2019年度グリーンFから募集して欲しい仔馬の4回目です。(一覧はこちら)
今回はグリーンファームから募集の掛かる可能性も考慮して、クラブとの結びつきが強固な牝系で、かつ血統的な妙味の大きい産駒をピックアップします。
No4:トゥルーストーリーの2018
1.基本情報(netkeiba.com参照)
父 :ハービンジャー
母父 :キンシャサノキセキ
性別 :牝馬
毛色 :鹿毛
FN :4号族
誕生日:2018/05/15
生産 :前田ファーム
2.牝系情報
米国産馬である祖母デフィニットは6戦目で未勝利を勝ちましたが500万条件では力が及ばず、然したる成績を残せないまま僅か8戦で現役を引退し繁殖生活に入りました。一方で、繁殖牝馬としては優れた結果を残しており、デグラーティアとボールライトニングの2頭の重賞勝ち馬を生み出しています。そして、この何れも2歳重賞を制していることから、早期始動が可能な産駒を生み出していることが判ります。更に、両馬共に古馬になって準オープンを勝利している様に、単なる早熟と言うワケでもありません。
グリーンファームとの縁故関係をみると、叔父ボールライトニングがクラブの貢献馬であるほか、本仔の母トゥルーストーリー、叔父ライクトゥシャイン、シュアゲイトの4頭がクラブ所属馬であり、強固な結びつきのある牝系です。
一方で、母トゥルーストーリーは気性面で課題があって、新馬戦が終了した3月のデビューとなりましたが、ここを相手関係にも恵まれて勝利することが出来ました。しかし、500万条件では敷居が高く、気性的に距離の融通が利かなかったこともあり、結局、全6戦で引退をしています。本仔はそのトゥルーストーリーの2番仔ですが、初仔の半兄はまだデビューをしておらず、競争実績はありません。
3.種牡馬
父ハービンジャーは社台Gが英国から輸入した種牡馬で、現役4歳時にキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(GⅠ)を史上最大着差の11馬身差をつけて勝利しています。但し、3歳時のセントサイモンS(GⅡ)では勝馬から27馬身もの差を付けられて大敗しており、微妙に晩成傾向が伺えます。それもあってか、日本に輸出された後の初年度産駒からは京成杯を勝利したベルーフが目立った程度で、社台Gの優れた繁殖牝馬を多数配合されたことを考えれば「期待外れ」とも言える成績に終わっています。
しかし、世代を重ねて行くことで配合上のポイントの解明が進み、3世代目にて大きな躍進を果たしました。ペルシアンナイト,ディアドラ,モズカッチャンの3頭のGⅠ馬を一気に輩出し、昨年は4世代目のブラストワンピースが有馬記念を制するに至っています。当初は種牡馬として失格の烙印も押されかけたハービンジャーでしたが、その評価はV字回復しており、社台スタリオンでも最有力種牡馬の1頭として評価されています。これを種付料の推移で見ると、当初400万円でスタートして一旦は250万円まで低下、そこから急回復して今年の種付料は600万円にまでアップしています。(ちなみに、本仔が種付けられた2017年の種付料は、底値の250万円で超格安でした。)
4.血統配合
ハービンジャーの評価がV字回復した大きな要因は、配合上のポイントが見出されたことにあると考えられます。輩出した4頭のGⅠ馬の母馬は何れもNureyevとNijinskyの血を有するサンデー系牝馬であり、これは疑いなくニックスと見ることができます。
これに対して、本仔の母トゥルーストーリーはNijinsky持ちのサンデー系牝馬であり、Nureyevの血は有していません。この点は本当に惜しいところなのですが、それでもポイントは十分に抑えられた配合と言えます。加えて重要な点は本仔の母父父のフジキセキです。ハービンジャー+フジキセキの組み合わせは件のブラストワンピースの他、トーセンバジルも同じ配合になります。特に本仔とブラストワンピースはフジキセキ+Nijinskyを共通に有する関係となっています。
更にもう1つ、母トゥルーストーリーをDyupity Minister持ちのサンデー系牝馬と言う観点で見ると、これは先日金鯱賞を勝利したノームコアと一致します。何れにしても血統には文句の無い配合と見ることが出来るでしょう。
5.予想価格(予測モデルは本稿を参照)
価格:950万円(基本価格:1000万円,本馬補正:+0万円,父系補正:+250万円,母馬補正:-200万円,兄姉補正:-100万円)
予測モデルに当てはめると950万円と出てしまいました。父の人気がドン底の時の産駒の上に、牝馬で母も兄姉も実績がなく、スペック的には最低属性であるが故にこの様な予想価格が出てしまうのですが、父の現在のプレミアム性を考えれば、まず有り得ない価格です。今回は本予想モデルの限界を露呈した感じがします。
6.まとめ
グリーンファーム所縁の仔馬の中で、これだけ配合的な妙味のある仔も珍しいと思います。近親に重賞勝馬が2頭いる点もポイントですが、一方で本仔の兄姉には実績がありませんので、著しく高評価されるスペックでもありません。母が前田ファームに移籍している点においては那須野牧場生産馬よりも募集され難くなりそうですが、それでも募集に掛かる可能性は十分に高いのではないかと考えます。あとは、母の気性難が仔に引き継がれないことを祈るのみです。
なお、本仔の写真は前田ファームの紹介ページにて確認することが可能です。最新の写真は冬毛ボウボウで可愛い仔馬ですが、縦に長めのトモは個人的に好みなスタイルです。