母年齢と産駒の成績①

今回から数回に渡って、母年齢を主とした牝系の年齢と産駒の成績の関係性について調査した結果をまとめて行きたいと思います。

1.調査対象

現在の3歳馬~7歳馬(5世代)に相当する、中央競馬で出走した記録のある、23,574頭の競争馬を本調査の対象としました。地方所属馬、中央所属馬でも未出走の馬は今回の調査対象に含みません。また、現役馬を含むことから、本結果は流動的なものになります。

2.出生時母年齢と収得賞金

先ずは、出生時の母年齢と産駒の成績の関係性を調査しました。具体的には母年齢毎の産駒の平均収得賞金を調査した結果を以下に示します。横軸が出生時母年齢、上段が平均収得賞金、下段がサンプル数を示します。

本結果より出生時母年齢が14歳以降は加齢と共に産駒の成績が低下する状況が確認できます。20歳付近からサンプル数が乏しくなりデータのバラツキが大きくなりますが、成績の下降傾向に間違いはないと考えられます。なお、同様の調査結果は一口馬主DBの5年前のコラムにも掲載されており、その結果は上記の結果と概ね一致するものです。即ち、本結果は直近10年間に渡って普遍的な傾向であることが判ります。

ちなみに成績のピークは母年齢が9歳時の産駒になります。ここで、母年齢9歳とはテシオ理論で言うところのMAX活性の年回りに相当します。即ち、本結果は「母がMAX活性の産駒は競争成績に優れる」と言うテシオ理論の主張の証左となり得ます。しかし、むしろ問題は「10歳~13歳の成績に著しい低下が見られない」状況にあると考えます。

テシオ理論の主張するところが正しいならば、活性値が1に降下する母年齢10歳以降で成績低下の傾向が見られるべきですが、特にその様な兆候は確認できません。テシオ理論において母の活性値の低下は基礎体力値の低下を意味するものであり、母の活性値の低下が産駒の成績に影響しないのであれば、基礎体力値の有用性にも疑義が生じることになります。

3.出生時母年齢と勝ち上がり率

続いて、出生時母年齢と産駒の勝ち上がり率との相関性を調査した結果を示します。グラフの見方は先と同様になります。

本結果から勝ち上がり率については、母年齢10歳をピークにして、加齢と共に低下を続ける状況が確認できます。但し、平均収得賞金のグラフと比較すると降下の勾配は緩やかと言えるかもしれません。なお、テシオ理論の活性値が低下する母年齢10歳において、特段の勝ち上がり率の低下はここでも認められませんでした。

4.まとめ

出生時母年齢に対する収得賞金と勝ち上がり率の関係を併せて評価すると、以下の判断基準が導かれます。

母年齢10歳を中心に6歳から13歳の間の産駒に出資することが望ましい

一方で、母年齢20歳までは勝ち上がり率が25%をキープ出来ていることから、次のような考え方も成り立つかもしれません。

1勝が目標の安価な募集馬については母が高齢であっても検討の余地がある

なお、テシオ理論で言う所の基礎体力値については、母年齢10歳時の成績低下が認められないことから、次のように取り扱うべきと結論します。

・基礎体力値が高い競争馬は好評価する。
・基礎体力値が低い競争馬であっても低評価しない。

次回に続きます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする