産と育成はノーザンFですので、間違いなく大きなアドバンテージとなります。
■厩舎
預託先厩舎は半姉シンハリングと同じく美浦の国枝厩舎。元を辿れば、セレクトセールにて本仔の落札をクラブに頼んだのが国枝師とのことで、これ以上の信頼感はありません。国枝師は2026年で定年の予定であることから、本仔を最後まで管理できない可能性はありますが、インタビュー動画でも「ダービーを取るに値する馬」とコメントされており、ここは師の手腕を信じたいと思います。
■価格
募集総額は6200万円で、セレクトセールの落札額と同額です。本来はここから税金や手数料が加算されることが普通ですが、DMMではこの分を実質的に割引して無料とされています。「馬代金で儲けることは考えない」と言う、DMMのビジネススキームがここでも貫かれています。
一方で、6200万円が妥当な価格と見なせるかは、何とも言い難いところがあります。只、これが市場価格である以上、集合知の観点から妥当な価格であると判断すべきでしょう。何れにしても、本仔については大きな所を期待する、今年のロマン枠として考えています。
■テシオ理論
優先祖先は父系4世代目のTee Kay。マーサワシントンS(G3)に勝鞍があります。適性距離はマイル+α。基礎体力値は66%で良好です。母系の出生時母年齢が若い点が目立ちます。