2023年度グリーンF募集馬の発表➀

7/1、グリーンFの2023年度の募集馬が発表されました。募集頭数は全18頭で、昨年より2頭も減ってしまいました。これを生産牧場の内訳でみると、社台F(8頭→10)、ノーザンF系(2頭→2頭)、那須野系牧場(10頭→6頭)と、那須野系生産馬が大幅に減って社台F生産馬が増加しています。もっとも、超豊作であった2021年募集馬は社台F10頭、那須野系6頭でしたので、「元に戻っただけ」と考えるのが正解でしょう。

一方でノーザンF系生産馬が3頭→2頭に減ったのは痛いのですが、総合的な質で見ると例年よりも良い様にも思えます。

なお、  で採り上げた21頭の「募集して欲しい仔馬」からは7頭が募集される結果でした。何よりも予想外だったのがアンデスクィーンの22が募集リストから外れたこと。やっぱり、「活躍馬の子供が回って来るのは初仔のみ」のパターンは崩せませんでした。

以下、個々の募集馬について第一印象を簡潔に記載して行きます。

※ 馬名の前の■をクリックするとnetkeibaの当該馬の頁が開きます。


エヴァディングタンペットの22(父イスラボニータ)社台F

母エヴァディングタンペットは伊1000ギニー(G3)を制した輸入繁殖牝馬で、本仔はその9番仔。半兄に中央6勝を上げたストロベリームーンがいますが、産駒のアタリハズレは大きいかもしれません。出生時母年齢が15歳が気になりますが、年齢的にはギリギリ許容範囲内です。

レディオブフィフティの22(父エピファネイア)社台F

母レディオブフィフティはクレメントLハーシュS(G1)を制した輸入繁殖牝馬で、本仔はその4番仔。1つ上の半兄(父ロードカナロア)は、セレクトセールに上市され3500万円で落札されています。本仔は牝馬に出たことから、牝系を保持する意図でクラブに回されたと考えれば、特段の違和感はありません。上の競争実績はまだ少なく、繁殖能力を図ることは出来ませんが、普通に良血だと思います。価格的にもグリーンF募集ならば2000万円台で収まるものと予想します。

マゲバの22(父キズナ)社台F

母マゲバはドイツからの輸入繁殖牝馬で、フランス1000ギニー(G1)で3着の実績がありますが、目立った勝鞍はありません。本仔はその初仔になります。出生時母年齢が6歳と非常に若い母馬であることと、1月生まれである点は高く評価したいところです。

一方で、ドイツ牝系となると日本ではスピード不足が懸念されます。これがキズナと配合して如何出るのか、全く予想が出来ません。今年の募集馬では数少ない牡馬の1頭ですから、芝の長い距離を走ることの出来るスピードを有しているか、見極めることが重要になると思います。

ベアトリッツの22(父ゴールドシップ)社台F

母ベアトリッツは元グリーンF所属で3勝を上げた活躍馬で、半妹に桜花賞馬のジュエラーのいる良牝系です。産駒からはベルポエジー、アクトゥールキネマの2頭がグリーンFから募集されていますが、現状で結果は出せていません。これは競争能力の不足と言うよりも、故障や病気に因るものなので、本仔についても体質的な見極めが重要になると思います。

一方、ゴールドシップとの配合は、短距離の母とステイヤーの父で意図がちょっと判りません。先ずは、何方寄りの産駒なのかを見極めたいところ。

アースサウンドの22(父ジャスタウェイ)ハシモトF

グリーンFの定番牝系。母と兄姉を含めて過去7頭がクラブから募集されています。兄姉の勝ち上がり率は高いのですが、一方で成績は1勝止まりで終わる馬が多く、今一つ期待に応えきれていません。本仔は8番仔で、出生時母年齢は15歳になってしまいました。「そろそろ牡馬の活躍馬が欲しい」と言う意味で、本仔は良い頃合いかもしれません。

本仔についてはハシモトFのサイトで中立写真が公開されているのですが、これが中々の好馬体をしており、個人的にはアースサウンド産駒の過去の募集馬の中でもピカイチの出来に見えて仕方ありません。恐らく、馬格が小さい心配はありませんから、動かして余程硬くない限りは、有力な出資候補になると思います。

ジャドールの22(父ダノンレジェンド)

母は元グリーンF所属馬で、産駒のスペラーレとジュウゼームがクラブから募集されています。只、ジュウゼームに関しては募集期間中に故障を発生したことで募集中止になった経緯があります。本仔はジャドールの10番仔ですが、出生時母年齢は18歳であり、流石に高齢出産の領域に入っています。半兄に4勝馬デヒュピティプライムがいますが、近年は活躍馬も減っており、相当な好馬体でもないかぎり、ちょっと薬指は動かない感じがします。

ゴールドケープの22(父トーセンラー)

祖母ジェルオブナイルから連なる、グリーンF所縁の牝系です。ゴールドケープの産駒としては昨年募集された初仔のビクトリーフォースに続いて、2世代連続の募集となりました。母ゴールドケープ自身はフィリーズレビュー(G3)3着の成績を残していますが、通算では2勝止まりと言うこともあってか、今一つ配合相手に恵まれない印象です。本仔の父トーセンラーはマイルCSを制したディープインパクト産駒ですが、繁殖の質に恵まれない側面もあって、種牡馬として目立った成績は残せていません。特に勝ち上がり率の低い点が致命的で、カタログスペック的には見所が見出せません。

レーヌジャルダンの22(父ハービンジャー)

グリーンFでは唯一のG1馬であるクィーンスプマンテの血を引く募集馬です。レーヌジャルダンはそのクィーンスプマンテにディープインパクトを配合した両親G1馬の産駒でしたが、残念ながら成績は1勝止まりで終わってしまいました。

本仔はその1番仔ですが、その1年前にも種付が行われており、厳密な意味での初仔ではありません。そう言う意味で、初仔特有の馬格が小さい心配はしていません。父ハービンジャーとサンデー系牝馬とは相性が良いことに加えて、ハービンジャー産駒の代表であるペルシアンナイト・ディアドラは何れも母系にNureyevの血を有しており、これは本仔にも合致しています。今年のグリーンF募集馬の中で牡馬クラッシック路線を狙うのであれば、本仔が唯一の選択肢かもしれません。

デグラーティアの22(父ビッグアーサー)

祖母デフィニットは那須野牧場所有の繁殖牝馬で、本馬の近親にはグリーンF所属で京王杯2歳S(G2)を制したボールライトニングのいる牝系です。そう言う意味で、グリーンF縁故の血統なのですが、本仔については母デグラーティアがノーザンFに売却されたことで、ノーザンF生産馬としてのグリーンFへの提供となりました。

気になる点は出生時の母年齢で、16歳と言うのはボーダーギリギリの年齢と言えます。一方で魅力を感じるのが父ビッグアーサーで、繁殖牝馬に恵まれない環境の中から、短距離系の活躍馬を多数輩出しています。今後は繁殖の質もあがる筈で、サクラバクシンオー直系の短距離系種牡馬として活躍をすることに疑いはありません。あまりグリーンFから募集されるタイプの種牡馬ではないことから、この機会は逃したくない気もします。

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