2024年産駒の募集開始も視野に入る時期に、サボっていた2023年産について出資判断に至る経緯のメモを備忘録として順次書き残して行きます。先ずはYGGのマストバイアイテムの2023(マリブサーフ)から。
■応募背景
マストバイアイテムの2023はクラブの大功労馬であるドライスタウトの半妹にあたります、YGGの通常募集よりも4か月ほど早く、1歳3月時に募集が行われました。通常の自分の出資判断には測尺・駐立写真・歩様動画を重視していますが、本仔については募集時期が異なるため過去の出資との横の比較ができません。そのため、本仔については所謂カタログスペックから出資判断を行いました。(実際は先行募集で満口にならず、様子見が可能だったのですが、自分は迷わず先行募集に応募しています。)
■種牡馬
父ロードカナロアは重賞を9勝した名馬で、特に香港スプリント(G1)を2連覇したことで海外にもその名前は轟いています。基本的には短距離馬として認知されていますが、安田記念を制したことから、マイルまで対応可能な脚質であったことが分かります。それもあってか、産駒からは中長距離のアーモンドアイ、短距離のダノンスマッシュの様に、幅広い脚質の活躍馬が出ています。活躍馬を多数輩出したことで種牡馬としても人気が高く、本仔を種付けた2022年度の種付け料は1500万円に高騰していました。
■牝系
早期の募集開始にも関わらず本仔への出資を即断した理由は「本仔がドライスタウトの半妹である」こと以外にありません。母マストバイアイテムは現役時代は中央3勝した1000万下条件の競争馬でしたが、その産駒の成績は極めて優秀です。無事にデビューを果たした4頭の牡馬(ヨハン・ノーリス・ドライスタウト・サンライズフレイム)はノーリスが3勝クラス、他の3頭はオープン入りを果たしており、中でも全日本2歳優駿(Jpn1)を制したドライスタウトの成績は一歩抜けています。
「G1馬の妹に応募が出来る」と言う時点で出資を見送る理由は無いのですが、特に評価したのがマストバイアイテムの高い繁殖能力です。これだけの産駒が安定して活躍している時点で、マストバイアイテムが「ダブルコピー牝馬」であることに疑いはありません。それも、極めて高いレベルと考えて良いと判断しました。
■測尺
募集開始時点(2024/3/29)の測尺情報は以下の通り。
体高:145.0 胸囲:158.0 管囲:18.5 体重:325kg
一見して小さいのですが、1歳3月時点のサイズなので測尺は出資判断に加えませんでした。また、誕生日が4月生まれと遅いですし、マストバイアイテムの産駒は総じて馬格があることから、本仔も一定のサイズには成長するものと考えました。
■駐立写真
自分には1歳3月の時点での写真の評価は難しく、出資判断の材料にはしていません。只、背後から見たときのトモの上端のフラットな形状がドライスタウトと酷似していた点には好感を持ちました。
■歩様動画
歩様についても1歳3月時と言うことで直接的な出資判断の材料にはしていません。只、キビキビとした歩き方、柔らかく前に出る前肢、外交/内向の様な癖が無いこと、などは好印象でした。
■誕生日と母年齢(参考1、参考2、参考3)
本仔の出産時の母年齢は16歳で、参考1に示す通り産駒の成績の低下する年齢です。これはマイナス材料ですが、産駒数は年齢に対して少ない方で、直近2年も流産と不受胎で産駒がありません。特に、前年の空胎はポジティブと考えました。また、祖母の出産年齢は6歳と若く、母との平均年齢は11歳となり、参考2に示す通り許容範囲の年齢構成になります。
一方で、本仔の誕生日は4/14であり、参考3に示す通り誕生日としては少し遅く、マイナスの評価になります。
■育成と生産
生産と育成は名門の下河辺牧場。外厩にはチャンピオンヒルズが利用される筈で、これらはドライスタウトと同じ環境です。
■厩舎
厩舎もドライスタウトと同じ牧浦厩舎。ドライスタウトの運用に関して不満のあった出資者の方々には本仔への出資判断を躊躇させる材料になった様です。正直、これについては自分も例外では無いのですが、客観的な評価指標で判断すると「クラブ馬勝ち上がり率=45%、クラブ馬回収率=146%」は十分優秀ですし、リーディングも50位前後をキープし続けています。ぶっちゃけ、YGGの預託先厩舎の中ではトップクラスと評価できます。
さらに、牧浦厩舎の最大の特徴は芝・ダートに関わらず「短距離戦に秀でる」と言う点にあります。これに対し、本仔の遺伝子検査結果はCC型の短距離適性ですから、厩舎の選択としてはマッチしていると考えました。
■価格
募集総額は4800万円。これが2000口で募集されました。このYGG募集馬としては高目の設定と募集口数が小口であったことが、本仔への応募が停滞した原因であったと想像しています。
ここで、募集価格の4800万円については、個人的に妥当であると考えました。根拠の1つは種付け料の高さ。この年のロードカナロアの種付け料が1500万円であったことは留意すべきでしょう。更に、本仔はG1馬の半妹で優良繁殖の産駒ですから、相当なプレミアムが載ることは当然と言えます。むしろ本仔が3000万円台で募集されていたら、懸念材料が隠されていないかと裏を勘ぐるところでした。なお、募集条件に「運用終了後は牧場に無償返還され、買い戻しの分配金はない」旨の記載がありますが、これは少しでも安価に募集するための方策と考えられます。
■テシオ理論(参考)
父ロードカナロアの活性値は6。母父アフリートの活性値は6。母母父フジキセキが8。母母母父リアルシャダイは8。以上から優先祖先は母系の祖母ビッグマリーンと判断します。優先祖先が母系になるのは、マストバイアイテムもサンライズフレイムも同様です。