前回に続いて、2023年度グリーンF募集馬について、その第一印象を記載して行きます。今回は後半の9頭になります。
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■ゴージャスランチの22(父ブリックスアンドモルタル)社台F
グリーンF募集馬に中には毎年の様に「何故この牝系がグリーンFに回って来たのか?」と、裏を読みたくなる募集馬がいるのですが、本仔はそんな1頭です。
本仔の牝系はグリーンFとは特段の縁故関係の無い、3代母クイーンモードから連なる牝系です。クイーンモードは極めて仔出しの良い繁殖牝馬で、全ての産駒が勝ち上がりを果たすと同時に、複数勝利馬も多数輩出しています。さらに本仔の祖母シーキングマイラブも中央3勝を上げた後、優れた繁殖牝馬として活躍をしており、本仔の母ゴージャスランチ(中央4勝)を産出しています。
これだけ優れた繁殖成績を見ると、所謂、ダブルXの牝系と考えるのが妥当であり、それはゴージャスランチにも引き継がれることになります。本仔はゴージャスランチの2番仔で、上の競争実績はありませんが、繁殖牝馬としての能力に疑う余地はないと思います。ちなみに、本仔の1つ上の半兄ルカランフィースト(父イスラボニータ)は本家から2800万円で募集されています。
出生時母年齢は7歳と若く、初仔でもなく、馬格のある母で、超優良牝系。さらに父は評価を上げつつあるブリックスアンドモルタルで5代アウトブリードとなると、正直、懸念要素を見つけることが出来ません。募集価格が幾らになるのか要注目です。
■マキシマムドパリの22(父ブリックスアンドモルタル)社台F
元グリーンF所属馬で愛知杯(G3)、マーメイドS(G3)の2つの重賞を制したマキシマムドパリの4番仔です。2番仔と3番仔はクラブから募集して貰えませんでしたが、牝馬に出た本仔で再び募集が掛かりました。
グリーンF所縁の繁殖牝馬としてもトップクラスの関係にあるのマキシマムドパリですが、これまでの産駒の成績はその高い期待値には届いていません。只、1つ上の全兄アスクカムオンモアはセレクトセールで1億3500万円で落札されており、産駒の出来と期待は揺るぐ状況にありません。
そうい言う意味で、マキシムドパリ産駒としては初の牝馬である本仔が、兄を超える活躍を示す可能性は十分にあると考えれば、募集価格が安価に抑えられる可能性は低いと考えて良さそうです。ブリックスアンドモルタルの評価と合わせて、今年の最高額募集馬は本仔になるかもしれません。
■レッドソンブレロの22(父ヘニーヒューズ)ノーザンF
本仔も「何故この牝系がグリーンFに回って来たのか?」と、裏を勘繰りたくなってしまう1頭です。本仔の牝系は、所謂、スカーレット一族で、近親に多数の活躍馬が見つかります。ちなみにレッドソンブレロの「レッド」は「スカーレット」から連想されたもので、東京サラブレッドクラブとは関係ないと思われます。
レッドソンブレロ自身は競争実績がありませんが、産駒からはレッドソルダード(OP馬・チャンピオンズC出走)を輩出した他、良好な勝ち上がり率を残しています。本仔はその6番仔で母年齢10歳の産駒になります。年齢的にはベストと言って良いでしょう。
本仔の魅力は父ヘニーヒューズで、恐らく、現状でベストのダート系種牡馬はヘニーヒューズであると考えて良いと思います。兄姉を見ても、産駒の馬格に不安はなく、ヘニーヒューズ産駒の牡馬であれば、牝系の血統背景を含めて、新設のダート3冠路線を目指すことも十分可能なものと思われます。
■シネマソングスの22(父モズアスコット)ナスノF
本仔の詳細はこちらを参照。魅力は父モズアスコットと牡馬であることですが、懸念材料は馬格と厩舎になると思います。先ずは、450kg台で競馬が出来ると想定されるか、測尺の発表に注目します。
■オンヴェラの22(父リアルスティール)社台F
グリーンFとは縁故関係のない牝系からの募集馬です。母オンヴェラはアイルランドからの輸入繁殖牝馬で、自身はマルセルブサック賞(G1)2着の成績を残しています。一方で、産駒からは目立った成績馬は輩出しておらず、良くて1勝クラスで勝ち上がり率も冴えません。本仔はその9番仔で、母年齢15歳時の産駒となります。産駒の馬格の無い点も懸念材料であり、父リアルスティールを含めて魅力を見出すのは難しい印象です。
■サムシングジャストの22(父リアルスティール)ナスノF
本仔の詳細はこちらを参照。初仔ですが、雄大な馬体を誇った母の産駒なので、馬格の面では心配はないと思います。父リアルスティールなので、然して人気化はしないと予想しますが、募集価格が気になります。
■テルヌーラの22(父リオンディーズ)ナスノF
本仔の祖母ドントテルソフィアはスピンスターS(G1)を制した米国馬で、現役引退後にノーザンFによって輸入されました。テルヌーラはその2番仔で、ディープインパクトが配合されるも未勝利のまま引退。その後はノーザンF・ミックスセールにて繁殖牝馬として上市され、これを那須野牧場が落札し、生まれたのは本仔となります。ちなみにミックスセールでの落札額は1750万円でした。
ノーザンFが早々に見限った繁殖と言う意味で、本牝系の評価は自ずと高くは評価出来ず、父リオンディーズも魅力としてはイマイチです。兄姉に好成績があれば話は変わりますが、初仔のためそれも望めません。カタログスペック的には見所を見出すことが難しい募集馬と言えることから、本仔が今年の特別提供馬となる可能性は高い様に思います。
■エレンシアの22(父ルヴァンスレーヴ)那須野牧場
本仔の詳細はこちらを参照。本仔の魅力は父ルヴァンスレーヴに尽きますが、兄姉が中央未勝利である点が、大きな懸念材料です。特に、母の馬格の無いところが、産駒に遺伝している点が問題です。本仔についても、馬格が無ければ見送り判断が無難であり、そう言う意味で測尺の値が要注目です。言い換えれば、480kg近い馬体重で競馬が出来る想定になれば、評価の見直しが必要になります。
■ナスノシベリウスの22(父レイデオロ)ハシモトF
本仔の詳細はこちらを参照。ナスノシベリウスは那須野系屈指の優良繁殖ですが、今年もグリーンFから募集してくれました。半兄ハーツコンチェルトの活躍により、今年の人気はさらに高騰すると考えて間違いないでしょう。
基本的に無条件で出資を決めて良いレベルの繁殖成績なのですが、本仔については気になる点が2つあります。その1つは父がレイデオロに変わる点です。今年から産駒がデビューしたレイデオロですが、ここまで全く成績が出ておらず、早々に期待外れ感が出て来ています。特に問題なことは気性的に煩いところを産駒に伝えてしまう点で、これはナスノシベリウスの仔にとってもリスキーな傾向と言わざるを得ません。
もう1つはハシモトFのサイトで確認できる駐立写真です。一見して兄姉と比較して寂しく映る馬体が気掛かりです。もっとも、誕生日が5/14と遅い点は考慮しなければなりませんし、ナスノシベリウス産駒の凄い所はその成長力でもあります。1つ上のソウルアンドジャズも募集写真は冴えませんでしたので、本仔についても気にする必要はないのかもしれません。可能ならば様子見をした上で出資を決めたいところですが、流石にそれは無理な話かと思われます。
本仔に出資したいのであれば、目を瞑って先行申し込み期間に申し込みをする必要があるでしょう。